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投資のリスクも学力も平均値だけでは語れない

【標準偏差を学ぶ】バラツキを理解しよう

  • 吉田 耕作

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2010年5月20日(木)

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 前回は分布の代表的な値として平均値を学んだが、分布に関して平均値の次に最も重要な値であるバラツキを表す指標、つまり標準偏差について考えよう。

 色々な社会現象や経済問題を記述する時、平均値だけしか記載していない場合が圧倒的に多いが、標準偏差とのかかわりについても記載しなければ、真の全体像は分からない。

 例えば規制緩和の問題で市場での競争が奨励されたが、この結果、国民の平均所得は上がったのかどうかの問題のほかに、格差はどうなったかの議論は避けて通れない。格差とは平均を中心とするバラツキであり、つまり標準偏差である。

 投資を考える場合でも、投資の期待される平均の利回りのほかに、その投資がどれだけリスクを伴っているのかを知る必要がある。リスクを測る尺度が標準偏差である。多くの“うまい”投資の話では平均的な利回りだけ知らされてそれに伴うリスクに関してはほとんど説明がない。また、2つの教育方法を比較する場合も平均値だけではなく、できる生徒とできない生徒のバラツキはどうなったのかを問題にしなければならない。

 この様に見てくると、これらの問題について全体観を持って議論するめには、標準偏差は欠かせないものである。しかし、標準偏差の説明が難しく、一般の人々にはなかなか理解しにくいものであったため、使われてこなかったのが問題なのである。

実感を持って理解すると多くの分野で応用できる標準偏差

 統計を学んだ人で統計が途中で分からなくなり、統計が嫌いになった人々は実に多いが、私が見るに、そのほとんどの人達が標準偏差、つまりバラツキ度を図る尺度の意味や成り立ちが理解できないがために統計が嫌いになったように思われる。

 従って、ある意味では標準偏差を理解する事はかなり難しいのかも知れないが、私はここではできるだけやさしく、ほとんどすべての読者に理解して頂けるように説明したいと切に望むのである。

 なぜなら、標準偏差が実感を持って理解できるようになると、統計学という学問自体が非常に易しく思えてくるし、実に多分野にわたって応用できるものであるからである。標準偏差は統計を学ぶものにとってどうしても通らねばならない関門なのだ。したがって、この章はぜひともプリントをして、時間のある時に紙と鉛筆を持って取り組んで頂く事をお願いしたい。

各データの中心からの距離の平均と定義

 まず、手始めに図1を見てみよう。この図にはAとBの2つの分布がある。両方とも平均値は同じである。しかし、分布AとBとではバラツキ度が違う。問題はAとBとではどちらがばらついているかという事である。多分、ほとんどの方がAはBよりもばらついていると言うだろうし、その答えは正しい。

 それではAはBよりどの位ばらついているのかだが、それを問題とする前に、やはりバラツキ度の統一した測り方がないと不便である。そのバラツキ度をはかる尺度として最も用いられているのが標準偏差というものである。標準偏差はσ(シグマというギリシャ文字)という記号で表す。

 ここで極めて大雑把に、標準偏差とは分布における“各データの中心からの距離の平均”と定義しておこう。つまり、分布は平均値と標準偏差によってその形が決まってくる。スムーズな正規分布だと、なかなか個々のデータとの関連が考えにくいので、第2図にあるように、この正規分布はヒストグラムの個々の柱の幅を極めて小さくしたものの集まりだと考えよう。

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