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第17回 僕、イチローみたいになれるかな?

天職なんてどこにある

  • 武田 斉紀

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2010年5月17日(月)

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もはや新卒で「天職」を選ぶことは夢物語か

 大手企業の業績回復を知らせるニュースが、新聞紙面をにぎわせている。採用市場はどうだろうか。

 コラムの第13回でも触れたが、転職市場の求人倍率は今年に入って微増している。とはいっても、3月の有効求人倍率(季節調整値)は前月より0.02増えて0.49倍(厚生労働省発表)程度で、多くの人にとって、仕事を選べる状態には至っていない。

 新卒採用はどうか。リクルートワークス研究所の調査によると、来年3月卒業予定の大学生・大学院生を対象にした民間企業の求人倍率は、前年比でさらに0.34ポイント低下して1.28倍となった。

 新卒求人倍率1.28倍に皆さんが違和感を覚えるかもしれないのは、これが全体の平均値だからだ。従業員5000人以上では0.47倍、1000~5000人でも0.63倍で、大手企業に学生が殺到している様子がわかる。ではなぜ1.28という数字になるのか。これは中堅・中小企業が押し上げているからであり、その求人倍率は2.15倍。数字には納得がいったとしても、なぜこんな状況が起きているかおわかりだろうか。

 一つは、大手企業の投資が国内ではなく、新興市場を中心とした海外に向けられているからだ。国内で人材を採用するニーズが低いのだ。多くの国内消費市場が細り、売り先を海外に求めざるを得ない。生産するのも消費するのも海外となれば、日本で多くの人を抱える理由はなくなる。フジサンケイビジネスアイの調査によれば、国内市場に限っていえば、大手はまだ雇用の過剰感を抱えているという(2010年5月3日の記事より)。

 もう一つ、中堅・中小企業の求人倍率が高い理由を挙げる。景気回復が遅れているといわれている中でも伸びている企業、あるいは人がいないと維持も成長もできない労働集約型のサービス業が人を求めている。しかし、リストラを余儀なくされる親からは、「少しでも安定している大企業に行け」といわれ、学生本人もその気になる。事業仕分けで既得権益をどんどん奪われつつある公務員の人気が、依然衰えないことにも表れている。

 結果、人気のある大手企業や公務員に学生の人気が集まり、中小企業や不人気中堅企業への応募者は、景気が悪くなり求人が減っても一向に増えない。応募する学生の側からすれば、どんどん“選べない”状況になっている。

 最近もクライアント先で新卒採用説明会にいくつか遭遇した。ある企業では説明会開始前のエレベーターに乗ることになり、私以外全員リクルートスーツの男女。箱の中は異様な緊張感に包まれていた。別の企業では今回は採用予定2人のところに100人分の席を用意したら、その2倍近くがやってきて立見をお願いすることになった。何人かが具合が悪くなり、説明会場にいて手が空いていた社長が対応したという。

 ・・・これが採用市場の現状だ。前回の対談企画「第16回 近い将来、日本中がリストラになる」でも書いた通り、日本の雇用環境の未来は厳しい。

 もはや社会に出る時点で「自分のやりたい仕事を選ぶ」ということ自体が、昔話になりつつあるのだろうか。転職市場の数字は、その後も出会うことの難しさを如実に語っている。今日のテーマである「天職」に出会うことなど、ほんのひと握りのラッキーな人を除いて、単なる夢物語なのだろうか。

* * * * * * * * * * * * * *

 今回のコラムシリーズ「武田斉紀の『よく生きるために働く』」で、これまでに取り上げてきたテーマを以下にご紹介します。

 雇われて働く社員の方、個人としての生き方を模索している方には、今後の生き方を考えるための視点として。また、経営者や管理層の方には、会社を運営していくうえで、社員が生き生きと働くための、また業績向上のためのヒントとしてご活用ください。

【これまで取り上げたテーマ】

第1回 子どもに「大人はなぜ働くの?」と聞かれたら

第2回 「どんな仕事にもやりがいは見つかる」は本当か?

第3回 仕事の「やりがい」と「生きがい」は別?

第4回 仕事の「誇り」の見つけ方

第5回 「あなたの替わりならいくらでもいる」

第6回 明日クビになったらどうします?

第7回 【続編】明日クビになったらどうします?

第8回 あなたはオンリーワンの自分に気づいていない

第9回 あなたのキャリアをA×B=スペシャルCに変える

第10回 【後編】あなたのキャリアをA×B=スペシャルCに変える

第11回 「私の履歴書には専門性がありません!」

第12回 変化の時代を生き抜くための「5つのスキル」

第13回 【後編】変化の時代を生き抜くための「5つのスキル」

第14回 いま“愛社精神”が日本を救う

第15回 もはや独立・起業は、働く人すべての問題だ

第16回 近い将来、日本中がリストラになる

コメント6件コメント/レビュー

人も仕事も…いや人生のすべてが【出会いもの】だと感じています。心を開いて、まわりに目を配っていれば、見えてきます。ただ、その出会いを活かせるかどうかは、その時点での自身の能力なり度量に左右されると思います。早すぎるチャンスはモノにできず、遅すぎるチャンスには臆病になる…そのタイミングこそが運なのかも知れませんね。(2010/05/17)

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人も仕事も…いや人生のすべてが【出会いもの】だと感じています。心を開いて、まわりに目を配っていれば、見えてきます。ただ、その出会いを活かせるかどうかは、その時点での自身の能力なり度量に左右されると思います。早すぎるチャンスはモノにできず、遅すぎるチャンスには臆病になる…そのタイミングこそが運なのかも知れませんね。(2010/05/17)

「やりたいことを仕事にする」というフレーズを聴いたとき違和感を覚えます。それは、「仕事」という原則が、「やりたいこと」と相反していると考えるからです。「仕事」の原則は、労働によりお金が得られることです。お金が支払われる面から見ると、「仕事」とは、「他人」がお金を払ってまでやってほしい、「面倒なこと」や「難しい」ことです。それが「やりたい」ことと一致するほうが、そもそも珍しいと思うわけです。お金を払う顧客の側からも、「面倒をかける」「難しいことをお願いする」と思うから、報酬を払うのであって、先方が「やりたいこと」ならタダでやれよ、というのは言い過ぎですが、そういうことではないのかと。なので、「仕事」と「やりたいこと」は一致しないことが、まず大前提だと、特に新卒者には言ってあげたいです。では、「やりたい」ことではない仕事は、「おもしろくない」のか、というとそうでもないことは記事にもある通りです。仕事探しの基準は「やれそうなこと」「やるべきと思うこと」、そして「おもしろそうか」ということで十分で、「やりたいこと」であることは重要ではないと考えます。(2010/05/17)

天職とはなりたい職業や憧れの職業ではなく、その人が生まれ持った心や体に最も合った職業という事です。イチローにとってはそれが「たまたま」野球だったわけです。天職を探すとは結局の所、自分の得意不得意、自分に合う環境合わない環境を知る事なのではないかと思います。表面的な好き嫌いではなく、生まれ持った自分の様々な要素を客観的に理解できるようなれば、自然と天職を選べるようになるのではないでしょうか。(2010/05/17)

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三品 和広 神戸大学教授