「企業復活! 斜めから目線で」

【第5回】“倒産しない『倒産』”を考える

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2010年5月25日(火)

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 いつものように私は、私鉄沿線郊外にあるS駅に帰宅のため降り立ったが、階段を下り切った途端、辺りが暗いことに一瞬の違和感を覚えた。駅前にある食品スーパーのいつもの煌々とした明かりが消えていたのだ。店に近づくと大きな窓に張り紙があり、「破産」の文字が見える。債権者集会の日時も載っていた。「ここは便利だったのに…」。

 大幅な景気後退が続く中、何とか倒産せずに生き残る企業がある一方で、破産し消滅する企業もまた多い。その差はどこにあるのだろうか?

 「再生と破産の境目」が分かりにくい理由として、一つには、「倒産」という言葉が昨今曖昧に使われているせいかもしれない。

 例えば5月の連休中に元横綱・若乃花が設立した「ちゃんこダイニング若」が倒産したという情報が流れた(負債総額約4億4700万円)が、倒産した会社は「(株)ドリームアーク」であり一部料理店は営業を継続するとの記事も出たり、全くわかりにくい。また記憶に新しい大型倒産である日本航空は、法的には一度「倒産」したにもかかわらず、法的再生の枠組みの中で「会社の消滅」という意味での「倒産」はしないで、今まで通り営業を続けているという現実も、倒産という言葉をわかりにくくしている。

 “倒産しない『倒産』”とは、教科書的に言えば破産・清算ではなく、民事再生や会社更生などの再生型の債務整理のことを指す。私たちの仕事の中心である民事再生等の法的手続きによらない「私的再生」も企業の再建のための手法として確立されており、法的再生に準じた形で、スピーディーに金融機関等との調整を実現する“倒産しない『倒産』”手法と言える。

 また、「事業再生ADR」という昨今開発された手法に加え、第三者機関である整理回収機構や企業再生支援機構といった公的機関も、このような私的再生支援を推し進めるものである。なお、付け加えると、昨今は、英会話学校のジオスの破産処理のように、会社の清算を目的とする破産手続きの枠組みの中に、一部事業譲渡による事業の存続を掛け合わせた「再生型破産」とでも言うような特殊処理も見受けられ、様々な“倒産しない『倒産』”が可能となっている。

 さて、かれこれ10年以上企業再生に直接関わってきたが、残念にも再生せず途中で破産などに移行した企業も多く見てきた。その際、常に考えるのは、「再生の道と破産の道の分かれ道は、本当はどこにあったのか?」である。山で道に迷った時、登りであっても確実に自分の位置が分かるところまで戻るか、それとも、より里に近づくことが可能なように見える谷筋に下っていき、沢は必ず町につながると信じ、滑落するというセオリーに陥るか…。先を読む行動がいかに困難か、いつも考えさせられることである。

資金繰りに窮した会社の取るべき方法

 資金繰りに窮すれば、決算上は黒字でも倒産する。バランスシート上で債務超過になっても、資金繰りが大丈夫なら企業は倒産しない。だから、企業は、危機的状況に陥ると何とか資金を調達しようとする。

 しかし、銀行は毎年自己査定(格付け)という制度の中で貸出先の業況を詳細に分析し、債務者区分・ランクを結構厳しく判定しており、そのランクが劣化してしまうと、おいそれとは貸出を増やしてくれない。企業にとって、危機的状況時にどうしても資金調達しようとすれば、残された方法は(極言すれば)、何とか粉飾してでも好決算を装い銀行から資金を引っ張るか、それとも別な手段に頼るかしかない。

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企業復活! 斜めから目線で

 一昔前の旧大蔵省による金融業界護送船団方式、旧運輸省・建設省による公共工事を通した建設業界下支え、企業グループによる不振子会社の支援・連結切り離し等、かつてのような「安易な企業救済」が、バブル崩壊以降徐々に困難になり、ITバブルの崩壊、世界同時金融不況を経て、国・民間を問わず救済余力は、枯渇してきている。一方で、安易な企業解体や整理は、日本がこれまで培ってきた技術や人材を散逸させることにつながりかねない。そのような、厳しい経済状況への対処と将来の成長の源泉の保持を両立させるうえでは、「適切な事業再生」、ひいては「企業の再生」が不可欠である。本コラムでは、再生の専門家の視点から、具体的事例を例に挙げつつ、企業復活に不可欠な視点・要素を解き明かしていく。

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