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【第3回】わずかな贅肉のある組織が、鋼のように強くなる

鎌田實(諏訪中央病院名誉院長)×山本高史(コピーライター/コトバ代表)

  • 鎌田 實,山本 高史

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2010年6月14日(月)

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 リーダーに求められるメッセージ力(発信力)とは何か。そのヒントを、『空気は読まない』の著者で患者と地域に密着した医療を続ける鎌田實氏と、『伝える本。――受け手を動かす言葉の技術。』の著者で消費者の記憶に残る様々なキャンペーン広告を創り出してきた山本高史氏という2人の経験や見解を踏まえた対談から探っていく。

【第1回】行動変容を起こす言葉こそ、コミュニケーションである

【第2回】面倒くさいから、空気を読んで済ませてしまう

写真:鎌田 實(かまた・みのる)氏

鎌田 實(かまた・みのる)氏
医師・作家。1948年東京生まれ。74年東京医科歯科大学医学部卒業。長野県の諏訪中央病院にて地域医療に携わる。88年同病院院長に就任。2005年から同病院名誉院長を勤める。現在も山村への訪問診療を続けながら、日本チェルノブイリ連帯基金理事長、日本・イラク・メディカルネット代表として、国際医療支援活動にも取り組む。著書は『がんばらない』『いいかげんがいい』『空気は読まない』(以上、集英社)、『ウエットな資本主義』(日本経済新聞出版社)など多数。

山本 高史(やまもと・たかし)氏
クリエイティブ・ディレクター、コピーライター。1961年京都府生まれ。85年大阪大学文学部卒業後、電通入社。コピーライターとして、様々なキャンペーン広告を担当。2006年電通を退社し、コトバ(東京都)設立。トヨタ自動車、JR東日本、サントリー、オリンパス、ファンケル、トクホン、エスビー食品、キユーピー、JT、ユニクロなどの広告を手がける。著書に『案本 「ユニーク」な「アイディア」の「提案」のための「脳内経験」』(インプレスジャパン)、『伝える本。――受け手を動かす言葉の技術。』(ダイヤモンド社)、『最新約コピーバイブル』(共著・宣伝会議)など。

写真:山本 高史(やまもと・たかし)氏

山本 高史(以下、山本) ベネフィットというとドライなイメージがありますが、僕の考えるベネフィットというのは、単純な利害関係ではありません。例えば、相手の言うことを否定する場合でも「それは違うな」というのと、「お前の言うことはすごく分かるけど、それは違うな」というのとでは全然、受け取られ方は違います。自分の意見を聞いてもらって、理解してもらったうえで否定されるのは、ある自分に対するある判断であって、ある思いやりや想像力の中で「それはちょっと違うな」と言われていることが認識できること、それ自体が受け手にとってはベネフィットがあるということだと思います。

 広告におけるベネフィットというのは、差別化であり、ほかの商品に比して何がプラスされているかをドライに考えることですが、ただ基本的に広告というマスコミュニケーションも、日常の1対1のコミュニケーションも、1つの脳と1つの脳のコミュニケーションであると考えると、受け手の側がちょっとうれしくなることを言ってあげるということは同じことだと考えています。

「暖かい医療をやろうよ、とだけ言った」(鎌田)

鎌田 實(以下、鎌田) 金銭も大切だけれども、もっと幸せ感を感じるベネフィットが、21世紀には大切なんじゃないかと思います。算盤だけじゃなく、算盤を超えたところにあるベネフィットを、政治家や経済人が提供しないと、有権者や消費者の行動変容は起きないんじゃないかと思いますね。だから、20世紀型のお金で換算できるベネフィットではない、新しいベネフィットが必要なんじゃないかと思いますね。

 諏訪中央病院のことで言えば、僕が院長になった頃は、4億円の累積赤字がありました。暖かい医療がしたいと同時に、お金を儲けなくちゃいけない。しかし、公立病院で働くお医者さんたちは、気難しい人が多いですから、「金を稼ごう」と言っても夢中で働いてはくれなかったでしょう。

 「暖かい医療をやろうよ」と言ったら、お医者さんたちは夢中になって働いてくれました。そのうち、地域の人は褒めてくれるし、マスコミも注目してくれるようになりました。今は医者不足ですが、諏訪中央病院は、研修医たちの憧れの病院になり、倍率も高くなりました。当院の研修医は不合格でも、ほかの病院での研修が終わってから、後期研修という形で18人も集まってくる。どの病院も喉から手が出るほど欲しがっている若い医師たちが集まって来る。お金では解決できないものが諏訪中央病院で手に入れることができるからだと思います。

 暖かい医療をやっているだけですよ。赤字解消のために要らない薬を投薬して利益を出そうとしたりせず、暖かい医療に夢中で取り組んできたら、より大きなベネフィットが得られたわけです。

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