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【最終回】林業は自立して競争力を持てるという“ホント”

今こそ、現場のモチベーションを高め、創意工夫を促す施策を!

  • 梶山 恵司,戸矢 晃一

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2010年6月7日(月)

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 この春、林野庁事業でドイツ・オーストリアから3人の森林管理の専門家(フォレスター)が来日し、全国各地でアドバイスをして回った。日本の森林を初めて見た彼らが一様に驚いたのは、圧倒的な資源量だった。成長の速さ、蓄積の厚さともに世界トップクラスであり、森林・林業の可能性はずば抜けているという。このことは、訪日最終日の表敬訪問で、当時は副総理だった菅直人氏(現・首相)に報告された。

 そのビジネスチャンスを現実のものとするための具体的な改革案については、第1回から第6回にわたり詳しく述べてきた通りである。合わせて予算についても、 将来への投資となるよう、「選択と集中」の観点から、抜本的に組み替え、努力するものが報われるものとする必要がある。

 もっとも、これは林業に限らず、日本の予算全体に言えることであり、新成長戦略の大きなテーマにもなっている。そこで最終回となる今回は、将来への投資とする予算をどう構築していくかについて検討しながら、日本の林業が本当の意味で自立し、競争力をもった産業となるために必要な政策について考えていく。ただし、予算全般をみると長くなるので、ここでは予算の中でも最も重要な、間伐の予算に焦点を絞ることにする。

森林・林業関係予算は1兆円前後

 間伐の予算を具体的に検討する前にまず、森林・林業関係予算を概観してみよう。林野庁予算は現在4000億円強であり、都道府県などの自治体予算も加えると、日本の森林・林業関係の予算は1兆円前後と推計される。この金額がどのような意味を持つか、森林面積当たりの間伐経費と比較すると分かりやすい。

 日本の全森林面積は2500万ヘクタール、うち人工林は1000万ヘクタールである。人工林の間伐の間隔はおおむね10年なので、これを前提とすると、年間に必要とされる間伐面積は100万ヘクタールである。これに1兆円の予算すべてが投入されると仮定すると、ヘクタール当たりでは100万円となる計算である。

 他方で、森林を適切に維持管理するための伐り捨て間伐に実際にかかるコストは、おおざっぱに言ってヘクタール当たり10万~20万円程度である。つまり日本の人工林を適切に管理するための間伐経費は、最大で2000億円ということである。

 人工林に限らず天然林でも手入れが必要とされる森林が存在すること、路網整備や下草刈り、製材や流通、木材需要などにも補助金が投入されていることから、1兆円すべてが間伐に使われるわけではないが、予算総額「1兆円」が日本の森林・林業にどのような意味を持つかのイメージをつかむうえでは参考になろう。

 それではこの予算は、間伐においては、実際にどのように使われているのだろうか。

 予算を効率的に執行して、将来への投資とするには、地域の森林を一体化して、路網を整備しつつ、面的な間伐を進めていくことである。そして、日本では林業経営の担い手とはなりえない所有者が圧倒的であるがゆえに、そうした所有者を取りまとめて施業を集約化していくことなしには、面的な森林整備は進まない。つまり、施業集約化こそ、日本で林業を成立させる第一歩となるものである。

 そして、所有者とりまとめの中心的担い手となるのが、森林所有者のための組織である森林組合であることは言うまでもない。ところが、森林組合の多くは、施業経験のある所有者や組合の理事などのやりやすい森林を繰り返し間伐するだけで、新規に顧客開拓することもなく、場当たり的に事業を消化してきた。中には仕事が取れれば、チェーンソーや燃料を担いで、歩いて1時間以上もかかる現場すらあるほどで、これでは永遠に巨額の補助金が必要となり続ける。

 それでも一般民有林の間伐をやっていればまだいいほうで、森林組合の多くは、県にある林業公社や国の機関である緑資源機構、県有林や市有林、保安林や国有林など、楽して仕事が取れ、技術力も要求されない公共事業の受注に奔走してきた。

不透明な補助金の使われ方

 森林組合が公共事業べったりだったのは、それだけではない。公共事業のほうが、民有林整備事業に比べ、補助単価ないし事業単価が高いという「ねじれ」になっているのである。

 民有林では、林分調査や施業集約のため森林所有者への働きかけ、施業の発注や結果の監督といった森林管理業務が要求されるのに対し、公共事業ではその発注者である県や国が森林管理の業務を行うため、森林組合の事業は基本的に現場作業だけで済む。それにもかかわらず、手間ひまかかる民有林のほうが単価が安いとなれば、森林組合が民有林にそっぽを向き、公共事業の受注に奔走するのもやむを得ないと言えるだろう。

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