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episode:57
「そちらへの出資が継続できるかどうか、わからなくなりつつあります。」

  • 阿川 大樹

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2010年6月8日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼に旭山隆児(あさひやまりゅうじ)が呼び戻され、第三企画室が設置され1年が過ぎようとしていた。独立した新会社オルタナティブ・ゼロでは旭山社長のもとで第三企画室室長 風間麻美(かざまあさみ)、次長 楠原弘毅(くすはらこうき)が忙しく働いていた。新事業立ち上げ目前の風間に遅れていた楠原だが、なんとか見通しがついた。

【登場人物の紹介はepisode:zeroをどうぞ】

 楠原も風間も、ブレーンストーミングが終わると、すぐに出かけていった。

 オフィスには誰もいない。

画像のクリックで拡大表示

 旭山隆児は重い気持ちで電話機をとった。

「電話、お待ちしていました。ちょっとお待ちください」

 直通電話に日枝はすぐに出た。

〈おい、A会議室空いてるか〉

 籠もった小さな音量で、近くの者に話しかけているらしい日枝の声が聞こえていた。

「旭山さんはいまお一人ですか」

「ええ、そうです」

「では、すぐにこちらからかけ直します」

 別室からかけて、電話の内容を誰にも聞かれないように、ということだ。いよいよいやな予感がする。

「何が起きました?」

 受話器を取り、日枝の声であることを確かめると、旭山は自分から促した。わずかな時間でも待つのがいやだった。

「どの順番からお話ししようかと迷ったんですが」

 前置きはいらない。だが、おそらく日枝も切り出すのが辛いのだ。いったいどんな用件なのだろう。思い当たるいくつかのことが頭の中をぐるぐる回っていた。

「ヒッタイトがまた持ち株を増やしていましてね」

 その話はずっと前に聞いていた。

 第三企画室が発足したばかりの頃だ。ここ10年であっというまに世界最大の鉄鋼メーカーになったヒッタイト・スチールが、その勢いのまま世界中の鉄鋼メーカーを買い漁っている。大日本鉄鋼もそのターゲットになっている。

「ちょうどギリシャ・ショックで世界的に株安になりましたが、リーマンショック以後、日本の株価だけが低迷していましたでしょう。買い時とばかりに買い込んでいたようなのです」

 オルタナティブ・ゼロが別会社になって以来、大日本の株価や出来高は、自分の眼中になかった。

「そうですか。知りませんでした。自分の会社のことを考えるので手一杯で」

 自分たちはもう別会社なのだ。図らずもそんな思いが言葉になって出たかもしれない。もちろん話をそう簡単に片づけることはできない。

「いくつかのトンネル会社が買い込んでいたものを、大量放出したと見られる動きが何度かあります。そこで株価を下げ、一部の投資家がパニック売りになるのを見越して、根こそぎ本体が買い込むという。おそらくはそんなやり方で」

 株価操作か。それが犯罪であっても、たぶん立証できないやりかたなのだろう。株の売買のことには詳しくない。だが、株をもたれればどうなるか、それはわかる。

「間に立っているのは、例のミッドランド・ファンドですか。バヌアツの」

「それと、他にもあやしい買い手がいくつか」

「なるほど」

「事態は深刻です」

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