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組織変更に明け暮れる日本企業の不毛

“転地”に挑み、長期の低迷から抜け出せ

2010年6月8日(火)

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 政治資金問題や米軍普天間基地の移設問題などで失政が続き、鳩山由紀夫前首相が辞任する事態を招いた民主党政権。その国家運営に批判が集まっているが、より多くの問題を抱えているのは、実は国よりも民間企業の方である。

 故田中角栄元首相はかつて高度成長期の延命を狙って、「日本列島改造論」を打ち出した。現在の日本が必要としているのは、日本列島の改造、すなわち国の主導による改革ではなく、日本企業の改造だ。

 なぜなら、多くの企業が低い利益率に甘んじ、収益性を高める努力を怠っているからである。今ここにメスを入れて企業を改造しなければ、税収も増えず、国も企業と一緒に沈没しかねない。

 企業の戦略の目標は、利益を最大化することにある。そのために主力事業として何を選ぶのか。すなわち、企業にとっての「立地」を選定することが戦略の要となる。

 この立地選定の重要性はかつてないほど高まっている。戦後半世紀が経過し、多くの会社が主力事業の寿命に直面しているからだ。新たな立地の選定、いわば「転地」が必須となっている。

 その巧拙は企業の死命をも決する。だが、どうすれば転地を成功に導けるのか。

 本コラムでは、企業が転地に成功するパターンや条件を、経営戦略論の第一人者である神戸大学大学院経営学研究科の三品和広教授が、実例を基に解説していく。初回は、事業に寿命がある理由とともに、多くの企業が転地に踏み出せない原因について解き明かす。

 「会社の寿命は30年」──。

 日経ビジネスは時代を表す数々のキーワードを生み出してきたが、その中でも最もよく知られているのは、この衝撃的なフレーズだろう。

 今や定説となった感さえあるこの仮説が同誌に初めて登場したのは、1983年9月19日号に掲載された「企業は永遠か」と題する特集記事であった(関連記事)。

 この特集において同誌は、日本経営史を研究する中村青志・東京経済大学経営学部准教授の協力を得て、「日本のトップ企業100社」の100年間の変遷を調べた。

 総資産額の多い上位100社を、1896年(明治29年)から1982年(昭和57年)までほぼ10年おきに抽出。ランクインした会社の移り変わりを分析して、「会社の寿命──1企業が繁栄を謳歌できる期間──は、平均でわずか30年」という結論を導き出したのである。

 この特集をベースにした単行本『会社の寿命─“盛者必衰の理”』(日本経済新聞社、文庫版は新潮社が発行)がベストセラーとなり、会社の寿命30年説は一般に広く知られるようになった。

会社の平均寿命は本当に30年か?

 私がこの定説に出合ったのも、単行本を手にしたことがきっかけだった。100社の上位に名を連ねる企業の業種が、繊維から造船、鉄鋼、電機、自動車というような順番で10年ごとに大きく様変わりしており、示唆に富んだ分析に感心しながら読み進めたことを今でも覚えている。

 しかし、会社の平均寿命が30年という結論については賛同しかねる。なぜなら、現実には100年以上にわたって繁栄を謳歌し続けている企業が少なくないからだ。米国には、デュポンのように200年余りもフロントランナーの地位を維持している会社もある。

 ただし「会社の寿命」を「事業の寿命」に置き換えると、話は違ってくる。拙著『戦略不全の因果』(東洋経済新報社)を書くために上場企業1013社を調査した結果からすると、事業の平均寿命については30年という数字がかなり当てはまるのだ。

 にもかかわらず、30年はおろか100年も200年も繁栄している企業がある。必然的に導かれる結論は、長寿企業は主力事業を巧みに入れ替えて存続を図っているということだ。

 ピークを過ぎて衰退し始めた事業から新たな成長事業へと乗り換え、常に勢いのある事業を主軸に据える。これが、永続する企業の条件なのである。

 企業が息絶えるのは、決して寿命が尽きたからではない。新たな勢いのある事業にシフトできなかったことが原因だ。それはとりもなおさず、経営の失敗であり、企業が天寿を全うしたわけではない。

 実際、米国には主力事業をうまく交代して、長期にわたり繁栄し続けている企業が多い。例えばゼネラル・エレクトリック(GE)。同社の創業時の主力事業は、今ではお目にかかることのなくなった裸電球の製造・販売だった。その後、家電製品、金融、医療機器というように、時代の移り変わりとともに事業の“主役”を代えて、トップ企業であり続けてきた。

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「組織変更に明け暮れる日本企業の不毛」の著者

三品 和広

三品 和広(みしな・かずひろ)

神戸大学大学院経営学研究科教授

専攻は経営戦略・経営者論。1989年米ハーバード大学文理大学院企業経済学博士課程修了、同大学経営大学院助教授に就任。北陸先端科学技術大学院大学助教授などを経て、2004年から現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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