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「拡大ものづくり業化」が成長と雇用を生む

新しい日本型中流社会と教育システム(その2)

2010年6月11日(金)

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「経営レンズ箱」はこちら(2006年6月29日~2009年7月31日まで連載)

 前回は、ありとあらゆる切り口で議論が可能な「教育」について、「教育が中流社会のキップになる」「教育が国の競争力を強める」という条件を満たせる改革が第一に必要ではないかということを述べさせていただいた。

 今回は、「教育」の要件を見定めるうえでの前提となる、日本が「中流社会」を再構築していくための産業競争力の方向性から考察していきたい。

 日本経済が今後中長期に安定した成長を果たし、かつ、国内で十分な雇用機会が生まれていく(=21世紀型の新しい日本の中流社会が形成される)ためには、私は以下の3点セットが重要だと考えている。

(1) ものづくりとサービスの融合=拡大ものづくり業化
(2) モノとサービス両面でのアジアを中心とする新興国成長の取り込み
(3) 日本に企業と雇用が残り続けるための必須条件としてグローバル競争力のある税制と教育システム

 まずは、ものづくりとサービスの融合=拡大ものづくり業化。一言で言えば、ソリューション提供ということになるのだが、私は、通常で語られているより、もう少し広くとらえて考えている。

 パターンの1つに、商品のライフサイクル全体の中で、これまで製造業以外のプレーヤーがばらばらにカバーしてきた部分を、製造業が一定の主導権を持って提供して付加価値も得る、というものがある。 モノが作られ、ユーザーの手に渡ってから、最終的にリサイクルされるというサイクルの中での、「入手、利用、メンテナンス、売却・中古販売、リサイクル」などの要素を、製造業がとりまとめて提供するのである。

売り物は、トラックではなく、走行距離

 具体的には、メルセデス・ベンツの欧州トラック部門のケースが参考になるだろう。ここ数年、別部門を立ち上げ、「トラックではなく、km(キロメートル)を売る」というビジネスを大きく伸ばしてきている。「トラックを開発・製造し、ディーラー経由で売る」というビジネスではなく、運輸業者に対して「必要な台数のトラックを手配、荷台部分の架装も施す。利用中のメンテナンスや保険、固定資産管理といったサポート業務をすべて引き受ける。そのうえで、支払い方法は、トラックの走行距離1キロメートル当たりいくら、という形にする」というビジネスだ。

 運輸業者は、「トラックを走らせる」ことが重要であり、荷を乗せて走った距離にほぼ比例するような形で収入が上がる。従って、その他すべてを引き受けてもらい、そのコストも含めた1キロメートル当たりの価格が明確ならば、自分の間接業務に関わる手間の大幅削減と合わせて、大きなメリットがあるというわけだ。

 米ゼネラル・エレクトリック(GE)のジェット機用エンジン部門も同様の考え方だ。「ビジネスに使用した時間当たりいくら」という形でジェットエンジンのリースや整備を組み合わせた事業を行っている。急速に成長する中、固定資産投資(ジェットエンジン、その予備部品、整備工場など)の急増や整備人員の大幅増への対応に悩む新興国航空会社にとっては渡りに船のようなビジネスであり、GEのシェアは10%台から50%を超えるところまで伸びた。

 メルセデス・ベンツやGEのモデルを(少し生硬な言い方だが)要約すると、「自社製品のライフサイクルにかかわるバリューチェーンを広くカバーし、コーディネートすることで、モノの製造販売を大きく超えた付加価値を得るソリューションビジネス」といってもよいだろう。

TQMをライフサイクル全般に拡大する

 少しずつ、世界のあちこちで姿を現しているこのタイプのビジネス。環境変化の中で、今後かなりの勢いで伸びる可能性があり、また、日本企業本来の得意技を活かす余地も大きい。

 例えば、世界的に工業製品のリサイクルが、重要な課題として顕在化しつつある。となると、中古品の売買まで含めて、メーカーがきちんと一定のコントロールを行う必要が出てくる分野は増えていくだろう。

 自動車や家電は、中古品の売買について、メーカーはほんの少ししか絡めていない(自動車業界は、この点を是正しようと相当努力しているが)。日本で仕入れた中古自動車を新興国に輸出するビジネスについては、これまでも報道などで取り上げられてきた。大型家電についても、同様のビジネスが今後は大きく伸びる可能性がある。地デジ化によってモジュール化されたテレビなどは、一部の部品を取り替えるだけで、十分に新興国市場でリセールバリューのある代物に再生できよう。

 また今後ハイブリッドや電気自動車が増えるにつれ、電池のリサイクルが大きな社会課題となる。国内でのメンテナンスやリサイクルに加え、海外向け二次市場についても何らかの対応が必要となろう。

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「「拡大ものづくり業化」が成長と雇用を生む」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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