「反常識のマーケティング」

「絶対儲からない」はずのアマゾン流が成功する理由

「全品無料配送」に秘められた創業者の哲学とは

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2010年6月11日(金)

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 書籍などのインターネット販売で日本でも人気が高いアマゾンジャパン。しかしそのマーケティング手法は、常識では理解しにくいものが多い。

 例えば「全品無料配送」キャンペーンは、利益確保が難しいように見える。自社で販売する「新品」の商品と競合する「中古品」の販売にも熱心だ。

 不思議なアマゾン流マーケティングに秘められた創業者の成功哲学とは。

 「絶対に儲かるわけがない」。思わず首をかしげたくなるようなマーケティング手法がある。アマゾンジャパンの「全品無料配送」キャンペーンだ。

 147円のパソコン用LANケーブル、210円の鉛筆削り、368円の絵本・・・。アマゾンが自社で在庫を持って販売する様々な商品から、たった1個を選んで買っても配送料は無料になる。

長期的な成功を重視するアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長(写真:陶山 勉)

 アマゾンの配送料は通常300円(1500円以上購入した場合は無料)。利用者が数百円の商品を買うと、配送コストの負担でほぼ間違いなく赤字になるはずだ。利用者が増えても、このキャンペーンで、アマゾンが企業として利益を出すハードルは極めて高い。

 なぜ損を覚悟する必要があるマーケティング手法をアマゾンは取るのか。そんな疑問をアマゾンジャパンのジャスパー・チャン社長にぶつけてみた。

 「われわれは短期的な利益は重視していない。長期的な成功が目標だ。アマゾンには、顧客に喜んでもらえるナンバーワンの価値を提供し続ければ、必ず成功できるという企業哲学がある」。チャン社長はこう言い切る。

 配送料を全品無料にすることで、アマゾンで買い物をする消費者が増えることは間違いない。アマゾンが損をする取引が少なからずあっても、「アマゾンで買うと得をする」「インターネットショッピングはアマゾンが一番」というイメージを消費者に植え付けやすい。そうなれば、頻繁に買い物をするリピーターが増えて、長期的に成功するという考え方だ。

全社員が電話でクレーム対応

 非常識にも思える戦略の背景には、アマゾンの経営哲学がある。まず顧客中心の視点で、あらゆる戦略を考えて実行すること。きれいごとに聞こえるかもしれないが、アマゾンは本気だ。

 米アマゾン本社のジェフ・ベゾスCEO(最高経営責任者)を含めたアマゾンの全社員は、カスタマーサービスを提供するコールセンターで定期的に研修を受ける。すべての社員が、厳しいクレームを含む電話に直接受け答えしないと、顧客の本当の姿を理解できないと考えているからだ。

 顧客中心の視点からベゾスCEOが重視するポイントは3つ。「豊富な品揃え」「エブリデー・ロープライス(いつも低価格)」「コンビニエンス(利便性)」である。

 この3つのポイントで、ライバルを引き離すために、アマゾンは短期的には損をする可能性がある様々な戦略を実行してきた。

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