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異文化で働くための基礎教育を大学に期待する

新しい日本型中流社会と教育システム(その3)

2010年6月25日(金)

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「経営レンズ箱」はこちら(2006年6月29日~2009年7月31日まで連載)

 前々回は「教育が中流社会のキップになる」「教育が国の競争力を強める」という条件を満たせる改革の必要性という形で問題を提起させていただいた。

 前回は、日本が「中流社会」を再構築するために重要と私が考えている3点セット、「拡大ものづくり業化」「新興国成長の取り込み」「グローバル競争力のある税制と教育システム」を挙げた。そして、拡大ものづくり業化が日本に優位性をもたらし、新興国需要の取り込みにもつながる可能性を指摘した。

内需産業も新興国の成長を糧に

 もちろん、拡大ものづくり業化が伴わなくても、従来型の製品輸出ないし現地生産・販売によって新興国ボリュームゾーンの需要を獲得し、自らの成長につなげていくというのが数多くの日本の製造業が目指しているところであるのは言うまでもない。

 この際、日本で開発した先進国向け(ないし新興国富裕層向け)商品をシンプル化するというアプローチでは立ち行かない場合が多い。新興国発の意欲的なプレーヤーたちとのコスト競争に勝てる商品を、現地ニーズを踏まえて開発し、マーケティングしていくことが不可欠だ。これもチャレンジを乗り切りさえすれば、十分に勝てる分野だろう。

 一方、いわゆる内需型のサービス産業についても、新興国需要を自らの成長の糧とするやり方は存在する。

 最も分かりやすいのは、観光分野だろう。訪日観光客を「2008年の800万人から2500万人に、将来は3000万人に増やそう」という計画が打ち出されている。中国人観光客のビザ規制緩和も相まって、この増加のかなりの部分は中国はじめアジア新興国からの旅行客となろう。彼らが日本国内で落としてくれるお金は、形を変えた外需として日本のサービス業全般の成長につながる。

 通常は、典型的な内需産業と考えられている医療の分野でも、同様の外需取り込みが可能だ。日本は、検査漬け大国とされ、人口1人当たりのCT(コンピューター断層撮影装置)やMRI(磁気共鳴画像装置)、あるいはPET(陽電子放射断層撮影装置)といった高価な検査機械数が世界一だと言われている。これは考えようによっては、十分な設備投資が既に済んでいるということであり、需要さえついてくれば、日本人に高度な検査をリーズナブルなコストで提供しつつ、医療機関も適正な利潤を得ることができるということになる。

 医療ツーリズムと言われる分野の本質はここにある。海外の富裕層に先端医療を提供し、一部の医療機関が(極端に言えば、日本人の受診機会を奪いながら)自由診療で超過利潤を得る。こういった見方をする方がいらっしゃるが、実際には、「人口減少の中で、稼動が低下する高額な検査機械を」、「日本人受診者に加えて、海外からの医療ツーリズム旅客にも開放することで」、「結果的に、機械稼動の向上、一検査当たりのコスト低減、日本人受診者の支払い額維持ないし低下」を実現させる、というところがミソである。

 これまでの蓄積を活かし、海外からのサービス需要を呼び込んでいける分野は、おそらくほかにもたくさんあるだろう。

異質の組織で働ける人材教育

 ここまで拡大ものづくり業化、そして、新興国需要の取り込みという2点が、日本の産業競争力強化につながり、パイの拡大と雇用機会確保・創出を通じて、新しい中流社会作りにつながるということを、述べてきた。

 そして、3点目のこれを支える税と教育システム。税は本稿の趣旨から外れるので、別の機会を待ちたいが、教育システムのどこをどう変え、どういう人材育成をしていけば、上記2点の実現につながるのだろうか。

 乱暴なまとめ方をしてしまうと、「異質の人材とチームで働ける人材」「新興国の市場と文化、言語を理解している人材」を相当量供給する教育システム作りが鍵だと思う。

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「異文化で働くための基礎教育を大学に期待する」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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