• ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版
  • 日経BP

「売れない時代」のホントとウソ

花王元会長が語る「安売り至上主義は、消費者を不幸にする」

2010年6月16日(水)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 洗剤「アタック」などで知られる花王のトップを長年務めた後藤卓也氏。現在は日本マーケティング協会の会長の立場から、活発に発言している。

 国内消費の低迷する中、低価格商品の強化とグローバル展開を進める日本企業のマーケティングの死角をすばり指摘する。

(聞き手と構成は山崎良兵=日経ビジネス記者)

後藤 卓也(ごとう・たくや)
1940年生まれ。64年千葉大学工学部工業化学科卒業、同年花王石鹸(現花王)入社。79年タイの泰国花王実業出向、同社工場長就任。90年化学品事業本部長、同年取締役、91年常務、96年専務を経て、97年社長に。2004年に会長。2007年日本マーケティング協会会長。2008年花王会長を退任。(写真:稲垣 純也)

 唐突ですが、マーケティングって何でしょうか。そのまま尋ねたら、「広告宣伝!」「販売活動ですか?」「商品開発でしょう」といった様々な答えが返ってきそうですね。

 しかし私は“経営”そのものだと思っています。

 マーケティングの原点となるのは、やはりお客様です。消費者や企業など顧客が何を求めているのかを探り出して、魅力ある商品やサービスの形で具現化していく。それをお客様が使って満足したら「次もまた使おう」と考える。

 その結果、企業は収益を得られる。このようなサイクルをどんどん回して動かしていく。だからマーケティングは経営そのものなのです。

 この大きな視点に立って、様々な戦略を実行する必要があります。狭い範囲で考えてはいけない。「とにかく新商品ができたので、売らないといけない」「販促費を出すので販売店さん売ってください」といった姿勢では、過酷な価格競争に陥るだけです。いわゆるデフレ現象をむやみに加速させることになる。

「安いのはいいことだ」に大反対

 「モノが安いのはいいことだ」とばかりに、低価格路線を取る企業が増えています。しかし私は大反対です。価値ある商品を作っているなら、ふさわしい価格があるべきです。

 適正な利益をメーカーが確保できないと、長続きしません。スーパーが「プライベートブランド(PB)」商品をどんどん出して、安売りしても消費は伸びていない。安売り追求には、既に限界が、見えてきているのかもしれません。

 モノ作りをするメーカーとしては、デフレに対抗するには付加価値を高めるほかに道はありません。

 つい最近、国内の大手スーパーの経営幹部と会う機会がありました。PBに力を入れている会社です。「品質が多少悪くていいので、少し安い値段でPBを出してほしい」といった風に、多くの大手スーパーはメーカーに働きかけています。

 しかし花王は、家庭用洗剤の「アタック」のPB商品はやりません。「300円を200円にしてもらえるなら、数量を保証するから作りませんか」と言われても絶対にやらない。アタックは、マネが難しい「鼻薬」のような技術が入っているから、価格が高くても売れるのですが、それを入れなくていいので安くしてほしいと言う。

コメント5件コメント/レビュー

「安かろう悪かろう」という言葉は死語になったのだろうか。安い商品には偽装や不正が入り込む危険がある事を今の消費者はよく理解していないと思われる。以前は「安いモノ=貧乏人」という構図があったが、一億総下流となった現代では「安いモノ=善」という志向(嗜好)が強くなり、「一流よりも二流三流でも安いモノ」という思考が若者に植え付けられてしまっている。これは、競争を避けるゆとり教育が生み出した産物でもあり、より良いモノを追い続けてきた世代とは相当のギャップがあると思われる。花王のような一流の企業が高級品を維持したまま今後淘汰されずに生き残っていける事が重要であり、一流企業が安易な安売りに走れば二流三流の企業ではとても太刀打ちできないのである。花王が安売りをしないのは、同業下位企業に対する配慮でもあるはずであり、花王に限らず一流企業は誇りをもって、安易な安売りだけは回避してもらいたいものである。(2010/06/17)

「反常識のマーケティング」のバックナンバー

一覧

「「売れない時代」のホントとウソ」の著者

山崎 良兵

山崎 良兵(やまざき・りょうへい)

日経ビジネス副編集長

日経ビジネス編集部、ニューヨーク支局、日本経済新聞証券部などを経て、2017年1月から日経ビジネス副編集長。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

「安かろう悪かろう」という言葉は死語になったのだろうか。安い商品には偽装や不正が入り込む危険がある事を今の消費者はよく理解していないと思われる。以前は「安いモノ=貧乏人」という構図があったが、一億総下流となった現代では「安いモノ=善」という志向(嗜好)が強くなり、「一流よりも二流三流でも安いモノ」という思考が若者に植え付けられてしまっている。これは、競争を避けるゆとり教育が生み出した産物でもあり、より良いモノを追い続けてきた世代とは相当のギャップがあると思われる。花王のような一流の企業が高級品を維持したまま今後淘汰されずに生き残っていける事が重要であり、一流企業が安易な安売りに走れば二流三流の企業ではとても太刀打ちできないのである。花王が安売りをしないのは、同業下位企業に対する配慮でもあるはずであり、花王に限らず一流企業は誇りをもって、安易な安売りだけは回避してもらいたいものである。(2010/06/17)

本当におっしゃっていることをよくわかりますが、下記の通り、高いモノを作るのに、まずそれなりの技術や資本金が用意されている訳で、果たして世の中にはそういう企業はどれほど存在されるでしょうか。中小企業にとって今では利益を出す前に、まず存続問題ですね。ヒーヒー言っているのは大半異常を示す我々庶民でありますから。殿様目線で世を見るとあえて人々の中に入れやしません。(2010/06/16)

仰ることは判るのですが、PBを断れるのは、あくまでも「花王」だからでしょう。素晴らしい技術が入っているので高くても売れる、というメーカーならそれで良いのでしょうが、日本の中小企業の多くはそんな殿様商売ができるような技術を持っていません。断れば最後「じゃあいいです。おたくのは要りません。」で終了です。素晴らしい技術が無いのは会社のやる気と情熱が無いからだろう!という反論があるかもしれませんが、じゃあ考えてください。すべての会社に1つずつ「素晴らしい技術」が生まれることは可能ですか?「素晴らしい技術」は現在存在する会社の数だけあるのですか?花王のような巨大企業が「安売りはいけませんよ。素晴らしい技術なんだから、PBなんか断りますよ」と言っても、「パンが無いならお菓子を食べればいいじゃん?」としか聞こえません。(2010/06/16)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

日本の経営者は、経験を積んだ事業なら 失敗しないと思い込む傾向がある。

三品 和広 神戸大学教授