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バカ上司とスーパー上司の“意味深”な関係

悪気のない行動が思わぬ“被害者”を生む

2010年6月17日(木)

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 困った上司、というのは、どこの会社にもいるものである。

 部下たちは時折、そうした上司の悪口を酒のさかなにしてストレスを発散させる。不思議なもので、自分がバカ上司と感じている人に対しては、周りも同じ思いを抱いていることが多い。だから、「あのバカ上司ときたら……」と誰かが口火を切った途端に、「そうそう。この間もさ~」と同僚たちも乗り出してくる。まるでダムの堤防が決壊したかのように、不満を爆発させるのだ。

 バカ上司に対する不満は、インタビュー調査などでも耳にすることが多い。最初は「こんな言い方したらアレなんですけど、うちの上司が信じられないくらいバカで……」とためらいがちに話し出す。ところが次第に熱が入り、最初の丁寧な語り口がいつの間にやら辛辣で攻撃的になり、とめどなく不満を発散させるのである。

 もっとも、ここで言うバカ上司とは、イヤミを言ったり、やたらと威張っていたり、ゴマすりが上手だったりするイヤな上司とは本質的に異なる。

・方向性を示せない。

・こっちの言っていることを理解できない

・その都度、言っていることが違う

・一度、決定したことをすぐに変える

 このように決断力や理解力のない上司が部下をあきれさせ、バカ上司というレッテルを張られるのだ。

 部下たちには上司を選ぶ権限がない。どんなバカ上司であっても、毎日顔を合わせ、付き合わなくてはならない。だから余計にストレスもたまる。

 できる限り接触を避けようとしても、完全に無視することはできないから、「もう、何とかしてくれよ」とついつい悲鳴を上げてしまうのだ。

出世していくと、いずれは無能になる?

 「バカな上司=無能な上司」とイコールで結んでしまっていいのかどうか、迷うところではあるのだが、組織に無能な上司が多い理由を説明する際によく用いられるのが、「ピーターの法則」と呼ばれるものだ。

 これは、カナダ人教育学者のローレンス・J・ピーターが提唱した有名な法則である。「階層社会の各構成員は、各自の力量に応じて無能なレベルに達する傾向があり、分相応に出世したらそれ以上の出世は望まないに限る」といった示唆を世間に与えた。

 働く人は仕事で評価されると、一つ上の階層に出世していく。そして、いずれは自分の仕事が評価される限界の階層まで出世する。

 人間には能力の限界もあれば、出世に伴って仕事の内容が変わることにうまく適応できないこともある。例えば商品を販売する能力の高い人が、必ずしも管理職としての能力にも長けているわけではない。

 その結果、出世してたどり着いた地位がその人にとって「不適当な地位」と化し、周りからは「無能」と評されるようになってしまう。

 仕事ができることの報酬として昇進だけを用いると、管理職、すなわち上司は無能な人だらけになる。ピーターはこう警鐘を鳴らしたのである。

 ピーターの法則の変形版と言われているものに、「ディルバートの法則」がある。「企業は損失を最小限にするために、最も無能な従業員を管理職に昇進させる傾向がある」というのが、その内容だ。

 これは、米国の大人気漫画『ディルバート(Dilbert)』の作者であるスコット・アダムズの造語である。米IT企業でエンジニアとして働いた経験を持ち、現在はスコット・アダムズ・フッズという会社のCEO(最高経営責任者)でもある彼ならではの、何ともウィットに富んだ指摘だ。

 アダムズは1995年に米経済紙ウォール・ストリート・ジャーナルに寄稿した記事でこの法則を紹介。この法則をタイトルにした本も書き、それは全米でベストセラーになった。

 アダムズによれば、組織の生産性に直接的に関係しているのは組織の下層部で働く人たちであり、上層部にいる人たちは生産性にほとんど寄与していない。だから無能な人ほど、生産性とは関連の薄い上層部に昇進させられることがあると、皮肉ったのである。

 このディルバートの法則は学術的な根拠が希薄だとされているが、世間に広く支持された。確かに仕事ができるからという理由で出世しているとは限らない現実を考えると、かなり納得のいく法則でもある。

 でも、多くのビジネスパーソンが遭遇する困った上司たちは、ピーターの法則やディルバートの法則のような“組織の法則”によって生まれるべくして生まれた、無能な上司たちばかりなのだろうか? 本当は無能ではないのに、部下からバカ上司と見られている気の毒な上司もいるのではないだろうか?

 こうした疑問を抱いたのは、デキル上司の下で働く、ある管理職の嘆きを知ったからである。

 そこで今回は、バカ上司について、考えてみようと思う。

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「バカ上司とスーパー上司の“意味深”な関係」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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