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デキル上司は、自分がお好き?

“コピー症候群”が、部下の成長を阻害する

2010年6月24日(木)

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 「上司は上司で結構つらいんだよ。部下たちは『あのバカ上司』と酒のさかなにしてストレス発散させればいいけど、こっちはそういうわけにはいかない。会社をつぶさないためには後継者を育てなきゃいけないから、『あのバカ部下ども』と、グチを言ってもいられない」

 これは先日、中小企業のトップや役員の方たちとの会合で、前回のコラムを読んでくださっていた一人が漏らした言葉だ。

 「部下のいる部下には裁量権を与えるべし」という趣旨で書いたのだが、「そうはいっても、なかなか任せるのは難しい」というのが、トップや役員たちの本音らしい。

 「自分たちの過度な干渉が、部下たちから“バカ上司”と思われてしまうような上司を量産している可能性は理解できた。だが、そうはいっても任せられるだけのレベルに達していない中間管理職たちを使う側も大変なんです」

 「コラムを読めばその通りだと思うし、言わんとしていることはよく分かるよ。でもね、実際には物事を自主的に決められる部下は非常に少ない。だから私たちも、ついつい一部始終を把握したくなるんだよ」

 「私の仕事といったら部下のトラブル処理ばかり。それだけで一日が過ぎてしまう」

 冒頭の男性(従業員200人ほどの会社の役員兼営業部長)が「上司の方がつらい」と口火を切った途端、それこそダムが決壊したかのように、周囲の人たちも次々にこう言い始めた。

 そして、次のような中小企業での難しさを指摘した。

 「大企業では競争原理が働くから、放っておいても、“任せられる中間管理職”が育つ。だが、中小企業では人数も少ないし、なかなかそうはいかない」

 念のために断っておくが、彼らは何も大企業にいる人が優れているとか、中小企業にいる人がそうでないとか、自分の会社を卑下しているわけではない。

 単なる“数”の問題上、どうしてもそういう違いが生まれる、というのだ。

 そういえば、サッカーのワールドカップの話題で盛り上がるテレビ番組の中で、日本代表の岡田武史監督のブレーンの方が、対戦相手であるオランダ代表の強さについてこう語っていた。

 「南米やアフリカは国土も人口も大きいし、サッカー人口も多いから、スーパープレーヤーは、放っておいても出てくる。小国が強くなるには、子どもの頃から実践を通してシステマチックにサッカーを教え込むことが必要だ。オランダではそういった教育が行われている」

 数がおのずともたらす強さがある――。

 中小企業のトップや役員たちは、そういうことを言いたかったのだと思う。

人間は自分と似ている人を好む

 「でも、トップたるもの部下たちを育てるのが仕事なんだし、それなりの給料も権限も権力も手にしているんだから、部下の育成に注力すべきでしょ」

 こう一刀両断にする人もいるだろう。

 だが、少なくとも私に不満を漏らしたトップたちは、彼らの言い草が適当であるかどうかは別にして、「どうにかして部下に育ってほしい」と願い、思い悩んでいる人たちだ。

 部下たちに全く権限や裁量権を与えていないにもかかわらず、「え、私ですか? ちゃんと裁量権を与えていますよ。そうしないと、彼らだってモチベーション上がらないでしょ」とヌケヌケというようなトップではない。

 ましてや、「自分より優れている」と感じる部下をねたんで、無意識に排除し保身に走っている人たちとは明らかに異なる。

 「そりゃ、あなたの仕事ですから」と突き放すのは気が引ける。

 そこで今回は、「オレたちだってつらいのよ」と不満を抱えているトップたちの立場に立って、“上司が求める部下”、について考えてみようと思う。

 まずは、冒頭の男性の言い分に耳を傾けていただきたい。

 「実際には、裁量権は与えているんです。でも、決断が甘い。それじゃ、会社つぶれるだろ、っていうようなことを平気でする。そこで、決定する前に少しでも悩んだり、分からないことがあったりしたら、私のところに相談に来るよう徹底させています。だから、大きな案件になればなるほど、かなり緊密にコミュニケーショを取っています」

 彼はこう言った後、次のように続けた。

 「でも、これだけではいつまでたっても、部下は育ちません。そこで考えたんです。自分のコピーを作ればいいじゃないかって。私の考え方、やり方、運営の仕方を徹底的に教え込む。それが一番の方法かなと今は思っています」

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「デキル上司は、自分がお好き?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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檜山 敦 東京大学先端科学技術研究センター 講師