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episode:60
どこかに「自分にあった会社」があるとしたら、それはどんな会社なのだろう。

  • 阿川 大樹

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2010年6月29日(火)

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前回までのあらすじ

老舗 大日本鉄鋼に旭山隆児(あさひやまりゅうじ)が呼び戻され、第三企画室が設置され1年が過ぎようとしていた。独立した新会社オルタナティブ・ゼロでは旭山社長のもとで働くのは第三企画室室長 風間麻美(かざまあさみ)、次長 楠原弘毅(くすはらこうき)。ガレージ村の起業を前に引越しをした麻美は、自分を持て余し気味だった。

【登場人物の紹介はepisode:zeroをどうぞ】

 みなとみらいの高層ビル群が傾いた日差しを受けて、遠く黄金色に輝いていた。
 運河を「シーバス」がゆっくりと遠ざかっていく。

画像のクリックで拡大表示

 風に当たりながら話のできる場所。

 それがハナと麻美のその日のチョイスだった。たぶん、男性は仕事の打合せにそういう場所は選ばないような気がする。

「風間さん、進藤英俊とつきあっていらっしゃっていたんですよね」

 ガレージ村の広報戦略についての議論が終わりかけたとき、それまでの話と何一つかわらぬ調子で、ハナがさらりと言った。

「そうだけど。進藤から聞いたの?」

「聞かなくても、すぐにわかりました。彼、わかりやすいですから」

 言葉はほんのわずか愛おしむような言い方だった。けれど湿り気はない。

 ガレージ村にゴルフ・ワゴンでやって来たとき、彼のようすからわたしが感じとったように、ハナもわたしと彼の関係を感じとったのだ。

「そうよね」

 麻美が微笑むとハナも笑った。トゲのない柔らかな笑顔だ。

「風間さん、お見通しだと思いますけど、わたし、進藤とつきあってました」

「過去形?」

「ええ。過去形です」

「何かあったの?」

 立ち入ったことを聞きたいわけではなかった。けれど、この話の流れでは、聞かないわけにはいかない。

「誰のせいということじゃなくて、別れた方がいいと思ったのでそうしました」

「そう」

 質問したのは自分だったが、帰ってきた答にうまく反応できない。

「進藤は不器用な人間なので、恋愛がからむと普通のことと普通にできなくなるんですよね。ちょっと計算ちがいでした。進藤がふつうに仕事をしてくれるのを期待してたんですが」

 そういいながら、持ち歩いているステンレス・ボトルを口にした。

 ハナの描くイラストは色彩豊かだが、彼女の人柄はそのボトルのように無駄な飾りがない。

「進藤自身の中にどうしてもわだかまりがあるみたいで、一緒にいて、それがめんどくさかったんですよね」

 どうめんどうなのかわからない。わからなくても、それでいい。

「でも、それはハナちゃんを愛しているからでは?」

 意味がないとわかっている言葉を継いだ。自分の存在が〈わだかまり〉の原因だとして、自分に何ができようか。

「わたし、仕事のチームの中に恋人がいようが元恋人がいようが、同じように仕事とができてこそプロフェッショナルだと思うんです。だから進藤はわたしとつきあってはいましたけど、腕は確かだし、ふつうに仕事をしてもらおうと思っていたんですよね。風間さんの方が仕事がやりにくいとかなら別ですけど」

「わたしのことを心配する必要はないよ。事業責任者として、メンバーのあなたが仕事をやりやすいようにしたいだけだから」

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