ホームページの理念や方針はホンモノか
このコラムシリーズの第1回では、「人と人に相性があるように、会社と働く人にも相性がある」ことについて、第2回では、「社長に聞かないとわからないワンマン企業では、社員は生き生きと働けない」ことについて取り上げた。
今回は、会社が理念や方針を掲げていても、真意が伝わらず現場は悶々としているという現実に注目したい。
企業のホームページでは、企業理念、経営理念、社是、社訓、経営方針、ビジョンなど、会社の理念や方針にあたるものを宣言している会社が多い。私は仕事柄ふだんから気にして見ているが、最近はそれらをホームページの1番目の項目として掲げることがスタンダードとなっているようだ。
なかには全く実態のない場合もあるのだろうが、一部を除けばまんざら嘘でも建て前でもないように私は感じる。そうでなければ、1番目ではなくもう少し後ろの方、たとえば会社概要の片隅にでも申しわけ程度に書くのではないか。理念や方針にあたるページを開いて、社長の写真の横に添えられた言葉を読んでいくと、本気なのだろうと信じたくなる。
よしんばホームページに掲げられている理念や方針が本気だとして、では会社の商品やサービスを通して顧客である私たちに届いているかというと、「それは会社による」といわざるを得ない。
商品やサービスに反映している会社、していない会社
トヨタの企業理念のバックボーンである『豊田綱領』には、「質実剛健」というトヨタ車ならではの特徴が表れている。だが直近のリコール問題でのつまずきにあるように、企業にとって理念を実現し続けることの難しさを改めて感じる(関連記事:「トヨタ志望の人材は、ホンダよりもパナソニックで幸せになる」)。
パナソニックの『綱領』には、「産業人タルノ本分に徹シ、社会生活ノ改善ト向上ヲ図リ」とある。パナソニックの商品はソニーやアップル社に比べるとわくわく感に欠ける(3Dは期待しているが2期連続の赤字。がんばってほしい)が、トヨタに近い質実剛健さを感じる。
ホンダの『フィロソフィー』(哲学)には「夢を実現する力が、次の夢を生む」とある。次々と夢のあるクルマを打ち出していた時代のホンダを思うと、理念の追求には終わりなどないことがわかる。
長く経営しているといろいろなことがあるが、トヨタはトヨタの理念を、パナソニックはパナソニックの理念を、ホンダはホンダの理念を、商品やサービスに体現している会社の代表だ。
ソニーは創業時の『設立趣意書』の「会社設立の目的」の1行目に「真面目なる技術者の技能を、最高度に発揮せしむべき自由闊達にして愉快なる理想工場の建設」を掲げて、技術者にとっての理想をめざしてきた。ユーザーの一人としては、「アップルにしようか、ソニーにしようか、パナソニックにしようか、○○にしようか」と迷ってしまうような“ぜいたく”を味わってみたいと思う。
日本を代表する大手メーカーを例に引いたが、規模の大小や業種は問題ではない。商品やサービスからその会社の理念や方針が伝わってくる会社もあれば、伝わってこない会社もある。伝わってこない会社では、社長がいくら心で強く思っていても、現場で働く人たちにまで届いていないか、現場の行動につながっていないのだ。
会社の方針を現場なりに理解し、よかれと思って行動しても時として上から怒られる。そのことが現場を悶々とさせ、「行きたい」はずの会社を、「行きたくない」会社にしている。
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1986年東京大学卒、同年リクルート入社。人事部を経てHR事業部へ。大手から中小まであらゆる規模、あらゆる業種の企業を対象に、採用・組織作りやブランド構築を支援する。全社表彰、MVPほか各賞を受賞。その後マーケティングの新規事業立ち上げに参画、軌道に乗せて2002年に退職。期間限定でベンチャーの立ち上げに参画した後、2003年9月に企業理念の共有浸透を専門とするコンサルティング会社、ブライトサイド コーポレーション(正式名称ブライトサイド株式会社)を設立、現在に至る。







