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一徹上司、女子社員を泣かす。

【第4回】 オールドタイプ上司の可能性と限界

  • 稲垣 公雄

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2010年6月30日(水)

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これまで、組織にマイナスの影響を残すことが多い管理職「スネオ」型「マスオ」型「ダメおやじ」型を紹介してきた。すると読者から「そろそろプラスの話も聞きたい」という声も聞かれるようになった。そこで、今回ご紹介するのは、「星一徹」タイプだ。部下に厳しいこのタイプはどんな行動が特徴なのか。深夜、丸定商事のオフィスで物語が始まった。

2010年7月1日23時30分。 丸定商事・営業1課――。

 23時30分――。石田美子は時計を見てげんなりした。まもなく、終電の時間だ。とてもじゃないが、間に合いそうにない。この1週間ずっとこの調子だ。自分でもそろそろ限界だと思う。どうしたらいいのだろう? 昼間の「一徹」の声がよみがえってくる。

「もう1回、やり直し――。俺が客ならこの企画書じゃ買わん」

 美子はもともと事務職だった。今年度になってから、初めて営業の仕事に取り組んでいる。6月に入って、初めての営業提案を任されることになった。その提案が明日の午後だというのに、今日の夕方になっても、まだ課長からOKがもらえない。

 美子の上司、星野一哲。営業1課、課長。通称「一徹」。いわずと知れた『巨人の星』の星飛馬の父、星一徹がモチーフだ。

「だいじょうぶか~?」
「中川くん――」
「ほら、差し入れ。石田さんらしくない顔してんなー、今にも倒れそうって顔してるぞ」 「だって…」

 菓子パンとチョコレート。そして、エスプレッソティー。

「ちょっと、見せてみなよ」

 2課の中川は、美子より入社年次は1年下だが、生まれ歳は同じだ。中川は3カ月前に、営業に来たばかりだが、美子は今の部署に異動したのは3年前になる。3カ月前には中川は営業については全くの素人で、美子がいろいろ教えてやった。しかし、この数週間は立場が逆転している。

「私、営業のことならなんでも知っているつもりでいたのに…」
「石田さんはなんでも知っているよ。俺は右も左もわからなくて、いろいろ教えてもらったじゃん」
「でも、私、本当は何にもわかっていなかった――」
「いやぁ、この企画書はそんなに悪くないと思うよ。星野課長には何て言われてるの?」
「それが、具体的には何にも言ってくれなくて――」
「まぁ、そうだろうな。ちょっと待ってろよ」

 しばらくすると、中川は自分が営業になった3カ月前に、初めて取り組んだ企画書のファイルを持ってきた。

「これが、最初に俺が作った企画書。それから、これが最終版。どう?」
「全然、違うね――」
「いや、見た目の違いじゃないんだよ。何が変わったかというと…」

2010年7月2日8時15分。 丸定商事・営業1課――。

 沈黙が続く。星野課長の資料をめくる音だけが早朝のオフィスに響く。星野が、顔を資料に向けたまま口を開いた。

画像のクリックで拡大表示

「――。昨日は何時までかかった?」
「…結構、遅かったです」

 結局、美子は明け方の4時前までオフィスに残って作業をした。タクシーで自宅に戻り、シャワーだけを浴びて始発電車で会社に舞い戻った。星野はいつものように8時すぎには出社してきた。

コメント12件コメント/レビュー

なるほど、こういうタイプの人が日本では上司(マネージャー)として成功するんですね。私が20何年か暮らしたアメリカのビジネス社会では、まず通用しない、どころか排斥されるでしょう。自分でやるプレゼンの資料を部下に作らせる、綿密な打ち合わせも指示も出さずに。あげくに部下は徹夜を余儀なくされる。こういう人には誰も付いていかないどころか、へたすると訴訟ざたになります。どうりで日本の駐在員はアメリカ人の部下を使えてないし、たいした実績も揚げられないわけです。ところが日本では「自分は一徹タイプ」と肯定的に捉えようとする経営者が多いそうですから、上司としての一つの理想像になっている。自殺者3万2千人の理由の一端が見えた気がします。(2010/07/03)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

なるほど、こういうタイプの人が日本では上司(マネージャー)として成功するんですね。私が20何年か暮らしたアメリカのビジネス社会では、まず通用しない、どころか排斥されるでしょう。自分でやるプレゼンの資料を部下に作らせる、綿密な打ち合わせも指示も出さずに。あげくに部下は徹夜を余儀なくされる。こういう人には誰も付いていかないどころか、へたすると訴訟ざたになります。どうりで日本の駐在員はアメリカ人の部下を使えてないし、たいした実績も揚げられないわけです。ところが日本では「自分は一徹タイプ」と肯定的に捉えようとする経営者が多いそうですから、上司としての一つの理想像になっている。自殺者3万2千人の理由の一端が見えた気がします。(2010/07/03)

「一徹」上司、旧来の美徳、頑固オヤジ型ですね。自分のスキルアップには利用できる(上目目線の表現で失礼)ので、若いうちはこの上司の下でも良いと思います。(ドラマCSI:NYのマック主任が理想の上司である私には、このタイプが一番合っているのかもしれない)ただ、他の方も指摘されていますが、周囲の理解を得られなければパワハラ上司と変わらず、むしろ悪い上司の分類に入ってしまうでしょうね。また、記事本文でも記載がありますが、能力のない人間が一徹型を目指そうとすると「スネオ」化しかねないので、「一徹」型が理想的上司のうちの一つのタイプとして語られるのもあまり推奨しません…。(2010/07/01)

星野課長の言葉をアニメ星一徹の声で脳内再生して楽しませてもらいました。星一徹は当時から特殊なおやじだったので、ほんとにいまだに8%もいるのでしょうか?まあ、星野仙一はリアル一徹っぽいかもしれないですね。本題とは外れる上げ足取り的なコメントですが、部下と合えば良い上司的な雰囲気が読み取れますが、「厳しい」が言葉の暴力=パワハラとなっている場合は、これを容認することは会社としてもNGであること。成果よりも社会的責任が優先されることを忘れないでほしいと言っておきます。昔、巨人の星を見ていたときに感じた違和感が星一徹的上司と言った表現に過剰反応を起こさせるようです。この記事を読んだ勘違いおやじが会社、社会に害毒を流さないことを祈ります。(2010/07/01)

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川野 幸夫 ヤオコー会長