• BPnet
  • ビジネス
  • IT
  • テクノロジー
  • 医療
  • 建設・不動産
  • TRENDY
  • WOMAN
  • ショッピング
  • 転職
  • ナショジオ
  • 日経電子版

包括利益が登場、経常利益は消滅

企業は会計システムの刷新が迫られる

2010年7月1日(木)

  • TalknoteTalknote
  • チャットワークチャットワーク
  • Facebook messengerFacebook messenger
  • PocketPocket
  • YammerYammer

※ 灰色文字になっているものは会員限定機能となります

無料会員登録

close

 日本企業にとって数十年に1度と言ってもいいような大きな変化が今、起きようとしている。

 企業の成績を表し、その財務体質を見せる会計基準。長年使われてきた日本の会計基準はなお残るが、上場企業の姿を映し出す連結決算はIFRS(国際財務報告基準=国際会計基準)に変わる。正式には2012年に金融庁が適用の適否を判断し、決まれば2015年か2016年に強制適用となる見通しだ。

 だが、IFRSは2005年にEU(欧州連合)が域内の上場企業に強制適用し始めたのを機に世界に拡大。既に100カ国以上で適用または容認され、今後数年で150カ国に拡大するとも見られている。今、主要国でIFRSを適用していないのは日本と米国だけ。事実上、日本がIFRSを適用しないという事態は考えにくく、日本はここ数年、日本基準をIFRSにコンバージェンス(共通化)させている。

 会計基準の大変化は、企業経営の“革命”でもある。このページでは、そんなIFRSと企業経営の変化を解説していきたい。

 ビジネスマンが当然のものとして理解してきた貸借対照表や損益計算書がIFRSでがらりと変わる。既に2010年3月期に、日本企業としては初めてIFRSで決算を発表した日本電波工業の例にもあるが、名称も貸借対照表は財政状態計算書に、損益計算書は包括利益計算書へと変わる。

持ち合い株の含み損益などが影響

 それだけではない。包括利益計算書には、新たな利益の概念としての包括利益も登場。従来の当期純利益の後に記載される。

 純利益の後に出てくるのは、持ち合い株など保有株式の評価損益(含み損益)や、海外に持つ子会社の純資産の価値が為替レートの変動で動く評価損益を示す「為替換算調整勘定」、さらには保有不動産(企業の会計方針によって算入可)の含み損益などだ。

 これら全体で「その他包括利益」として括られ、これに子会社の少数株主に帰属する利益を加えて包括利益となるのである。細かくなるが、ここは同じ包括利益計算書でも、現行の純粋なIFRSと日本でのIFRS開示が異なるところ。本来のIFRSの場合は、少数株主に帰属する損益は元々、純利益に含まれている。

 実はこの包括利益はここにきて、IFRS強制適用の前に2011年3月期から日本基準でも導入されることになっている。連結決算だけだが、既に変化は全ての企業に及び始めている。

特別損益が使えなくなる

 重要な変化はまだある。その1つは、経常利益がなくなることだ。本業の利益とされる営業利益に、貸し付けなどに対する受取利息、配当金、有価証券売却益など「営業外収益」を加え、同時に借り入れに対する利払い、有価証券の売却損など「営業外費用」を差し引いた経常利益は、かつて企業の総合的な収益力を示すとされていた。

 その経常利益がなくなる。営業外収益と営業外費用で、本業に関わるものは営業利益の上で「その他営業収益」「その他営業費用」として算入されることになる。

 それだけではない。もう1つ重要なのは、特別損益がなくなることだ。

 日本基準では、価格が下落した不動産や事業の収益力が低下した工場や店舗など固定資産で計上する減損損失や売却による損失などを特別損失として計上出来る。逆に簿価よりも値上がりした不動産などを売却して1期限りの利益を出せば特別利益を計上出来る。

 こうした特別損益は、日本企業にとっては、本業の損益に影響を与えないでリストラに伴う費用を計上したり、それを“打ち消し”たりするのに便利なため、ごく普通に使われてきた。

 これがIFRSではなくなる。特別損益は計上出来ず、例えば、リストラ費用など事業に関連する損失は、上の営業費用に含まれることになる。つまり、リストラ費用が営業利益を直撃することになるのである。

 営業利益は、もはや現在の日本基準におけるそれとは異なる質のものになる。企業にとっては、これも重要な出来事だろう。

コメント2件コメント/レビュー

デリバテブ、ファンド、金融証券化商品は個人の財産が金融機関に錯誤のような関係になってしまった商品例、信託受益権の転売が繰りかされて、まるで20年前の不動産転がしと同様をていしている。10年先が思いやられる。大変参考になった。(2010/07/01)

「IFRS 財務諸表が一変する!」のバックナンバー

一覧

「包括利益が登場、経常利益は消滅」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

日経ビジネスオンラインのトップページへ

記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

デリバテブ、ファンド、金融証券化商品は個人の財産が金融機関に錯誤のような関係になってしまった商品例、信託受益権の転売が繰りかされて、まるで20年前の不動産転がしと同様をていしている。10年先が思いやられる。大変参考になった。(2010/07/01)

長らく不透明な項目だった「使途不明金(要は政治献金等に使われてきたお金)」も営業損金として経営判断の材料になりますな。(2010/07/01)

ビジネストレンド

ビジネストレンド一覧

閉じる

いいねして最新記事をチェック

閉じる

日経ビジネスオンライン

広告をスキップ

名言~日経ビジネス語録

テスラのような会社と一緒にできないのなら、パナソニックはイノベーションを起こせないだろう。

津賀 一宏 パナソニック社長