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“岡ちゃん”になりたがる、ボスのヒンシュク

他人力なくしてチーム力は高まらない

2010年7月1日(木)

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 サッカーのワールドカップ(W杯)南アフリカ大会に、4大会連続で出場した日本代表。

 初出場した1998年のフランス大会から12年ぶりに代表を率いてW杯の舞台に立った岡田武史監督は、チームを1次リーグ突破に導き、2002年の日韓大会以来2度目の決勝トーナメント進出を果たした。

 残念ながらトーナメントの1回戦、延長戦の末にPK戦でパラグアイ代表に敗れ、初めてのベスト8進出はならなかった。しかし、大会直前の強化試合で連敗し大きく下がっていた岡田監督の評価は急上昇。一躍、時の人となった。

 数年前、リーダーシップをテーマとした岡田監督の講演を聴いた企業経営者の方たちが、一様に「岡田さんは頭がいい」と称賛していたことがあった。

 経営者の方たちの「頭がいい」という評価は、最高のほめ言葉でもある。「面白い」「いい話」といった上から目線の評価とは違って、そこには敬意と尊敬の念が多分に含まれている。

 そう、私の知る限り、岡田監督は経営者たちに人気の講師だったのである。

岡ちゃんに刺激を受けたトップたちの気まぐれ

 そして今、リアルなリーダーとしての岡ちゃん人気が再燃している(今さら私が書く必要もないけれど)。彼に刺激を受けたトップたちが、突如として新たな取り組みを始めたのだ。キーワードは「チーム力」である。

 ある会社では、「チーム力を高めるために」ということで、急きょ1週間にも及ぶ社員研修が始まった。

 別の会社では「チームとは何かを学ぶ」という名目で、何と登山合宿が義務づけられた。

 中には、「チーム力を高めるには、チームを競い合わせた方がいい」という理由から、それまで個人を対象としていた人事評価制度を、チームを対象としたものに変更したトップもいるそうだ。

 さすが、これぞトップの鏡! カメルーン戦からわずか2週間で、あっという間に戦略を立てて実行に移すなんて、動きが早い!

 こう持ち上げる人など、まずいない。大体、何でもやればいいってもんじゃない。

 「今までユニクロで揃えていた人が、突然ルイ・ヴィトンのバックを持ったところで、使えこなせるわけがないでしょう」

 「社員からすると、またかって感じです。うちのトップは思いつきで動くことが多いんです。もう3年くらい前ですかね。自分は社長を辞めると社員全員の前で断言したんです。その時は『もう私も75を過ぎましたから、これ以上トップの座にとどまるのは老害となる。会社が存続するために、私は近々退きます』と。近々っていつのことだったんでしょうか?」

 これらは、先週末にインタビューさせていただいたビジネスパーソンたちの嘆きの声である。岡田監督に刺激を受けたトップの“気まぐれ”な言動に、彼らは戸惑っていた。

 中でも、「辞める」と言い続けながら一向に辞めないトップに翻弄され続けてきた男性は、あきれ果てて完全にやる気を失っていた。

「辞める」と公言し続けて辞めないトップ

 「辞める」と言ってなかなか辞めないトップは決して珍しくはない。でも、3年も辞めないなんて、気まぐれにもほどがある。

 「いつ辞めるんですか?」と、社員からはそうやすやすと聞けるもんでもない。いっそのこと、「辞めるの、や~めた」と宣言すればいいのに、いまだに「辞める」と公言しているというのだから、まったくもってタチが悪い。

 この男性によれば、「辞める」と言い続けているトップは、社員たちから陰で「殿」と呼ばれているという。

 「『殿、ご乱心~』って、やつですよ。まぁ、僕たちには理解できない言動が多すぎて、そうでも言って笑い飛ばさないと正直やっていられない」

 「今度こそ本当に辞めるそうだという雰囲気が漂った途端に、“事件”が起こるんです。例えば、昨年の春頃、「ついに次の取締役会で辞めるらしい」という噂が流れました。ところがその1週間後に突然、「こんな草食系ばかりじゃ会社がつぶれる」と言って、新人研修を自らやりだした」

 「年度末にも組織体制が新しくなる時にそろそろだって聞いていたんですけど、その時には突然、部長職全員を呼び出して、「経理の処理がずさんすぎる。こんなんじゃ、会社がつぶれる」と言って、全員に始末書を提出させた。結局、何だかんだ言って辞めない」

 「挙句の果てに今回のチーム力研修ですよ。訳が分からない。役員たちも「何を言っても無駄だ」と、貝になっています。それがまたむかつくのか、ますます細かい、どうでもいいことばかりに口を出すようになっています」

 実はこの殿。一代でその会社を知る人ぞ知る企業にまで育て上げた、その業界では有名な人物である。経営者としての評価はかなり高い。

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「“岡ちゃん”になりたがる、ボスのヒンシュク」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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