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第4回 企業理念もマニフェストも、変えてしまっていいんです

いい加減な会社ほど理念を放置しているという現実

  • 武田 斉紀

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2010年7月5日(月)

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かつて公約は、バンザイとともに紙くずになった

 今度の日曜日は、いよいよ参議院選挙だ。私は選挙には行くつもりだが、あまり期待感はない。参議院が本来期待されている機能を果たせなくなっていると感じて久しく、与党が過半数を取っても、過半数を割っても、そのデメリットの方が気になる。

 そもそも衆議院と参議院とで期待されている機能が違えば、候補者によって向き不向きもあると思うのだが、片方に落ちたからもう片方に立候補するという人がいて、政党もそれを後押ししている。ますます参議院の存在意義が見えなくなってくる。

 今回、参議院選挙の話を持ち出したのには訳がある。働く人にとって、自分の会社が「行きたくなる会社」となるためには、経営と働く側の信頼関係が前提となると考えている。会社の基本的な考え方となる企業理念や経営方針が、自分にも共感できて信頼できることが大切だ。その意味において、政党の掲げるマニフェストと企業理念は似たところがある。

 マニフェストは恐らく10年前の多くの日本人は知らなかった言葉だ。政権公約と訳されれば、「何だ、昔からあるじゃないか」と理解できるが、かつて政権公約をまともに信じている国民がどれくらいいただろう。

 政治家個人の公約はもちろん、政党の公約さえも、勝利のバンザイの声とともに紙くずになっていなかったか。今から思えば不思議なくらい、そのことに異を唱える国民は限られていたし、マスコミも公約実現の有無について検証をしなかった。多くの国民もマスコミも、雲散霧消してしまう公約をまともに信じていなかったからだろう。

なぜ与党のマニフェストが信頼されないか

 この何年かで政権公約に代わって、マニフェストという言葉が脚光を浴びるようになった。理由や背景はいくつもあるだろうが、政党が本気で実現を目指すと宣言し始めたこと。内容が抽象的ではなく、より具体的になったこと。それによって検証可能となり、マスコミも国民も結果を気にするようになったことなどが大きいだろう。

 しかしマニフェストという名の政権公約は、存在が広く意識されるようになったことで、新たな課題を抱えることになる。国民との間の信頼関係だ。残念ながら各党の掲げるマニフェストは、現時点では国民の信頼を失いつつあると言わざるを得ない。少なくとも私はそう感じている。

 なぜそうなってしまったのか。原因を掘り下げることは、同じように信頼をベースとする企業理念のあり方を考えるうえでも参考になる。

 原因として考えられる1つ目は、「背骨が見えない」ことだ。どのマニフェストも、背景となっている考え方が分かりにくくないだろうか。何を大切にしながら、どんな国造りを目指しているのかがよく分からない。企業でいえば、目指す姿としての企業理念=「何を大切にしながら、何を目指すか」に当たるだろう。

 2つ目は、マニフェストを見直し、「修正または変更する際に、なぜそうするのかがよく分からない」点だ。後でも触れるが、見直すこと自体は前向きな判断だと思う。時代や条件などの状況が変われば、マニフェストの中身や目標数値が変わること自体は何らおかしくない。問題はその理由が明快かどうかだ。

 明快な理由なく見直す、変えると言われても、国民は納得できない。ただ日和見的に見えるだけだ。その瞬間に信じようと思ってきた気持ちは冷めてしまう。信じてついていくことができなくなってしまうのだ。

 政党自らの手で十分な結果の検証がされていないことも、原因の3つ目に挙げられるだろう。対立政党から突っ込まれないための保身からか、できた成果を強調するだけで、できなかったことへの振り返りと反省がない。できなかったことに頬かむりをする姿に、国民はさらに信頼を失っていく。

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