「「熱血!会計物語 〜社長、団達也が行く」」

第39話「彼は、税率が低くて投資家にとっても有利な国を選ぶはずだ」

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2010年7月7日(水)

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これまでのあらすじ

 ヒノハラ社長の団達也は、日豊自動車の湯浅専務から、ヒノハラとの間の取引に不審な点がないか調べるよう言われた。

 達也の指示で経理部長の細谷真理が調査した結果、ヒノハラは日豊自動車の研究開発部門に相場よりかなり高い値段で部品を納品しており、架空の接待費の請求書も見つかった。

 日豊自動車の松田義一社長は、アジアで競争力を持つ、低価格のガソリンエンジン車を開発するよう、専務の湯浅に命じていた。その結果、新型車「メイ」の発表が決まった。しかし、目標の性能を実現するためには、エネルギーロスをさらに減らさなくてはならなかった。

 湯浅はヒノハラに何か良いアイデアがないか聞いてみようと考えていた。

 達也のシンガポール大学時代の親友ジェームスは、上海の投資会社で新しいスタートを切っていた。上海では、やはり大学の同窓であるリンダが「李団有限公司」という自身の会社を立ち上げ、達也との自動車部品ビジネスを実現するための準備をしていた。

 達也のビジネスモデルは、「金子順平が開発した製品を日本で量産し、上海にあるリンダの会社に輸出。リンダは親戚一族のルートを使って、中国の主要メーカーに販売する。資金はジェームスの会社に出資を頼み、3年後をメドに株式公開する」というものだった。

ヒノハラ

 リンダとジェームスとの会食を半日後に控え、達也は迷っていた。このままヒノハラの経営者であり続けていいものか。日豊自動車の新型ガソリンエンジン車に組み込む部品が完成すれば、休止状態のヒノハラの工場は間違いなくフル操業することは間違いない。もしかしたら、工場の増設を依頼されるかもしれない。そうなればヒノハラは、当分の間、安泰だ。

 だが、達也は自分の中で仕事への情熱が萎えていくのを感じていた。大手企業から仕事をもらい、コバンザメとして生きていく。これでは日野原五郎がやってきたことと同じではないか。そうではなく、リスクをとって、自分の意思でビジネスをしたいのだ。

 それは何かといえば、リチウム電池の能力を飛躍的に高める電子部品のリリース、それしかない。金子はこの製品の開発のために、もう1カ月以上も研究室に泊まり込んでいる。ヒノハラでは、いつの間にかこの部品を「KO1」と呼ぶようになっていた。金子が鬼の形相で取り組んでいる製品という意味なのだ。

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著者プロフィール

林 總(はやし・あつむ)

林 總公認会計士、税理士、LEC会計大学院教授(管理会計事例)、林總アソシエイツ代表取締役。1974年中央大学商学部会計科卒業。経営コンサルティング、一般会計および管理会計システムの設計、導入指導、講演活動などを行っている。主な著書に『経営コンサルタントという仕事[改定版]』『よくわかるキャッシュフロー経営』『わかる!管理会計』『やさしくわかるABC/ABM』『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『売るならだんごか宝石か』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか』『つぶれない会社には「わけ」がある』など。最新刊は『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『読む管理会計 企業再生編――「キャッシュ経営」で会社を救え!』『読む管理会計 粉飾決算編――会社の「ウソの数字」にダマされるな!』『ドラッカーと会計の話をしよう』『世界一わかりやすい会計の授業』『貯まる生活―見えない未来にそなえる家計マネジメント術』。自身のホームページの「団達也会」では、「団達也と真理と一緒に会計を語りつくそう」という会員向けのサービスを主催している。



このコラムについて

「熱血!会計物語 〜社長、団達也が行く」

 主人公の団達也は、シンガポール大学ビジネススクールで学んだ後、恩師の経営コンサルタント、宇佐見秀夫の薦めで中堅電子部品メーカー、ジェピーに入社した。達也は、当時専務の間中隆三らによる不正が常態化、粉飾決算が行われていた。経理課長に就任した達也は、経理部員の細谷真理とともに数々の不正を明るみに出し、間中らを追放した。
 経理部長になった達也は、ジェピーCFOとして会社の再建に着手した。その直後から隠れ負債が発覚し、工場には仕掛かり在庫の山。資金繰りに窮したジェピーは、銀行からも見放され倒産寸前だった。
 ジェピーを救ったのは、かつての級友、ジェームス。ジェピーは、同じく級友のリンダが勤めるアメリカの大手電子部品会社UEPCの傘下に入って新たな道を歩み出した。
 創業者未亡人の大株主、財部ふみの遺言で達也の手にはジェピーの株式が渡ることになったが、達也はそれを手放し、自分の手で会社を立ち上げようと決心した――。
 管理会計が専門の現役会計士である著者による、“読む管理会計”シリーズの第3弾。ストーリーを追いながら、経営に役立つ管理会計の最新の理念と実践的な知識が身につきます。
第一シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理課長、団達也が行く」
第二シリーズ【「熱血!会計物語 〜経理部長、団達也が行く」

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