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負債1900億円の会社を引き継いだ3代目若社長

“タクシー王子”川鍋一朗の事業承継奮闘記

2010年7月16日(金)

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 日本交通は、東京を拠点に営業する国内最大手のタクシー会社である。
 「タクシー王」と呼ばれた川鍋一朗の祖父、秋蔵が1928年に創業。83年に父・達朗が跡を継いだものの、不動産事業への積極展開があだとなり、経営が悪化した。川鍋が入社した2000年には、グループ全体の負債は1900億円に達していた。

 川鍋は、そんな会社の実態を全く知ることなく、幼いころから3代目になるための準備を着々と進めてきた。幼稚舎から大学まで慶応義塾。大学卒業後は米国へ留学し、MBA(経営学修士)を取得。帰国後は外資系コンサルティング会社マッキンゼーに入社し修業した。

 「何らかの変化があれば、会社がおかしいなって気付いたかもしれないけど、街を歩けば、日交のタクシーがたくさん走っている。それらがすべて、多額の負債の上に成り立っていたなんて、思いもよらなかった。当時、自分の人生の課題は、あとは結婚だけと考えていたくらい。素晴らしい未来が待っていると信じ込んでいました」

 それだけに、日本交通に入社して、その真の姿を知ったときは動揺し、周囲に怒りをぶちまけた。「誰がこんな会社にしたんだ」。入社してすぐの役員会では、ほかの役員を怒鳴り散らしたという。

孤立した「アメリカ帰りのエコノミスト」

川鍋一朗(かわなべ・いちろう)氏
1970年東京都生まれ。39歳。幼稚舎から大学まで慶応義塾。大学時代は体育会スキー部の主将を務め、クロスカントリースキーに打ち込む。93年慶応義塾大学経済学部卒業後、米国へ留学。97年ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院修了、MBA(経営学修士)を取得。同年マッキンゼー・アンド・カンパニー・インク・ジャパンへ入社、コンサルタントとして3年間在籍する。2000年日本交通入社。05年8月、父の跡を継ぎ、同社代表取締役社長に就任、現在に至る。(写真:尾関裕士)

 「みなさんのこの会社に対するアスピレーション(向上心)はどこにあるんですか」「もっとモチベーション(やる気)を上げてください」――。

 しかし、川鍋が部下を責めれば責めるほど、人心は遠のいていった。口を開けば、横文字交じりに“あるべき論”を振りかざす川鍋についたあだ名は、「アメリカ帰りのエコノミスト」だった。

 社内で完全に孤立した川鍋は、ミニバンを用いた会員制ハイヤーやリムジンタクシーを運行する子会社、日交マイクル(04年に日本交通に経営統合)を立ち上げた。

 「おれを受け入れないヤツは勝手にしろ。日本交通なんてどうでもいい。新会社でこれまで学んできた理論を実践し、一人で最高の会社をつくってやる」

 しかし、そこでも毎月1000万円単位の赤字が出た。
 「完璧で素晴らしいと思っていた自分が、1枚1枚はがされていった感じ」。当時の心境を川鍋はそう振り返る。

 鼻っ柱を折られた川鍋は、ここから少しずつ変わり始めていく。日交マイクル不振の最大の要因は、日本交通のリソースをうまく使えていない点にあった。啖呵を切って飛びした本社にいまさら協力を要請するのは気が引ける。しかし、背に腹は変えられない。川鍋は人生で初めてプライドを捨てた。

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「負債1900億円の会社を引き継いだ3代目若社長」の著者

荻島 央江

荻島 央江(おぎしま・ひさえ)

フリーランスライター

2002年からフリーランスライターとして活動。現在は「日経トップリーダー」や「日経メディカルオンライン」などに執筆。著名経営者へのインタビューや中小企業のルポを得意とする。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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