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ゆうパックに何が起きたのか

責任者不在の再国有化が招いた失敗の必然

  • 大矢 昌浩

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2010年7月20日(火)

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 「パンク」という表現は、物流業界ではそう簡単には使えない。責任問題の避けられない、オペレーションの決定的な失敗を意味するからだ。それが「ゆうパック」で7月1日に発生した。

 日本郵便は7月6日時点で、34万4000個に半日から1日程度の遅れが出たと発表しているが、これは正確には方面別仕分けを行うターミナル時点で確認できた遅延のみであり、最終的な配達の遅れがそんなレベルでないのは明らかだ。

 これだけ大規模な宅配便のバンクとなると、今からおよそ10年前の2000年のお歳暮時期に、日本通運のペリカン便が最大数週間の遅延を発生させて以来のこととなる。

10年前の教訓を活かせず

 この遅延に先立ち日通は、ヤマト運輸や佐川急便に大きく水を空けられていた宅配便事業を建て直すため、ペリカン便の取扱個数を3年で倍増させるという計画を立て、積極的な拡大策に打って出た。その甲斐あって、同年度のペリカン便の取扱個数は前年比8.9%増加した。

 しかし、急激な物量増に現場が耐えきれなかった。予測していた以上の荷物が集中し、配達店の仕分け作業が追いつかない。その間にも不在宅の持ち戻りがどんどん返ってくる。現場の処理に追われて再配達やクレームの電話が鳴っても誰も出られない。そのうち営業時間が過ぎてしまう。それがパンクと言われる現象で、わずか数%の物量の見込み違いが、繁忙期を迎えた現場には致命傷となった。

 このトラブルを機に、日通はペリカン便の拡大策を諦めた。倍増計画を撤回、担当役員や幹部社員をすげ替え、増強した営業組織を元に戻した。

 この時のパンクがなかったら、現在の宅配便市場の勢力図は全く違ったものになっていたはずだ。ペリカン便とゆうパックの事業統合が“弱者連合”と揶揄されることもなかったに違いない。

 それだけに日通は宅配便のパンクがどれだけ高くつくのか、骨身に染みて分かっている。しかし、その教訓がペリカン便を統合したゆうパックには活かされなかった。

 宅配便会社にとって7月1日は、関東地区で中元配送が封切りとなる特別な日だ。6月の最終週になると宅配便の拠点には、中元の荷物がうずたかく積み上げられていく。それを7月1日に一斉に配送する。

 繁忙期の修羅場を何度もくぐり抜けてきたヤマト運輸のベテラン担当者にとっても、「毎年7月1日は無事に配送を捌けるかどうか、1年で最も緊張する日のひとつだ」という。

 そんな日に、日本郵便は宅配便事業子会社のJPエクスプレス(JPEX)に切り離していたペリカン便を本社に吸収し、ゆうパックと統合するという大仕事を断行した。

 ただでさえ作業負荷の大きな中元配送の解禁日の統合で、物量はそれまでの2倍に膨らみ、しかも、このタイミングでネットワークを再編し、荷物の仕分けコードやドライバーが携帯するハンディ端末も切り替えた。

遅延問題は、なかば「想定の範囲内」

 案の定、ターミナルでは仕分け機のトラブルが続発した。新しくなった仕分けラベルを読み取れない荷物が、回転寿司のようにコンベヤーラインをいつまでも巡回する。仕方なく手作業で処理するが、とても追いつかない。

 その間にも次々に荷物を載せたトラックが到着し、カゴ車を降ろしていく。やがてスペース自体に限界が来る。荷卸しの順番待ちをする待機車両が公道に数珠つなぎに並ぶ。

 フロアには冷凍・冷蔵設備に収まりきらない低温貨物が溢れ出している。応急処置として保冷剤を荷物に括りつけるが、それも間に合わなくなる。

 一方、末端の配達現場ではドライバーが慣れないハンディ端末の操作に四苦八苦して時間ばかりが過ぎていく。事前に簡単な説明は受けたが、実務はぶっつけ本番だった。

 都心部の集配を担当するあるドライバーは「旧ペリカン便の荷物は顧客ごとに単価が違う。端末で単価を照会できると聞かされていたが、言われた通りに操作しても金額が出てこない。事務所に電話で問い合わせて調べてみたら、そもそも元になるデータが入力されていなかった」と呆れ顔だ。

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