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【1回裏】プロ野球はなぜ儲からなかったのか?まずは収益構造を調べよ

新規事業では「最低限をやる」「とにかく70点を目指す」ことが大事

2010年7月21日(水)

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 お手本もヒントもない、ゼロから仕事を立ち上げる――。

 そんな状況に置かれた時、何をすべきか。南壮一郎氏が球団立ち上げの経験から学んだのは、徹底した資料調べから入ることでした。本質的な事業構造が似たケースを可能な限り集め、資料を徹底的に読み込みます。そして、事業成功のパターンや弱点を研究していくのです。新規事業に取り掛かる始めの一歩として、皆さんの仕事にも活用できる発想でしょう。

 さて、南氏ら創業メンバーは、楽天野球団の新規参入にあたって、他の球団やプロスポーツを徹底的に調べました。そして、収益の柱として据えたのが、スタジアムビジネスでした。チケット販売収入のみならず、飲食店のテナント収入、看板などの広告収入、様々なイベントやグッズ販売収入と、全方位的に収益を稼ぐ仕組みを目指します。

 ところが、そこには大きな壁が立ちはだかっていました・・・。

(日経ビジネスオンライン編集部)

前回から読む)

 スタジアムビジネスの前に立ちはだかった大きな壁。それは日本のプロ野球に連綿と続いていた独特の収益構造にありました。

 資料を調べていくと、日本のプロ野球球団の多くは、スタジアムそのものから直接的に収益をあげられない仕組みになっていることが分かりました。実は大半のプロ野球球団は、スタジアムの所有者ではありません。このため、球団は所有者に対して利用料を支払っていたのです。それだけではなく、スタジアムから派生する収入を受け取ることも難しかったのです。

スタジアムビジネスのテコ入れが重要な課題だった

 例えば、東京ドームで読売ジャイアンツ(巨人軍)が試合を行うとしましょう。数万人の観客を動員し、スタジアム内でお弁当や飲み物が売れても、実は巨人には直接お金が入りません。外野席の上などにある巨大看板の広告料金やグッズの販売収入もすべてが巨人の取り分ではなく、スタジアムを所有する「株式会社東京ドーム」の収益になるからです。

 さらに、巨人は、東京ドームに対して、球場使用料と称した「家賃」を支払います。その金額は多額で、例えば福岡ソフトバンクホークスは、福岡ドームを使用するのに、年間で50億円に近い金額を払っている、という報道なども目にしました。

 つまり、大半のプロ野球球団は、大勢のファンを一生懸命集客しているにも関わらず、プロ野球興行から派生する営業収入の大部分を受け取れないのです。逆に、スタジアムを借りるための家賃を支払っていたのです。

収益構造を大きく変える

 では、どうやってプロ野球球団は事業として成立していたのでしょうか。

 背景には「親会社の存在」がありました。プロ野球球団は、球団から発生する営業赤字を、親会社の広告宣伝費として経費を計上していたのです。これは、昭和29年の当時の国税局が出した法人税に対する通達が原点にあります。この通達では、プロ野球球団を子会社とする企業は、球団子会社の損失分を親会社の広告宣伝費扱いとして経費計上することを容認する旨の内容が記述されています。戦後間もない時期に、スポーツの振興を目的として発行された税務通達だったのですが、それが連綿と存在し続けていたのです。

 この通達を拠り所に、プロ野球球団のオーナー企業は、球団が赤字を出したとしても、それを親会社の経費として扱うことができました。プロ野球球団のメディアなどでの抜群なパブリシティ効果などを考慮すると、球団が出す赤字は、親会社にとって「数十億円程度の広告宣伝費で済む」という認識になります。このため、日本のプロ野球界は長らく「赤字が出ても、しょうがない」という風潮が当たり前になっていました。

コメント3件コメント/レビュー

あの頃の出来事が今のことのように記事を読みながらよみがえってきました。次回も楽しみにしてます!(2010/07/21)

「激走!ベンチャー・スタジアム ~僕の楽天イーグルス創業記~」のバックナンバー

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「【1回裏】プロ野球はなぜ儲からなかったのか?まずは収益構造を調べよ」の著者

南壮一郎

南壮一郎(みなみ・そういちろう)

ビズリーチ代表取締役

株式会社ビズリーチを創業、2009年4月、管理職グローバル人材に特化した会員制転職サイト「ビズリーチ」を開設。2500社がビズリーチに登録し、ダイレクト・リクルーティングのデータベースとして利用。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

あの頃の出来事が今のことのように記事を読みながらよみがえってきました。次回も楽しみにしてます!(2010/07/21)

経営者サイドの自己満足。球団経営の優先順位がおかしい。野村監督以外が監督をすると、すぐ最下位になり。40代の山崎が活躍して今期は若手があまり育っていない等、野球をするための基盤そのものが脆弱。「強くなりたい」より「儲けたい」が上回っている。自分らのビジネスモデルの優秀さをひけらかすためにファンを実験台にしている。このまま低迷が続くと(恐らく続くと思う)、ファンが離れていって利益も何もなくなると思う。ヤンキースやレアルマドリードのように、一見クレイジーな投資(選手補強)をしてでも利益を出すのが超一流の経営者。楽天は、たまたまITバブル時に成り上がった普通の会社。(2010/07/21)

本当に地域密着を志向するなら、球団名から『楽天』を外しなさい。「仙台イーグルス」とか「宮城イーグルス」の方が、断然カッコいいでしょ。(ついでに「北海道日本ハムファイターズ」も「北海ファイターズ」とか「北海フライヤーズ」などとスッキリしてもらいたいものだ。)(2010/07/21)

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