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メーカーが破綻しても、販売店は業績を伸ばせる

「クライスラーは元気にやっています!」

  • 長谷川 愛

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2010年7月28日(水)

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 「クライスラー破綻」――。

 2009年4月、ビックスリーの一角だった米自動車メーカーのクライスラーが連邦破産法11条(日本の民事再生法に相当)を申請した。これに伴い、車両や部品の物流が一時停止。当然のように、クライスラーの所有者は不安を覚える。これを機に、クライスラー離れが起きても不思議はない。実際、輸入車登録台数について2008年と2009年を比較すると、クライスラーが1593台から890台、ダッジが1569台から1267台、ジープが2352台から1010台へといずれも落ち込んだ(日本自動車輸入組合による)。

 そんな逆境の中、「破綻の影響はほとんどなかった」と言い切り、2009年も売り上げ・利益ともに増やして業績を前年比で105%としたディーラーがある。日本におけるクライスラー系ディーラーとしては販売台数でトップスリーに入るというファイブスター東都(東京都府中市、高野光司社長)だ。約80人の社員を抱え、東京の多摩地区を中心に5店舗を展開している。

 逆境を跳ね返した原動力を探ると、新車販売に活路を見出そうとするディーラーが多い中で、購入客が期待する以上のアフターサービスを実現する徹底した顧客志向が浮かび上がってくる。ファイブスター東都の取り組みを通じて、市場が縮小しても業績を伸ばす経営をリポートする。

 「ようやくこれでけじめがついたと、ほっとしました」。2009年4月に起きた米クライスラーの経営破綻を知った当時を、こう振り返るのがファイブスター東都(東京都府中市)の高野光司社長だ。クライスラーの破綻は、単に一企業の経営が行き詰まったというレベルではなく、アメリカのみならず世界経済をも揺るがすニュースとして連日のようにテレビや新聞で報道されていた。

 経営破綻が囁かれ始めた2008年後半から2009年前半の時期は、ディーラー(販売店)も頭を悩ませたことだろう。そもそも米国の本社が混乱の極みにある。決して大きいとは言えない日本市場だけに、日本への対応は後回しにされていたであろうことは想像に難くない。その末端となるディーラーへの情報は、さらに遅れることになる。メーカーの指示がはっきりしないままに、自社で販売した顧客への対応と当面の販売への舵取りをディーラーは余儀なくされていた。

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 中途半端な状態が続くよりも経営破綻とはっきりしてしまったほうが、ある意味、顧客には説明しやすい。根強いファンが多い車種だけに、何らかの形でクライスラーのブランドを引き継ぐ企業が現れるに違いないだろう。であるならば、後は顧客の不安を取り除くだけだ。――高野社長はこんなふうに考えていた節がうかがえる。

 「所有車の整備や部品の供給について、うちで買ってくれたお客様を絶対に不安にさせてはいけない。『メーカーがダメになっても、うちが何とかするぞ』と。そんな覚悟でやっていました」

「自社代替率」は輸入車トップクラス

 もっとも心意気に顧客は理解を示しても、普通であれば「現実にはメーカーが行き詰ったら、ディーラーは手の打ちようがないじゃないか」と“単なる強がり”として受け取られて終わってしまいそうなものだ。ところが、ファイブスター東都では事情が異なる。

 「こんな状況だけれど、ファイブスター東都さん、頑張って!」といった励ましの声が顧客から寄せられた。そして、実際に結果として数字に表れている。

 ファイブスター東都の自社代替率(リピーター率)は50%に達する。輸入車は一般に個性やブランド特性がはっきりしていて、ラインナップもさほど多くないため、買い替え時に再度自社ブランドを選択してもらうのは決して簡単なことではない。固定ファンが多いとされているメルセデス・ベンツやBMWでさえも最近では自社代替率が下降傾向にある。それだけにベンツやBMWほどロイヤリティが高くないほとんどの輸入車では当然ながら厳しい状況にあり、一般に自社代替率は20~30%程度に留まる。経営破綻したクライスラーであれば、もっと苦戦する立場に追いやられていてもおかしくはない。

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浜田 健一郎 ANA総合研究所 シニアフェロー・前NHK 経営委員長