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「企業のリスクテイク力低下」に異論反論が続々

「無駄張りがない『規律ある経営』の限界」その後

2010年7月23日(金)

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「経営レンズ箱」はこちら(2006年6月29日~2009年7月31日まで連載)

 以前、「無駄張りがない『規律ある経営』の限界」と題して、日本企業の規律強化とリスクテイク力の低下について、書かせていただいた。

 この話題について、掲載後、複数の場で、かなりの数の経営者の方々と議論する機会があったのだが、賛否両論、鋭いご指摘をいただき、当方の舌足らずさを深く思い知った次第。マクロ(例えば日本の今後の経済成長)から、ミクロ(例えば個別企業の投資意思決定)まで、広い範囲に対して示唆のある話なので、後日談めくが、あえて再度、触れさせていただきたい。

 前回の趣旨は、以下のようなものだった。

 実体経済側のプレーヤーの多くが、資本コストなどを勘案した「投資のハードルレート」(最低限満たすべき投資採算性)をきちんと管理するようになってきた(=規律の強化)。

 しかしながら、これを管理するコーポレートの側に、個々の事業の「現場感覚」「肌感覚」が不足しており、杓子定規な運用になりがち。

 一方、事業部門のリーダーたちは、年度ごとの収支目標達成を強く求められており(これまた規律強化!)、将来のリターンはあるとしても、当面、人とカネをつぎこむことが自分の収支責任達成にマイナスになるような投資をしようというインセンティブに欠ける。

 この結果、相当数の企業で、リスクテイク力が低下してきている。

 また、金融機関や投資家の側も、リーマンショック以降、従来以上にリスクテイク力が低下していることに加え、中長期成長を目指したリスクテイクのパートナーというよりも、短期収益確保を強く求める態度に出がちであり、日本経済全体のリスクテイク力低下に一役買っている。

「うちは違う」とのご意見が相次ぐ

 以下、この議論に対していただいたご意見のうち、(ご賛同いただいたケースではなく)ご批判をいただいたケースを中心に、その論点を3点ご紹介し、少し考えを深めてみたい。

 まず、いただいたご意見で最も目立ったのは、「うちの会社ではそんなことはない」というもの。

 これは、ごもっともな指摘であるかもしれない。当然ながら、私の意見は、かなり乱暴な一般論であり、あまたある企業のすべてでこういうことが起こっているわけではないからだ。私自身の意見は、ここ何年かの間、結構な数の企業をお手伝いしたり、経営者の方と議論させていただいたりする中で、こういう症状を持つ企業が明らかに増えてきているという経験と実感に基づいたものだ。

 仮に、日本を代表するような企業を10社挙げれば、その過半で(程度の差こそあれ)、何らかのリスクテイク力低下現象が起こっている、という感じであろうか。きちんと定量化できないのがもどかしいが「10年ほど前には2~3社で起こっていたことが、5~6社に広がっている」という感覚である。職業柄、具体的な例を挙げてお話しすることができないことはお許しいただきたいが、症状の広がり、悪化がここ数年たいへん目立って感じられるのだ。

 従って、こういうご意見は、(私が経験した事例がサンプルとして特殊であったというのでなければ)リスクテイク力をきちんと維持している残りの3~4割の会社からのものか、あるいは、経営層から見えないところで症状が進行しているのかのどちらかということになろう。

 直接お話しさせていただいたケースが、前者である可能性も非常に高く、この手の「一般論」のリスクをきちんと考え抜かなかったのは、私自身の議論の進め方の不手際と言わざるを得ない。誠に申し訳ない限り。

コメント2件コメント/レビュー

御立さんのご意見に120%同意です。さらに進めて言えば、「一旦リスクが現実のものとなってしまった時の有事対応力」がしっかりしていないと、リスクアセスメントをすればするほど「このリスクは取れない」「あれは危険だ」という話が多くなると考えます。リスクといっても、貸倒れ、減資、減損、大幅赤字、レピュテーション/ブランド、法務/訴訟、などなど色々とあり、さらには海外でも事業展開しているとその国の法制度・慣習の中でのリスクも日本とは全く違った形で色々と存在します。全てのリスクに対して「何でもど~んと来い!」と言うのは無理だとしても、主要なリスクに対しては「もし○○になったら我々は何をどうするのか」という「有事対応力」を高めておくことも、ノーリスク・ノーリターンの世界に陥らないための重要なカギの一つではないかと思いました。(2010/07/23)

「御立尚資の帰ってきた「経営レンズ箱」」のバックナンバー

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「「企業のリスクテイク力低下」に異論反論が続々」の著者

御立 尚資

御立 尚資(みたち・たかし)

BCG シニア・アドバイザー

京都大学文学部卒。米ハーバード大学経営学修士。日本航空を経てボストン コンサルティング グループ(BCG)に入社。BCG日本代表、グローバル経営会議メンバー等を歴任。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

御立さんのご意見に120%同意です。さらに進めて言えば、「一旦リスクが現実のものとなってしまった時の有事対応力」がしっかりしていないと、リスクアセスメントをすればするほど「このリスクは取れない」「あれは危険だ」という話が多くなると考えます。リスクといっても、貸倒れ、減資、減損、大幅赤字、レピュテーション/ブランド、法務/訴訟、などなど色々とあり、さらには海外でも事業展開しているとその国の法制度・慣習の中でのリスクも日本とは全く違った形で色々と存在します。全てのリスクに対して「何でもど~んと来い!」と言うのは無理だとしても、主要なリスクに対しては「もし○○になったら我々は何をどうするのか」という「有事対応力」を高めておくことも、ノーリスク・ノーリターンの世界に陥らないための重要なカギの一つではないかと思いました。(2010/07/23)

現在はおそらく『リスクテイク力のダウンサイジング時代』なのだと思います。早い話が、これまではより上の層で取っていたリスクマネージメントをヒラの社員、それこそ非正規雇用層にまで広げていっている時期であり、しかしながらその時代におけるモデルケースを国家、政治が持ち合わせていないギャップによって国家も国民も共に苦しんでいるのでしょう。基本的に人は『利害』で動きます。言い方を変えれば『リスクとリターンのバランス』によって行動するといえます。そして雇用不安などのリスクをデフレによる物価下落というリターンで補おうとしているとも考えられます。それ以前に、低所得層ほどに株式などの直接リスクを取るための『余分なお金』はないと見るべきかと。(2010/07/23)

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後藤 忠治 セントラルスポーツ会長