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デューラーに学ぶネットワーク・サイエンス(その1)

――変革初期にメディアの本質を探る

2010年8月3日(火)

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 前回「サイバー自衛」の問題を取り上げたところ、コメント欄でもツイッターでも、様々な反響を頂きました。ありがとうございます。変に煽り立てるのでなく、落ち着いてこうした問題を考え続けることが大切だと思います。

 分かりやすい話、前回のような内容を「日本はサイバー軍拡せよ!」みたいにショッキングなタイトルで書くことも可能です。多分そのほうがアクセスも多いでしょう。でも、そういう耳目の集め方で考えるべき問題ではない、というのが正直、僕が思うところです。

 なんでそんなことを思うか、という動機を、少し補っておきましょう。

山田耕筰の轍を踏まないために

 今年も終戦の日が近づいて来ましたが、こうした問題を考える僕の個人的動機は、祖父の後輩だった山田耕筰氏の戦時協力が念頭にあります。祖父は山田さんら3人で日本最初の民間合唱団「関西学院グリークラブ」というものを作り、また曽祖父が外交官として山田さんのベルリン留学などをサポートしましたが、昭和初期までの山田さんの交響楽運動は財政的に火の車で困難の連続だったように聞き及びます。

 ところが翼賛体制となった時期以降、山田さんは「音楽報告隊」的な動きのトップに祭り上げられます。「紀元2600年」が祝われた昭和15(1940)年前後は、山田さんにとって最も良い時期だったかもしれません。しかし、戦争に加担してなされた山田さんの仕事は、戦後の公職追放と前後して、歴史の表舞台から退場していきました。

 音楽も、その他のあらゆる芸術も、人間社会の中で作り出され、あるものは受け継がれて長い命脈を持ち、あるものは忘れ去られて消えてゆきます。勢いに任せて進んでいた若い時期はそんなことは考えませんでしたが、30代半ば以降、瞬間芸のように消えてゆく仕事でない、長い価値を持つ仕事とは何か、意識して考えてそれに力を注ぐようになりました。

 「100年経っても1000年経っても通用する、音や表現をめぐる基礎的な知恵とは何か?」

 こんなことを考えても、決してお金は儲かりません。ヒットナンバーが生まれるわけでもない。でも、こういうことを慎重に検討し、それらに基づいて意識を持って作られた作品には、即興的な思いつきより長い生命が宿ることを歴史は示しています。

 特に注目すべきはメディアの大変革期です。東西冷戦期にミサイル防衛網として作られた米国防総省ARPANET(国防高等研究計画局ネット)、これを1990年代に民生転換してインターネットが誕生し、「IT(情報技術)革命」がPRされました。

 このITが2008年の「ポスト<冷戦後>」以降、再び「サイバー軍備」という形でリアルなパワーと新しい結びつきを生み出し始めている。こうした変革の大本に注目しながら、僕は僕の仕事を考えます。これはまた僕個人として、山田耕筰さんが昭和10年代に入ってしまった幾つかの袋小路に迷い込まないための「自衛策」にもなっているわけです。

 しかしそれ以上に、こうした変化の時期、いち早く状況を把握して対案を検討することは、多くのビジネス分野に様々なヒントを与える可能性があります。そんな具体例を、歴史を振り返って検討してみたいと思います。

IT革命とグーテンベルク印刷機

 1995年頃から、インターネット情報化は「グーテンベルクの印刷機」以来の「大革命」だ、つまり「IT革命」だ、という喧伝が、しきりとなされた時期がありました。でもこうしたIT化が本当に一定の「革命」的な成果を見せたのは、米国のポスト冷戦後体制で、バラク・オバマという初のアフロ・アメリカンの大統領が誕生した辺り「以降」のことで、2010年、まさに今現在進行形で動いているものだと思います(IT革命、なんて標語はとっくに死語になっていますけれども・・・)。「サイバー軍」の創設も米国の軍備の中では「革命的」といってよい変化でしょう。

 100年前「空軍」の誕生は軍を大きく変えました。空の英雄もたくさん生まれたわけですが、19世紀にはこんなこと、想像すらされなかったわけです。

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