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“何もしない”奴ほど出世する?

完璧を求めるトップの“罪”

2010年8月5日(木)

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 何もしない――。これが最近の出世のトレンドらしい。

 「官僚の世界では、何もしない人ほど出世する」という話を聞いたことはあった。とある財団に勤めていた知人によれば、特に課長クラスにそういう傾向が目立つそうだ。

 1つのポジションの任期は大体2年。長くても3年。その間に何かトラブルが起きてややこしいことになるくらいなら、何もやらない方がいい。

 「改革が必要だ」と口では言いながら、何もしないで任期をやり過ごせば上に行ける。下手に何かをやってトラブルが起きれば、責任を取らされる。だから何もやらない方がいい。それが官僚世界の“常識”なのだとか。

“一億総官僚化”の時代なのか?

 ところが、最近は公務員でなくとも、「何もしない人が出世する」らしい。

 「うちの会社はやればやるほど評価が下がる。結局、何もしないでトップから言われた通りのことをやる人ほど偉くなるんです。何かをやるってことは多かれ少なかれリスクも生じるし、完璧に100%できる確率の方が低い。途中でトラブルだって生じる。でも、それじゃ許されないんです。何かをやるからには完璧じゃないとダメ。たとえたいしたトラブルじゃなくとも、あれこれと因縁をつけられる。重箱の隅をつつくようにいろいろ言われるから、やんなりますよ。だからもう、誰も何もやりたがりません。何もしないのが一番いいんです」

 こう語るのは、ある食品関連の会社に勤める男性だ。“一億総官僚化”ってことなのだろうか。

 常々トップたちの不安や不満を聞いてきた私にとっては、彼の話に正直、少々驚いた。

やる気のある部下を育てるには、何をしたらいいか?
最近の若い社員は言われたことしかやらないけど、どうすればいいか?
新しい発想で物事を考えられる社員に育てるには、どうしたらいいか?

 そんな問いかけを全国津々浦々でトップたちから、いつも投げかけられていたのだ。

 つまり、いろいろともっともらしいことを言うには言うけど、本音は「何もしない社員が一番好き~!!」ってことなのだろうか?

誰もが自分を棚上げして完璧を求める

 何もやらない方がいい、という風潮は、最近の政治家にもあるように思う。

 鳩山政権のときには毎日、朝晩2回行われていた総理の囲み取材は、菅政権ではなくなった。

 多分、やって批判されるくらいなら、やらない方がいい、と思ったに違いない。何せ鳩山さんはメディアに批判されまくったから。丁寧に取材に応じれば応じるほど、話せば話すほど、メディアは「言葉を大切にしろ、責任を持て! 政治家たる者、言葉が命だろう!」と何度も何度も批判した。

 「コロコロ変わる」「すぐにブレる」「朝令暮改」──。これでもかというほど、メディアは批判し続けた。

 確かに普天間基地の移設問題では、考え方や方針、そして発言が、就任当初とは明らかに変わっていたから、「ブレた」と批判されても仕方がない。だがメディアの批判の中には、単に言い回しが違うだけだったり、会話の前後を省略したりすることで、あたかもブレたようになってしまった事例も多かったように思う。

 それに、「言葉を大切にしろ、責任を持て」というメディアの方こそ、首をかしげたくなることが多いのだから、説得力に欠ける。

 毎回のように「先ほど○×が間違っていました」とか、読み方を間違えて訂正を入れる番組の多さといったら半端じゃない。「メディアにとっても言葉って、命でしょ?」と思うのだが、己のことは棚に上げ、批判ばかりを繰り返す。

 メディアも、会社も、そして、恐らく私たちも……。

 何かをやれば批判する。完璧じゃない限りは批判する。自分たちだって決して完璧ではないのに、他人には完璧さをやたらと求める。

 何もやらないことに対する批判は1回しかできないけれど、何かをやることに対する批判は何度でもできる。何かをするたびに、アラ探しをすればいいのだ。

 「だったら、何もやらない方がいい」。誰だって、そう思うことだろう。

 そこで今回は、何もやらない、ということについて考えてみようと思う。

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「河合薫の新・リーダー術 上司と部下の力学」のバックナンバー

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「“何もしない”奴ほど出世する?」の著者

河合 薫

河合 薫(かわい・かおる)

健康社会学者(Ph.D.)

東京大学大学院医学系研究科博士課程修了(Ph.D)。産業ストレスやポジティブ心理学など、健康生成論の視点から調査研究を進めている。働く人々のインタビューをフィールドワークとし、その数は600人に迫る。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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