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知名度を高めたいけど予算はない! さぁ、どうする?

  • 伊藤 美恵

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2010年8月6日(金)

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 ブランドや商品を多くの人に知っていただくには、露出を増やすのが大きなポイントになります。しかし、広告を制作してメディアに掲載するとなると、どうしても費用がかかります。インターネットの普及でコストを抑えて広告を出せるようにはなっていますが、それだけではなるべくたくさんの目にとめてもらうのは難しいようです。やはりマス4媒体(テレビ・新聞・ラジオ・雑誌)との相乗効果を生み出していく必要があります。

 頭では分かっていても、「マス4媒体に広告を出す予算なんてない」という企業も少なくないでしょう。私が代表を務めるワグ(東京都渋谷区)でも、同じような悩みを抱えていた企業からの相談がありました。日本酒「Ohmine(オオミネ)」を製造・販売している大嶺酒造(山口県美弥市)です。

市場縮小の日本酒でPRを頼まれた

 「Ohmine」は今年から市場に出るという、できたてホヤホヤのブランドです。ワグとは、今年2月に契約を交わしました。そして、4月1日から発売を開始。今年の生産本数は4500本で、販路はインターネットのみです。純米大吟醸(720ミリリットル)が4890円(税込)、ワンカップ(100ミリリットル入りが4本)が1560円。決して安い値段ではありません。それでも全国各地から注文が入り、順調に売り上げを伸ばしています。

 酒蔵が減少の一途をたどっていることからお分かりのように、日本酒を取り巻く環境は厳しい状況にあります。大嶺酒造もその波からは逃れることはできませんでした。江戸時代からの酒造場なのですが、一時は製造を休止していたのです。

 再開を決めたのが、大嶺酒造を引き継ぐ立場にあった秋山剛志氏です。原料には日本銘水百選の称号を持つ別府弁天池の水と、山口県産の最高級酒米である山田錦を使用。さらに発酵を抑える新技術を投入し、アルコール分14%の新感覚の日本酒を無添加で製造することに成功しました。これにより、白桃のような芳醇な香りと甘みのある日本酒「Ohmine」が生まれたのです。酒蔵の都合で年間5000リットルのみの製造ではありますが、大嶺酒造が江戸時代から培ってきた財産は、先端技術が注ぎ込まれて、21世紀に受け継がれることになりました。

 ただ、秋山氏が考えていたのは、日本酒製造の再開に留まらない、もっとスケールが大きい話です。日本だけでなく、世界に向けて大嶺酒造の名を広めるということでした。「Ohmine」と商品名をアルファベット表記にしたことからもその姿勢が伺えます。

 そしてもう1つ、目を向けたのが、パッケージデザインの革新です。既存の日本酒はラベルこそ違えど、瓶そのものはインパクトがあまりなく、人の印象に残りません。ラベルも基本的には日本語表記なので、外国人にはブランド名を覚えてもらいにくいという問題があります。

 秋山氏は、単身でスウェーデンに出向きます。目的は、ストックホルム・デザイン・ラボの創設者との面談でした。ストックホルム・デザイン・ラボとは、世界に名立たる企業をクライアントに持つ北欧きってのデザイン集団です。秋山氏の熱意と日本酒という素材に興味をそそられたのでしょう、ストックホルム・デザイン・ラボは「Ohmine」のパッケージデザインとCI(コーポレート・アイデンティティ)のディレクションを承諾したのです。

大嶺酒造の純米大吟醸「Ohmine Junmai Daiginjo」。白いボトルに描かれた1粒のお米のシンボルが印象的。吟醸では2粒、純米酒では3粒になっている。

 できあがってきたのは、白地に黒でお米を描いた極めてシンプルな酒瓶でした。多くの場合、大吟醸、吟醸、純米酒というグレードで酒瓶の見た目を変えています。ところが、ストックホルム・デザイン・ラボのデザインでは、描かれるお米の数だけでグレードを表現しています。この辺りも日本人の既存の発想にとらわれていては出てこない画期的な試みと言えるでしょう。ブランド名である「Ohmine」もしっかりと英語表記で謳われています。日本企業が外国で販売しようとする際にオリエンタルをそのまま売り物にするケースがありますが、「Ohmine」は違います。本当の意味で国際的な舞台で勝負できる、スタイリッシュな酒瓶となりました。

 もっともストックホルム・デザイン・ラボに酒瓶とワンカップをデザインしてもらったものの、見本品を作るのも一苦労。日本酒の酒瓶は透明であるべしという常識を打ち破るばかりか、ワンカップも女性向けにやや小さめで既存のサイズとは異なります。イレギュラーな注文に渋る職人さんを説得して、なんとか見本を作ってもらったそうです。

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