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「人間中心設計」を具現化する「ダイバーシティ・ヴィレッジ」の村人たち《後編》

博報堂ユニバーサルデザイン

  • 高嶋 健夫

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2010年8月16日(月)

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 前編(「『わさびのにおいで命を救う』を生んだ、障害者のチカラ」)で紹介したバイオベンチャーのシームス(東京都千代田区)が実践している「企業と障害のある人とのコラボレーション」を、より大掛かりなビジネスシステムとして推進しようという試みも始まっている。

 広告業界第2位の博報堂が昨年5月に新設したのが「博報堂ユニバーサルデザイン」。高齢者や障害のある人を含むすべての人に利用しやすいユニバーサルデザインに関するコンサルティングや開発支援業務に特化した専門組織である。

 その中核機能を担う“装置”として立ち上げたのが、「ダイバーシティ・ヴィレッジ」と名付けた独自の企画調査パネルだ。ここには障害特性が異なる様々な障害者をはじめ、年齢も、職業も、ライフスタイルも違う子供から高齢者まで約100人の“村人”が集められ、博報堂のクライアント(顧客企業)の要請に応じて、各々が持つ専門知識やノウハウを提供している。

 主宰者である井上滋樹・博報堂ユニバーサルデザイン所長が目指しているのは、「企業と多様な人々がパートナーとなって一緒にものづくりをする仕組み」を日本のビジネス界に根付かせることだ。

 「2つの試作パッケージを比べると、こちらのデザインのほうが明らかに見やすいですね。文字の大きさもこれくらいあれば、老眼の進んだお年寄りにも比較的読みやすいと思います」

 「印刷の色遣いは視認性もよく、改良の余地はあるものの、色覚特性のある人にもおおむね問題ないでしょう」

 「文章の書き方・読ませ方にはもう少し工夫がほしいですね」

 ここは東京・赤坂Bizタワーにある博報堂本社内のとある会議室。ある平日の夕方、博報堂のクライアントである大手医薬品メーカーが近く発売する予定の新しい市販薬のパッケージデザインを評価・検討するための会議が開かれていた。

視覚障害者がパッケージデザインを評価

 参加していたのは、博報堂からの要請に応じて参集した「ダイバーシティ・ヴィレッジ」のメンバー数人。この日は、全盲の人、弱視の人、色覚特性のある人、高齢の女性など、「視覚障害」に関する生活体験や知識を持ち、ユニバーサルデザイン(UD)開発に一家言あるメンバーたちが集められた。

 丸テーブルの上には、新製品の外箱や使用上の注意点を書いた説明文書の試作版、別の既存製品のパッケージなどが置かれている。試作したパッケージや説明文書には、博報堂が書体メーカーのタイプバンク(東京・新宿区)、慶應義塾大学の中野泰志教授と共同開発し、昨年秋にリリースした低視力状態でも認識しやすいUD書体シリーズの「つたわるフォント」が使われている。

 参加者はそれらを手に取りながら、司会進行役の博報堂ユニバーサルデザインのスタッフの求めに応じて、容器のデザインや開封性、表示の読みやすさ、箱の中に封入する説明文書の判型、文字のサイズやフォント、さらには文章の分かりやすさなど、様々なテーマごとに自由に感想や意見を述べていく。

 その様子を、壁際のデスクに陣取った医薬品メーカーのスタッフ数人と博報堂の担当営業スタッフが熱心にメモを取りながら、食い入るようにしてうかがっている。結局、この日の会議は予定の2時間をオーバーし、外が暗くなるまで続いた――。

「多彩な特性・感性を持つプロ」の集まり

 「私たちが組織したこの調査パネルの最大の特色は、“障害のあるプロフェッショナル”の方々に集まってもらっていることです」と、井上滋樹・博報堂ユニバーサルデザイン所長は力説する。

 現在、ダイバーシティ・ヴィレッジに登録されているのは103人。視覚障害、聴覚障害、内部障害、知的障害、発達障害、精神障害、肢体不自由など障害特性の異なる様々な障害者のほか、小さな子供や高齢者、左利きの人、外国人なども含まれる。

 職業も会社員、教員、福祉機関やNPO法人(特定非営利活動法人)の役員・職員、デザイナー、ウェブデザイナー、編集者、建築家、ボランティア活動家、学生などいろいろで、年齢も9歳から85歳までと幅広い。まさに「多彩な特性・感性を持つ人たちが集まった100人の村」という陣容になっている。

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