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日本の食料品はなぜ高いか

旧態依然の卸売市場がコールドチェーンを分断する

  • 大矢 昌浩

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2010年8月17日(火)

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 関東周辺の地域生協が加盟するパルシステム生活協同組合連合会(本部:東京都文京区)は、商品特性に合わせて温度帯を4つに区分した物流管理を6月から開始した。

 従来は「常温」のほか、マイナス10度の「冷凍」、プラス5度の「冷蔵」の3温度帯管理だったが、冷蔵扱いだった青果物を別にして、葉物野菜などに適したチルド帯(0度設定)のコールドチェーン(低温流通体系)を新たに構築した。

 同時に青果物を収穫してから配達するまでのリードタイムを従来の3日間から2日間に短縮した。一部の青果物では収穫翌日の配達も実施している。

 鮮度が上がれば当然、商品価値は高まる。パルシステムでは4温度帯管理を開始した6月の青果物の平均購入点数が前年同月比17%増の伸びを示したという。

設備のフル稼働でコストを吸収

 加工食品業界でも素材の鮮度を活かしたチルド食品は売り上げが好調だ。2大卸の国分と菱食の業績を見ても、総売上高の減少傾向とは裏腹に、チルド食品の取扱高は両社とも前年比で8%前後伸びている。

 食品メーカーは競ってチルド食品の品揃えを増やし、従来は常温で運ばれていた食品を、品質保持を重視して定温輸送(低温や冷蔵など一定の温度を維持したままで荷物を運ぶ方式)に切り替えるケースも増えている。

 これによって国内の食品出荷額に占める定温輸送商品の割合は50%程度まで拡大したと推測される。10年前には約40%と目されていたものが、10ポイント近く増加した。

 それだけ定温輸送市場は需要が拡大していることになる。しかし、実勢運賃に上昇は見られない。低料金のまま横ばいで推移している。

 冷凍・冷蔵用のトラックは通常のトラックに比べて冷却装置の分だけ車両の購入価格が高くつく。燃料費も3割ほど多くかかる。そのため、1990年代までは実勢運賃も常温輸送より1~2割は高かった。

 しかし、今では常温輸送と変わらない水準まで下がっている。デフレによる商品単価の下落が、物流会社に厳しくコスト削減努力を強いている。

 もともと食品物流は、物流会社にとって楽な商売ではない。景気動向に物量を左右されにくいという利点はあるものの、割高な固定費に加え、労働条件は過酷で、取り扱いに制約のある荷物が多い。

 注文を受けてから納品までのリードタイムは極端に短く、荷痛みや汚れが発生したり、先入れ先出しなどのルールを誤ったりした場合には、物流会社にペナルティが課せられる。

 それでも有力な食品物流会社は不利な条件をバネにして、サプライチェーン全体の効率化を先導することで、一般の物流会社以上に好調な業績を維持している。

 午前中は食品スーパーマーケットの納品に使った車両を、午後からは居酒屋チェーンの納品に回し、深夜には食材の調達に向かわせる。

 保管型倉庫の荷捌き場の空いた時間を利用して、別の荷主の通過型の仕分け作業や流通加工を処理する。

 あるいは同じエリアに出店する中小規模の外食チェーンにしらみつぶしに営業をかけて、庫内作業から納品輸送までのバックヤード機能をまとめて請け負うことで、物流の密度を上げるといった工夫を重ねている。

 荷主が意識することのないまま事実上の物流の共同化を実施して、24時間365日、設備をフル稼働させることで、高い固定費を吸収しているわけだ。

 その効率性とサービス品質は世界的にも抜きん出ている。実際、定温物流最大手のニチレイロジグループ本社(東京都中央区)は、EU(欧州連合)各国で経営の傾いた定温物流会社を次々に買収し、日本のノウハウを現地に移植することで再建するという企業再生を得意としている。

 一般に日本の物流会社の海外事業は現地に進出した日系企業向けの仕事ばかりなのだが、ニチレイロジグループ本社の場合は日本流のサービスを武器に、欧米のグローバル企業や地元の大手企業を荷主に獲得している。

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