「リーダーの条件 あなたは「勝ち残る組織」を創れるか」

伸びる課長の「原理原則」

ギリギリまで凝縮した「リーダーの条件」を示そう

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2010年8月19日(木)

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新将命・国際ビジネスブレイン代表取締役社長

 人は誰でも長い人生の間にはいくつかの意思決定を迫られる。進学校、就職先、配偶者選びはその中の御三家といえるだろう。これら3つに共通する特徴が1つある。それぞれ人の一生を左右する重要な意思決定であるという点である。

 課長職に就いているあなたに求めたいもう1つ別の意思決定がある。それは自分を(1)プレイヤー型、(2)プレイング・マネジャー型、(3)プレイング・リーダー型の3つの型のいずれに育てるかという基本的な意思決定である。結論から言うと私は第3のプレイング・リーダー型になることをお勧めしたい。

 表Iに示すように、私はジンザイを4つに分類して考えている。横軸のスキルとは仕事力のことである。最終的には利益を上げなければ持続性(サステナビリティー)を保てないのが経営というものなのだからビジネスマンたるものはなんらかの仕事力(技量・技能)を身に付けてなければ使いものにならない。パーソナル・コアコンピテンス(私の得意技)、それもちょっとやそっとでは人に引けを取らないレベルのスキルを少なくとも1つ、欲を言えば複数習得しておきたいものである。これが課長たる者の基本中の基本である。

 縦軸はマインドであり人間力である。前述のスキルが「手足の能力」であるのに対してマインドはむしろ「心の能力」に近い。抽象的で茫漠としたイメージのマインドの具体的な要素は何かというと私は「信頼・尊敬・動機」の3点セットであると考えている。その人が他人から信頼され尊敬されるような人であるか、何にも増して動機レベルは高いか、意欲満々であるかということである。加えて、人の動機を高めることができるかという点である。スキルを“技量”と呼ぶならばマインドは“器量”である。

4つのジンザイ

 スキル軸とマインド軸でジンザイを4つに分類してみる。

 右上の象限(スキル高・マインド高)のジンザイは、「仕事の能力に優れている上に人間力が高く、人から信頼され尊敬される上にヤル気満々である」というイメージである。企業にとってかけがえのない財産なので「人財」という字を当てる。こういう人が人を動かし仕事を動かし会社を動かすリーダーである。ビジネスマンの中で5%から10%はこの呼称に値する。

 右下の象限は、「スキル高・マインド低」である。仕事の能力は高いがあまり信頼もされず、何しろ意欲が低いというジンザイである。スキルは高いから人からは仕事を命じられれば正しく理解して実行に移し結果を出すことができる。それなりに立派なのだが残念なことに自ら手を挙げるということはない。指示や命令を受けるまではただそこに大人しく存在しているだけという存在の“在”を当てがった「人在」である。右上の「リーダー人財」に対してフォロワーなので「フォロワー人在」と呼ぶことにする。これが全ビジネス人口の80%以上を占める。スキルは高いのに惜しい人在である。

 左上はマインド高・スキル低である。意欲は高いが仕事は出来ないという人で、多くの場合、今年入社したばかりの新人(ビギナー)である。今日のところは未知数なので原材料の材を当てて「人材」と呼ぶ。将来はリーダー人財になる可能性を秘めてはいるが今日現在は未知数の原材料である。

 最後、左下の象徴は、「仕事も出来ずヤル気もなく、信頼も出来ない」という輩である。会社の成長にとって役に立つどころか、その存在そのものが企業の発展の足を引っ張るという困った人である。とりあえず“罪”という字を当てて「人罪」と呼ぶことにする。こういう人罪は多くの会社に2〜3%はいるようだ。

 冒頭にお勧めした課長としての選択肢であるブレイング・リーダーとは象限右上のリーダー人財と限りなく重なってくる。単なるプレイヤーではなく、プレイング・マネジャーでもない。プレイング・リーダーである。ただ単にスキル(仕事力)が高いだけではなく、人から信用・信頼・尊敬され、自らの動機も高く、人の動機を高めることのできるマインド高の人のことである。

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著者プロフィール

新 将命(あたらし・まさみ)

新 将命国際ビジネスブレイン代表取締役社長
1936年東京生まれ。早稲田大学卒。シェル石油、日本コカ・コーラ、ジョンソン・エンド・ジョンソン、フイリップスなどグローバル・エクセレント・カンパニー6社で社長職を3社、副社長職を1社経験。2003年から住友商事などのアドバイザリー・ボードメンバーを務める。長年の経験と実績をベースに、国内外で「リーダー人財開発」の使命に取り組んでいる。
希薄な虚論や空論とは異なり、実際に役に立つ“実論”の提唱を眼目とした、独特の経営論・リーダーシップ論には定評がある。ユーモアあふれる独特の語り口は、経営幹部層や次世代リーダーの間で絶大な人気を誇る。近著『経営の教科書』(ダイヤモンド社)、『リーダーの教科書』(ランダムハウス講談社刊)は、現役経営者、若手リーダーの必読書となっている。



このコラムについて

リーダーの条件 あなたは「勝ち残る組織」を創れるか

 役職があがり、部下ができ、これまでのように自分の成果だけを追求すればよいわけではなくなった。だからといって、マネジャーがなにを意識し、どう行動すればよいのか――。
 経営戦略やマーケティングの押さえどころを始め、ロジカルシンキング、交渉力、チームビルディングから部下の性格判別まで、単なるマネジャーから一歩踏み込んで、“リーダー”となるための必須ポイントを解説する。

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