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「ザラザラ」or「サラサラ」、上質さはオノマトペで整理する

【五感と期待編その2】触感がもたらす「期待以上」とは

2010年8月25日(水)

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 エクスペクトロジー(期待学)は期待や不安といったテーマに沿って、デザインを人間科学的に解析・研究する行為でもある。また、製品やデザインがもたらす感性に対する予測や印象を科学的視点で捉え直し、デザインの持つ価値に対して、新たな評価軸やプロセスを探り出す試みでもある。エクスペクトロジーでは、デザインや製品を形作る技術を製品の使い手の予測あるいは体験を通して獲得された感性価値の中で評価する立場を採用している。

 エクスペクトロジーの本格的な理論の紹介に入る前に、この日常的に頻繁に使われる「期待感」という言葉と、それらを巡る行為や心理分析を応用して製品やデザインを予測的に評価できるのかを考察しておきたい。

「期待」に応えるだけでは、消費者は満足しない?

 例えば、一般的に使い手の「期待感」に対する段階的評価のあり方を推定した場合、大きく整理すると、下図のような構造が見えてくる。

画像のクリックで拡大表示

 特定の期待感を持つ使い手が製品やデザインに抱く印象や評価は、概ね図解したように「期待通り」を評価の基軸に、「期待はずれ」と「期待以上」という3つの達成度段階で査定がされるであろうという実態が想像できる。

 ところで、この簡単に整理した使い手の「期待」の成り行きに関する構造図からも、我が国の多くの企業が現在、陥っているデザインや製品開発の目標設定の錯誤が看破できるように思える。

 近年国内では様々な企業による製品事故や、それに伴う企業の信用失墜が多発した。むろんこうした企業による、使い手に対する背信や失望は決して起きてはならないことではある。ただし、同時にこうした事案が、多くの企業に商品企画や提案における発想の自由さを奪い、萎縮を誘導していないとは言い切れない。

 結果的に、多くの製品は商品の基本要件として、使い手が欲するであろう機能要求に十分応える品質や性能が期待されていると言える。言い換えれば、図中で示したところの「期待通り」という目標達成を余儀なくされているということだ。

 「期待通り」が達成できない場合に、多くの使い手は確かに「失望」を感じるに違いない。一定の期間、抱いていた「期待」が満足されなかったという喪失感は、期待が高ければ高いほど深いものになるだろう。

 我々は本質的に期待感に関して、極めて変動的な心理を持っており、刻一刻、目にする対象に対し、状況や場所にも影響されながら、様々に期待感の変化を繰り返していると推測できる。期待感はある時には自らでさえ制御できない速さで私たちを捕らえ、何かほかのことに気を取られたりして見失わない限り、初期の思いが確認され、抱いた期待が達成あるいは評価されるまで持続する傾向が強い。

 仮に「期待通り」が達成されなかった時には、多くの場合、ある種の不確定な心理状態とも言える「不安」に陥る。そして、やがてそれらの「不安」が一向に払拭できず、初めに抱いた「期待」が到底望めないと自ら悟った時に、失望感を伴った「期待はずれ」の心理状況に変移する。

 ところで多くの企業が製品やサービスにおける「期待感」を自己評価しようと試みると、前述したように、どうしてもまずは「期待通り」を最終的な達成目標として掲げてしまいがちだ。つまり「期待」に応えることが、まるでデザインやモノ作りへの最善を尽しているかのように錯覚しやすいのだと思う。

 しかし、よく考えてみると商品を巡る様々な不安感を払拭し、使い手が欲しがるであろう一般的な機能要求だけを充足させていれば、作り手として十分に使い手の期待に応えられる価値を提案できていると判定するのは、やや早計であると言えるのではないだろうか?

 商品における期待感について、つまびらかにその事態を解き明かそうとすると、図にも示したように使い手の想定するであろう期待感に沿った「期待通り」の心理の上位に位置し、使い手の予想を超え、想像以上の感動やワクワク感を与える感覚、言い換えれば「期待以上」と呼べる感性については一向に意識されていないのではないかということに気づく。

 この考え方を企業における一般的な製品やデザイン開発の話に置き換えて整理してみると、多くの企業において「期待以上」という概念や達成目標値を明確には意識せず、ひたすら「期待通り」の達成に専念している傾向が強いのではないかということが予想される。作り手を巡る意識の状況がこうした傾向を示す中で、製品やデザインにさらなるワクワク感や魅力を与えるような「期待以上」の上質さが生まれてくる可能性が低いことが予想される。

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