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「雇われ経営者浪人」が続出する日本

「経営のプロ」の置かれた実情(1)

  • 岡島 悦子

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2010年8月19日(木)

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 日本に「経営のプロ」が必要とされているが足りない、「経営のプロ」を育成する仕組みも不足している、という論点でこれまで話を進めてきたが、では既にいる「経営のプロ」は、どのような実情に置かれているのか。2回にわたって、解説していきたいと思う。

1990年代後半が輩出の第1ステージ

 日本で「経営のプロ」に注目が集まったのは、1990年代の後半からではないかと思う。PEファンド(プライベート・エクイティ・ファンド)などの金融ビジネスが日本でも本格化し、企業に積極的に投資が行われるようになった。

 また、当時は経営環境が大きく変化していった時代である。バブル崩壊後の不況や金融危機など、かつてないほどの厳しい状況で経営が悪化する企業が続出。ファンドからの資金が、再生に向かうためのものになることも少なくなかった。資金を出すと同時に、甘い経営体質を見直すため、株主であるファンドの人が自ら経営に携わったり、「経営のプロ」を外部招聘したりというような局面が次々と出てきた。

 また、国が出資者となって産業再生機構が2003年に生まれ、数多くの再生案件が生まれることになる。こうして、外部から経営者を招き、既存の枠組みと異なる形で経営を行うばかりでなく、企業の内部からプロの経営者に抜擢される人の数も少しずつだが増えていった。「経営のプロ」が一定数輩出されるに至ったのである。これが、「経営のプロ」輩出の第1ステージだと思う。

本当の意味での人選の成功は約3割

 そして、メインバンク制を中心とした日本的な間接金融から、ファンドによる直接金融へと、お金の出し手が大きく変わり始めていったこの波に合わせて、コンサルティングファームの出身者が次々と「経営のプロ」に転身していく流れができていく。ファンドにも、元コンサルティングをバックグラウンドにしたキャリアの持ち主が多く、共通言語を持っていたコンサルティングファーム出身者を経営者として活用するのは、ファンドにとって極めて安心・快適だった。これが、「経営のプロ」輩出の第2ステージと呼んでいいと思う。

 ここから東ハト、ダイエー、カネボウ、福助など、再生の成功事例が次々と生まれていく。だが、その一方で、うまくいかなかった事例も少なくなかった。再生自体は成功したものの、送り込んだ経営者の人選が成功したかどうかは、また別の話である。多くの事例を拝見している中で、本当の意味での人選の成功は、個人的には約3割程度ではないかと思っている。

 ヘッドハンターを生業としている私がこんなことを言うのは、たいへん申し訳ないことであると承知しつつ申し上げるのだが、3割でも相当良い確率なのではないかと私は思っている。実際、「経営のプロ」市場が成熟している欧米でも、成功確率は3割程度と言われている。まだまだ「経営のプロ」市場が未成熟な日本市場でのこの数字はかなり評価できると言ってよいだろう。

 ピーター・ドラッカーは、1985年の「ハーバード・ビジネス・レビュー」に掲載された論文「人選の秘訣――守るべき5つの手順」の中で、「経営者は、ほかのなによりも人の管理と人選に時間を費やしている。(中略)誰に聞いても、彼らの打率は3割3分3厘に過ぎない。つまり、そうした決定のうち3分の1は成功、3分の1はどうにか成功、もう3分の1は完全な失敗である」と述べている。その後の25年間の数々の大規模な企業研究でも、トップの人選の成功確率がわずか3分の1という数値は、ほとんど動いていないという。

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