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有害の烙印を押された手塚治虫「セックス・コミック」

――「非実在老人」と「非実在青年」の対話(その2)

2010年8月24日(火)

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 「非実在老人」の問題を「コミック」と併せて考えた時、最初に思いついたのは「手塚治虫」でした。ツイッターでもブレーンストーミングさせてもらったのですが、

 「もし手塚治虫が生きていたら、死後32年もの長い間、白骨体で横たわっていたエアー老人、という状況をどう考えただろう?」

 いや、もっとはっきり言うなら

 「手塚治虫ならどうマンガに描いただろう?」

 と、思わず考えてしまったわけです。

「ブラック・ジャック」とエアー老人

 僕の小学生時代、手塚治虫は現役のマンガ家でした。1970年代「ジャングル大帝」や「鉄腕アトム」は少し古びた感がありましたが、手塚治虫としても最初の最盛期を過ぎた後、第二のピークに差し掛かる時期だったようです。特に毎週「少年チャンピオン」に連載される「ブラック・ジャック」は、少年誌の中なのに、どこか大人の香りを感じさせる「シリアスなマンガ」でした。

 家では「のらくろ」以外のマンガを買ってもらえなかったので(世代がバレますね)、少年誌は友達から見せてもらうか、歯医者さんや床屋さんの待合室で読んでいたのですが、特に高学年になると「少年チャンピオン」は毎号欠かしませんでした。

 「ドカベン」(水島新司)のようなスポーツマンガ、「がきデカ」(山上たつひこ)みたいな下ネタギャグと並んで「ブラック・ジャック」が楽しみでした。

 子供の目にもリアルな手術シーンは迫力があり、込み入った医学用語は「本物」を感じさせました。「手塚治虫は本物の医者らしいよ」なんて話も友達から伝わってきていました。

 「ブラック・ジャック」には時折、時事的な設定が出てくることがありました。と言っても大したモノではなく、「政界有力者」が出てきたり(「ロッキード事件」の頃でした)する程度でしたが。それでも、時局柄の設定といい、出てくる病気や手術といい、子供相手に値引きした感じが全くない、明らかに大人の緊張感が漂っていました。

 もし「足立区で32年間<即身成仏>していたエアー老人」なんて報道があったら、手塚治虫はどんな「ブラック・ジャック」の一話を考えただろうか? 手塚治虫の生前は「遺伝子鑑定」などは、まだ十分に普及していませんでしたが、最新の科学の道具建ても駆使して、大人が読んでも深く納得のいくコミックを作ったに違いない・・・思わずそんなことを考えたのでした。

手塚治虫の「おとなマンガ」

 一般には「アトム」や「レオ」など「健全なキャラクター」のイメージが強い手塚マンガです。「リボンの騎士」は、少女マンガの元祖とも聞いたことがあります。しかしこうしたキャラクターは本当に「健全」なのでしょうか? ロボットとして生まれながら人間の味方となりロボット界と対立するアトム、「男の心と女の心」を同時に持って生まれ、性別を偽って活躍する「リボンの騎士」のサファイア王子(姫)など、実は21世紀の大人の世界で考えても、大半の手塚マンガには、かなりシリアスな設定が敷きこまれています。

 「手塚治虫は大人向けのマンガ家」という印象を決定的に持ったのは中学1年生の時でした。Oさんという高校生の先輩から「すっぽん物語」(奇想天外文庫)という手塚治虫の文庫本を貸してもらったのです。ご存じの方、どれくらいおられるでしょうか。

 この作品、平凡なサラリーマン「フースケ」が様々なトラブルに巻き込まれてゆくごく普通の「大人のマンガ」です。新聞の4コママンガのようなペン画のタッチで描かれた1冊の中には、横井庄一や小野田寛郎など終戦後も長期間現地に潜伏していた帰還兵のニュースを下敷きに、戦地で出会った女性の「感触」が忘れられず、それを模して作ったダッチワイフが大ヒットして成功する社長の話などが描かれています。

 下ネタもたっぷり、関西人らしい毒気も充分の「大人向けの手塚マンガ」。これとよく似た印象は、少し後に読んだ作家の筒井康隆描く一群のマンガにも持った、というところで、雰囲気をお察しいただければと思います。

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名和 利男 サイバーディフェンス研究所上級分析官