「鈴木友也の「米国スポーツビジネス最前線」」

邪道?王道?名物独立リーグ球団の異色集客手法

「楽しいことは良いことだ」(上)

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2010年8月26日(木)

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筆者撮影(以下同)

 「なぜ白ブタの置物がスタジアムの入口に…?」

 私は思わずそうつぶやいてしまいました。文字通り、真っ白な2匹のブタの置物が入場ゲートの前で私を出迎えてくれたのです。

 首をひねりつつ笑いをこらえながら入場門を越えて歩いていくと、今度は見慣れたキャラクターが壁沿いに野球のユニフォームを着て据え置かれているではありませんか。

 「なぜスヌーピーがこんなところに…?」

 頭の中を疑問符でいっぱいにしながらも、何だか少し胸躍る感触を楽しみながら、私はコンコースを歩き続けました。そして、観客席に出てバックネット裏からフィールドを見渡すと、さらに驚くべき光景に遭遇しました。

 多くの選手達が外野でウォーミングアップを行っている最中、お世辞にもプロには見えない不恰好なスイングで打撃練習を行っている人物がいたのです。しかも、よく見るとそれは女性でした。笑顔を見せながら、打撃練習を満喫しているように見えました。

 「ああ、彼女はグランドキーパー。ちなみに、今投げているのが監督だよ」

 同行してくれた球団幹部は、事も無げにそう教えてくれました。驚きはまだ続きました。奇妙な打撃練習を左手に見ながら内野席の通路を右翼方面に歩いていくと、コンコースの端に無造作に1組の座席と丸机が置かれています。足元の段ボール箱の中を覗いてみると、そこにはなぜかバリカンが収納されていました。この座席は試合観戦しながら美容師に髪を切ってもらえるという「散髪シート」だったのです(もちろん、シャンプーなどの気の利いたサービスはありませんが)。

 これは、私が今年6月半ばにクライアントとともにミネソタ州セントポールに本拠地を置くあるプロ野球球団の視察に訪れていた時に(しかも球場の視察を開始してほんの10分も経たない間に)目にした光景です。

 その球団の名前はセントポール・セインツ。米メジャーリーグ(MLB)とは提携関係を持たない独立リーグ「アメリカン・アソシエーション」に所属するこの球団は“米国で最も有名なマイナー球団”として知られています。

 今回のコラムでは、米国の名物独立リーグ球団による異色集客手法についてご紹介しようと思います。近年、日本でも2005年に設立された日本プロバスケットボールリーグ(bjリーグ)を皮切りに、四国・九州アイランドリーグ(2005年設立)、ベースボール・チャレンジリーグ(2007年)、関西独立リーグ(2009年)など、地域密着を標榜するプロスポーツリーグが続々と誕生しています。しかし、もちろん地域密着を掲げれば万事うまくいくというわけにはいかず、課題も少なくありません。

 新興スポーツリーグにおける最も大きな課題の1つは、競技力が低い中でどう収入を安定させるかでしょう。競技力は一朝一夕で向上するものではありませんが、競技レベルが低いスポーツにはなかなか観客やテレビ視聴者は集まりません。昨年4月に開幕したばかりの関西独立リーグが、発足から2カ月足らずで経営難に陥って運営会社がリーグ経営から撤退したニュースはまだ記憶に新しいところでしょう。

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著者プロフィール

鈴木 友也 (すずき・ともや)

鈴木 友也 ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。1973年東京都生まれ。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)を経て、マサチューセッツ州立大学アムハースト校スポーツ経営大学院に留学(スポーツ経営学修士)。世界中に眠る現場の“知(インサイト)”を発掘し、日本のスポーツビジネス発展のために“提供(トランス)”する――。そんな理念で会社を設立し、日本のスポーツ組織、民間企業、メディア、自治体などに対してコンサルティング活動を展開している。ほかにも講演、執筆でも活躍中。著書に『スポーツ経営学ガイドBOOK』(ベースボール・マガジン社、2003年)、訳書に『60億を投資できるMLBのからくり』(同、2006年)がある。中央大学商学部非常勤講師(スポーツマネジメント)。ブログ『スポーツビジネス from NY』も好評連載中。Twitterのアカウントはtomoyasuzuki

(写真 丸本 孝彦)



このコラムについて

鈴木友也の「米国スポーツビジネス最前線」

「スポーツビジネス先進国」と言われる米国。その市場規模や人気などで日本を凌駕する。そこでは、日本にいては思いつきもしない先進経営が繰り広げられている。だが、進みすぎたが故の問題も内包する。米在住のスポーツマーケティングコンサルタントが、米国スポーツビジネスの現場を歩き、最新トレンドを解説していく。
果たして、米国は日本スポーツ界の「模範解答」となるのだろうか?

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