「市場縮小に負けないアフターサービス」

顧客も社員も認める「日本一」のディーラーを目指して

【最終回】「チャンスは必ずモノにしていこう」

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2010年8月25日(水)

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 これまで3回にわたってファイブスター東都(東京都府中市)という自動車ディーラーのアフターサービスに関する取り組みや考え方を紹介してきた。最終回は、ファイブスター東都の高野光司社長がなぜ一般的なディーラーとは違い顧客満足を追求するようになったのか。その背景と今後のファイブスター東都の目指す方向性について見ていこう。

 ファイブスター東都の目指す顧客満足は、美しく豪華なショールームを構えることや、礼儀作法を徹底的に従業員に教育してマニュアルに違わず顧客を出迎えるといったおもてなしの追求とは異なる。自分たちの店舗で自動車を購入した顧客(自動車業界では既納客という)に、購入後もより一層自動車やディーラーに満足してもらえるような取り組みを指す。

「広く浅く」から「深く狭く」へ転換

 しかし、決してファイブスター東都は設立当初から、このような考えを持っていたわけではない。

 以前は、「クライスラーのことを知らない人がいっぱいいるのだから、多くの人に知ってもらいたい」「知らない人たちにクライスラーの車を体験してもらいたい」という考えから、クライスラー車とファイブスター東都というディーラーを認知させるために、チラシなどに多くの広告宣伝費を投入していた。

 「実は、このようにたくさんの人に広告をすることで、本当にクライスラーが好きなコアなファンのお客さんを失っているということに気づきました」と高野社長は振り返る。

ファイブスター東都を率いる高野光司社長。鉄道から自動車、そしてクライスラーに魅せられている。
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 クライスラーのような個性の強い輸入車は、「皆が乗っているメジャーで間違いのない安心な車」というよりは、「ほかの人が乗っていないあまり見かけない自分だけの車」という意識を持っているユーザーが多い。従って、自分が乗っている車をあまりにも多く街で見かけるようになっては、逆に自分だけの車という愛着が薄れてしまうわけだ。

 このことに気づいた時から高野社長は、広く浅くの顧客志向ではなく、深く狭くの顧客志向へと転換していった。クライスラーという車を好きで興味を持っている人たちだけにターゲットを絞り、その人たちを大切にして、その人たちが喜ぶような深いものを提供しようと、ファイブスター東都の顧客志向の軸が定まった。

 そこに行きつくまでの高野社長と自動車ディーラービジネスの関わりを少し振り返ってみよう。

 今から34年前、大学生だった高野社長は、夏休中にワンボックスカーを自分で改造してキャンピングカーに仕立て上げ、北海道を旅した。中学生の頃から電車で日本中を旅していた高野社長は、自動車免許を取得して間もなく、初めて自動車で旅をする。「好きな時に、いつでもどこにも行ける車って、なんて便利なんだろう」と自動車の魅力に取りつかれる。旅から戻った高野社長は、近所にあった自動車ディーラーでアルバイトを始めた。

 その自動車ディーラーが、ファイブスター東都の経営母体に当たるダイワグループ(東京都東久留米市)である。ダイワグループは、クライスラー車を取り扱うファイブスター東都以外に、ホンダ車を扱うホンダプリモ埼玉西とBMW車を扱うモトレーン東都がある。高野社長は、このダイワグループの副社長も兼任しており、アルバイトとして門を叩いたのは、このホンダのディーラーだった。アルバイトの後に、正式に社員として入社する。

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著者プロフィール

長谷川 愛(はせがわ・あい)

1970年生まれ。人材育成・組織構築コンサルタント。外資系自動車メーカーに7年勤務し、経営企画、海外業務、販売店教育などに携わる。現在は、米国の自動車業界向け教育コンサルティング会社TTiで日本市場のジェネラル・マネージャーを務める。年間3分の1を、海外および日本全国のメーカーや自動車ディーラーに足を運ぶ。



このコラムについて

市場縮小に負けないアフターサービス

2009年4月に経営破綻した米自動車大手のクライスラー。にもかかわらず、業績を堅調に伸ばすクライスラーのディーラーがある。逆境を跳ね返した原動力を探ると、新車販売に活路を見出そうとするディーラーが多い中で、購入客が期待する以上のアフターサービスを実現する徹底した顧客志向が浮かび上がってくる。市場が縮小しても業績を伸ばす経営とは――。

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