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中流マーケティングを捨てよ!

“下流が主流”の時代のビジネスのあり方

  • 小屋 知幸

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2010年8月24日(火)

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空洞化する中流層

 今ではほとんど耳にしなくなった「1億総中流」という言葉は、日本市場の特徴をよく言い当てていた。日本市場は中流層のボリュームが厚いだけでなく、中流意識は一部の上流層や多くの下流層にまで及んでいた。もちろんかつての日本にも所得格差はあり、年収400万円未満の下流層は少なからず存在していた。しかしながらその多くは若年層であり、彼らは「年齢とともに所得は上がる」と考えていた。つまり彼らは現実の所得水準が下流であっても、意識は中流であり、消費意欲も高かったのである。

 しかし現在、今まで日本の消費市場を支えてきた中流層が急速に空洞化している。たとえば10年前に年収200~300万円程度であった若年層の多くは、その後所得が増えず、中流層へのステップアップができていない。また10年前に年収500~1000万円程度であった中年層の一部は、リストラなどによる収入の大幅減により、下流層への転落を余儀なくされた。

 国民生活基礎調査のデータによると、2008年の世帯平均所得は548万円。10年前の655万円から100万円以上も減少している。

所得減少は止まらない

 中流層の没落と下流層の拡大という現実に対して、「正社員と非正規社員の格差が問題だ」という主張が勢いを得ている。確かに中流層には正社員が多く、下流層には非正規社員が多い。しかし規制などによって非正規社員の雇用を抑制しても、下流化の流れは止められないであろう。企業が非正規社員を拡大させることによって人件費を抑制しようとしたのは、既得権で守られた正社員の賃金を下げにくかったからだ。言い方を変えれば、非正規社員は、人件費抑制のしわ寄せを受けた被害者であり、その加害者(受益者)は正社員であったと言うこともできる。だから非正規社員を正社員化し、彼らが加害者側に回れば問題が解決するということにはならない。非正規社員の増加は、あくまで表面上の問題にすぎないのである。

 問題の根源をさかのぼるならば、グローバル化こそが日本人の所得減少の“元凶”であると考えられる。経済が地球レベルで一体化する現実の前では、日本人だけが高所得を謳歌するわけにはいかないのだ。現在日本の労働者の多くは、アジア諸国の5倍から10倍の賃金で処遇されている。日本人労働者は概して勤勉で、教育水準も高く、その労働価値は新興国の労働者より高いと考えられる。しかし、だからといって、日本人労働者の生産性がアジア諸国の労働者より5倍以上も高いとか、5倍以上も付加価値の高い仕事をしているということはないであろう。

 したがってグローバル化が止められない以上、日本人労働者の賃金の下落は今後も続くと考えざるを得ないのである。

拡大する下流層

 日本人の所得減少に伴い、日本における下流層は急速に拡大している。これを2008年のデータで確認すると、100万円刻みの世帯年収分布における最大勢力は年収200万円台(構成比13.9%)のセグメントになっている。世帯年収300万円台(構成比13.3%)のセグメントと、世帯年収100万円台(構成比12.7%)のセグメントがこれに続く。さらに2008年以降の所得環境の悪化を踏まえれば、下流層の構成比率は、現時点ではいっそう増大していると考えられる。

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中村 克己 元ルノー副社長、前カルソニックカンセイ会長