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経営危機を乗り越え、障害者の自立支援に挑む盲人社長《後編》

アメディア(IT機器やソフトウエアを開発・販売)

  • 高嶋 健夫

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2010年8月30日(月)

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(「ステッキを社会的に認知してもらいたい《前編》」から読む)

 「学生の街」として知られる東京・高田馬場には、もう1つの顔がある。JR高田馬場駅東口から早稲田にかけての一帯には、日本点字図書館や日本盲人会連合、東京ヘレン・ケラー協会など視覚障害関係の社会福祉法人、東京都心身障害者福祉センターや全国身体障害者総合福祉センター(戸山サンライズ)などの福祉機関が集中立地する。ここは日本一の「視覚障害者の街」でもあるのだ。

 「視覚障害者のためのIT(情報技術)機器・ソフトウエアの専門メーカー」であるアメディアも、このエリア内の新宿区西早稲田に本社を置く。1996年に発売した活字印刷物音訳ソフト「ヨメール」で1997年度日経優秀製品・サービス賞の優秀賞を受賞するなど、製品開発力には定評があり、盲界(視覚障害者のコミュニティー)での知名度はつとに高い。のみならず、地元新宿区からも地域貢献度の高い優良中小企業として何度も表彰されている。

 1989年の創業以来、同社を率いてきたのは、自身も全盲の望月優社長(52歳)だ。自らの障害特性を活かして、ほかにはない「オンリーワン企業」を作り上げた望月社長だが、当然のことながら、現在に至る20年強の道程は平坦なものではなかった。その間には、経営危機に直面した時期もあった。ただし、経営者として味わった苦悩や苦難は、「ITベンチャーだからというわけでも、盲人社長だからというわけでもなかった」と語る。

 アメディア(東京都新宿区、望月優社長)が謳う企業理念は「情報とテクノロジーで障害者の自立支援!」。創業以来一貫して、「晴眼者(健常者)と視覚障害者の架け橋になるシステムの提供」を事業ミッションに掲げて、独創的な製品開発を続けている。

 中核を成すのは、光学式文字読み取り装置(OCR)技術を応用した製品・ソフトウエア群だ。

音声拡大読書機がヒット

 最初のヒット商品である1996年発売の「ヨメール」は、印刷物を読むためのパソコン用音声読み上げ・拡大表示ソフト。スキャナーで書籍・雑誌・書類など墨字(一般の活字)で印刷されたコンテンツをデータ化してパソコンに取り込み、それを音声で出力することができるほか、モニター画面に拡大表示することもできる。つまり、全盲の人だけでなく、弱視の人、老眼や白内障で小さい文字が読みづらくなった高齢者にも役立つ支援ソフトで、しかも、それまでにない先進的な機能が多数盛り込まれていた。

 一番の特徴は、操作の簡単さ。一般の読み上げソフトではいったん取り込んだデータをテキスト化して呼び出し、読みたい部分にカーソルを当てるといった面倒な操作が必要だが、「ヨメール」は読みたい印刷物をスキャナーにセットすれば、後はスペースキーを2回押すだけで、すぐに読み上げを開始する。

 他方、拡大表示する場合は、好みのフォント、サイズ、レイアウトで表示できる。一般の拡大読書機(CCDカメラで文字を映して、モニターに拡大表示する福祉機器)では文字を単純に大きくするだけなので、文字や文章が画面からはみ出してしまう(途中で切れてしまう)のだが、「ヨメール」は取り込んだコンテンツをデータ処理して再表示するので、元の印刷物のレイアウトには制約を受けずに、画面サイズに合わせて文字が欠けたりすることなく表示することが可能だ。

 こうした「ヨメール」の優れた機能をパソコンが苦手な人でも利用できるように、単独で使える専用機に仕立てたのが、現在の主力商品である音声拡大読書機「よむべえ」だ。これは、キヤノンやエプソンなど大手メーカー製のスキャナーを独自に設計・開発した筐体に組み込み、「ラジカセやカセットレコーダーを使うような感覚」で、簡単なボタン操作だけで使えるようにしたもの。

 1999年に「ヨメールEZ」の商品名で最初のモデルを発売し、2003年に大幅なコストダウンを実現した後継機種を「よむべえ」に名を改めて発売。その後もほぼ1年に1度のペースで機能の追加と向上、使い勝手の改良を図り、現在の2010年型はバージョン7にまで進化している。累計販売台数は約3000台に達し、全国の公共図書館などにも数多く設置されている。

 さらに、今年1月には「外出先でも使える読書機がほしい」というユーザーの声に応えて、携帯電話サイズの小型音声拡大読書機「携帯リーダー」を発売するなど、ラインアップの拡充を進めている。

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