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“価格破壊第2幕”の到来を告げる牛丼デフレ戦争

消費市場に忍び寄る「差別性喪失」という“不治の病”

  • 小屋 知幸

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2010年8月31日(火)

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外食業界を震撼させた“牛丼デフレ戦争”

 牛丼業界の価格競争が激化している。昨年秋から業界大手のすき家と松屋が相次いで値下げを実施し、牛丼並盛の価格はすき屋が280円、松屋が320円となった。値下げ競争はそれにとどまらず、今年はすき家と松屋が再三にわたる「期間限定値下げ」を実施し、牛丼並盛の価格は、ついに250円にまで低下した。そして今までは「値下げはしない」と静観を決め込んできた吉野家も、客数減をこらえきれずに、「期間限定値下げ」で価格競争に参戦した。

牛丼並盛価格の推移

  吉野家 すき家 松屋
従来価格(値下げ戦争前) 380円 350円 380円
現在の通常価格 380円 280円 320円
2010年4月期間限定値下げ 270円 250円 250円
2010年6月期間限定値下げ 値下げせず 250円 250円
2010年7月期間限定値下げ 270円 250円 250円

※各種資料に基づき、著者作成

 “250円牛丼”は、外食業界に少なからぬ衝撃をもたらした。ファストフードやファミリーレストランなどの顧客が、一斉に牛丼チェーンに流れたからである。牛丼業界で始まった価格競争は、業態の壁を越えて、外食業界全般に波紋を起こしている。利益率数パーセントの低収益企業がひしめく外食業界で、価格破壊の波が広がれば、致命的打撃を被る企業も少なくないはずだ。こうしてすき家と松屋の低価格攻勢は、直接競合する吉野家だけでなく、外食業界全体を恐怖の渦に陥れたのである。

ほどほどに衝撃的?な250円牛丼

 ただし消費者の反応は、それに比べれば穏やかなものであった。牛丼の値下げに対して消費者は敏感に反応したものの、驚きの声はそれほど強いとは言えない。今の消費者は“価格破壊慣れ”しており、企業の採算が取れようが取れまいが、価格は下がり続けるものだと認識している。

 数年前、外食・コンビニ業界の各社が500円程度のメニューを次々と投入し、「ワンコイン戦争」と呼ばれたことがあった。だが今では、ワンコインでは高い印象さえある。消費者は200円台の牛丼にもすぐに慣れてしまい、驚きは継続しないと予想される。これがデフレ経済の怖いところである。

 このように牛丼デフレ戦争は外食業界を震撼させたものの、消費者は「モノの値段は安くなって当然」と平静に受け止めた。総体的に見れば、250円牛丼の衝撃は「ほどほど」といったところなのである。

価格破壊は第2幕へ

 日本の消費市場でビジネスを行う企業にとって、牛丼デフレ戦争は“対岸の火事”とは言えない。消費者物価指数の推移を見ると、1990年代後半から2000年代初頭まで消費者物価の下落傾向が続いた(1997年は消費税率引き上げのため異常値となっている)ことが確認できる。この時期、小売業界や外食業界に価格破壊の第1波が押し寄せたのである。1995年にはマクドナルドが「80円バーガー」で価格破壊を仕掛け、1999年にはユニクロの「フリース旋風」が業界を席巻した。

コメント14件コメント/レビュー

東京都内に勤務するサラリーマンです。安ければどこでも良い、という点にちょっとだけ反論させていただきます。吉野家さんは米国産の牛肉で、ゼンショーさん、松屋さんはオーストラリア産、私はこの違いで吉野家さんには入りません。この点が変わらなければ、吉野家さんが例えば他社よりも安くされたとしても入らないでしょう。米国産の牛肉が狂牛病の疑いのある中で政府間の交渉の結果解禁された当時、牛丼店各社さんが安全性が確定したわけでは無い、と採用しなかった中、吉野家さんだけが、安全は政府が保証しているのだから、とか、吉野家の味は米国産牛肉でなければ出せない、とか言って飛びつきました。あれ以来吉野家さんには入っておりません。あと、古い記憶ですが吉野家さんは牛丼以外のメニューが他社さんと比較してダントツで貧弱だったのも入らない理由のひとつです。他の飲食店さんでも米国産牛肉を採用している所は沢山あるのでしょうから、神経質になってもしょうがないのかとも思いますが、値段以外のところでも吉野家さんは支持を失っている可能性もあるのでは、と思ってコメントさせていただきました。(2010/08/31)

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東京都内に勤務するサラリーマンです。安ければどこでも良い、という点にちょっとだけ反論させていただきます。吉野家さんは米国産の牛肉で、ゼンショーさん、松屋さんはオーストラリア産、私はこの違いで吉野家さんには入りません。この点が変わらなければ、吉野家さんが例えば他社よりも安くされたとしても入らないでしょう。米国産の牛肉が狂牛病の疑いのある中で政府間の交渉の結果解禁された当時、牛丼店各社さんが安全性が確定したわけでは無い、と採用しなかった中、吉野家さんだけが、安全は政府が保証しているのだから、とか、吉野家の味は米国産牛肉でなければ出せない、とか言って飛びつきました。あれ以来吉野家さんには入っておりません。あと、古い記憶ですが吉野家さんは牛丼以外のメニューが他社さんと比較してダントツで貧弱だったのも入らない理由のひとつです。他の飲食店さんでも米国産牛肉を採用している所は沢山あるのでしょうから、神経質になってもしょうがないのかとも思いますが、値段以外のところでも吉野家さんは支持を失っている可能性もあるのでは、と思ってコメントさせていただきました。(2010/08/31)

ちょっと違うんじゃないかなと思います。牛丼戦争で吉野家が負けたのは価格のせいだけじゃないと思います。良くも悪くも牛丼しかないから負けた部分があります。ひとりで黙々と食べるならまだいいですが、何人かで連れ立って、あるいは家族や女性と行く時に、いくら安くても牛丼しかない店に行きますか?そして、同じ牛丼といいながらすき家にはどれだけのバリエーションがあるか分かりませんか。すき家で牛丼を食べている子どもや女性を見ると、いわゆる『牛丼』を食べている人より、アレンジ牛丼を食べている人の方が多いでしょう。「うまい」の基準が違うのです。またすき家は、元々カレーについても力を入れているし、牛丼以外の丼も豊富、デザートメニューや子ども用メニューも容易するなど、ファミリーレストランへの対応も着実です。マクドナルドは低価格路線でむしろ失敗してます。最近好調なのは、最後に指摘しているように客単価と新しい客の確保という的確なところを押さえているのが勝因です。(2010/08/31)

日本が「これからは下流が主流だ!」となってきてしまったことに対して、それは日本のためにはならない、それをどう食い止めるかという、マクロな視点での記事を期待します。個々の企業が生き残りのためコスト削減に走り、従業員の削減や賃金圧縮にまい進した結果、国全体としては購買力が低下し、デフレスパイラルが止まらない。中国などアジア諸国への輸出入は、日本国内に対してはデフレ圧力になる。個々の企業が競争力強化に努めたところで、国民の豊かさは全体としては損なわれていく。この現状をよしとしない立場での記事を望みます。(2010/08/31)

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