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ちっぽけな先住民族が多国籍資源メジャーに立ち向かう

鉱山開発に対する逆風は強まる一方

  • 谷口 正次

バックナンバー

2010年9月2日(木)

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 去る8月24日、BBC(英国放送協会)が、「インド政府は先住民族の土地を採掘するベダンタ社の計画を拒否」というニュースを報じた。

 世界の多国籍資源会社関係者の間には、衝撃が走ったと思われる。

 インドの東部オリッサ州には、鉄鉱石やボーキサイトの資源が豊富にある。かねてから、英国系の鉱山会社ベダンタ・グループがボーキサイトを採掘する計画を進めていた。

 しかし、開発区域の山は、豊かな森に覆われ、先住民族が自然と共生して暮らしている。その山を、先住民のドングリア・コンド部族の人たちは「聖なる山」として崇めている。

 決定を下したインド政府の環境大臣であるジャイラム・ラメシュ氏は、記者会見で「プロジェクトが環境保護法の重大な違反と先住民族の権利侵害であり、政府の決定はなんらエモーショナルなものでも、政治的なものでもなく、そして何の偏見もなく単純な法的措置である。法律違反の問題だ」と語った。

経済効果よりも先住民の保護を優先

 これまで鉱山会社側は「27億ドルという巨額の投資をするので、インドで最も貧しい地域の1つが開発され、多くの雇用を生み出すことになる。しかも、環境保護法はすべて遵守する」と主張してきた。

 一方、部族側は「採掘によって聖なる山と彼らの生活基盤は破壊されてしまう」と主張してきた。先住民を支援する、国際NGO(非政府組織)のサバイバル・インターナショナル(Survival International)は、ベダンタ・グループの開発計画はあまりに破壊的に影響が大きいプロジェクトとして反対運動をしてきた。

 そして、「このたびのインド政府の決定は、先住民の人たちにとって“画期的な勝利”だ」とコメントした。サバイバル・インターナショナルは、これまでドングリア・コンド部族のことを、ジェームス・キャメロン監督作品の映画「アバター」に描かれた、衛星パンドラに住む先住民「ナヴィ」の悲惨な状態に重ね合わせてきた。

 ちなみに、「アバター」は、サンスクリット語で(神や仏の)化身を意味するので、インド人、特に先住民族にとっては身近に感ずるであろう。

 プロジェクトに反対していたのはNGOだけではない。英国のセレブたち、ビアンカ・ジャガー(EU[欧州連合]の親善大使、人権活動家、ファッション界の偶像的存在、元女優)、ミカエル・ペーリン(作家、俳優)、ジョアンナ・ラムレー(女優、作家、英国テレビ界の女王的存在)といった人たちも反対の声を上げていた。

 そして、今年2月には、英国国教会は、それまで保有していたベダンタ・グループの株式を売却した。「倫理的な投資方針に反する企業だ」という理由だ。

 いずれにしても、このたびの決定は「正直言って誰も実現するとは思っていなかった勝利だ」と関係者たちは言う。しかし、「ちっぽけな、追い詰められた先住民族が強大な力を持った多国籍企業に立ち向かうことができるものかどうかのリトマス試験となった」(サバイバル・インターナショナル)。

「森林モラトリアム」を設けたインドネシア

 このベダンタ・グループのケースのほかに、去年から今年にかけて、鉱山開発に対する逆風となることがいくつも起きている。いくつか目立った事例を紹介しよう。

 まず、8月4日、インドネシア政府は2011年1月より2年間、資源開発のために熱帯雨林を伐採することを禁じることを発表した。2年経過後延長あり、というものである。

 この法案によって影響を受ける鉱山会社としては、多国籍資源メジャー。米ニューモント・マイニングのスンバワ島における銅鉱山開発プロジェクト、世界最大の英豪BHPビリトンのカリマンタン(ボルネオ島)における石炭鉱山開発プロジェクト、そして、米フリーポート・マクモラン・カッパー&ゴールドのパプア州における世界最大と言われるグラスバーグ金鉱山の拡張である。

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