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“企業内埋蔵金”を解放せよ!

「資本タダ乗り経営」が株価を蝕む

  • 小屋 知幸

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2010年9月7日(火)

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なぜ株価が低迷しているのか

 日本の株式市場に、暗雲が垂れこめている。リーマンショック後のどん底からの回復もつかの間、この夏以降は市場心理が急速に悪化し、株価は年初来安値の水準に沈んでいる。しかも日本の株価上昇率(下落率)は主要国の中でも最悪であり、状況は深刻だ。

 日本の株価低迷の原因は、いくつも指摘できる。第1に、足元の日本市場の衰退リスクが非常に高まっている。第2に、グローバル市場での日本企業の競争力に陰りが見えており、昨今の円高がこれに追い打ちをかけている。第3に日本企業の収益回復の原動力となってきた新興国市場や、欧米市場における景気減速の気配が色濃くなっている。これに加えて政治の迷走も、日本悲観論に拍車をかけていると考えられる。

 だがここで述べた理由は、あくまでマクロ環境にかかわる事象である。厳しいマクロ環境の下、日本企業が逆風にさらされていることは事実だ。しかし企業価値を創出し、株価を高めることは、第一義的には企業や経営者の責務である。だから株価低迷の原因をマクロ環境だけに求めるのは、適切ではない。企業や経営者が自らの責務を十全に果たしているかどうかを、疑ってみる必要があるはずだ。

PBR1倍割れの異常事態

 突きつめた言い方をするならば、株式会社の使命は「株主から預かった資本を増やすこと」である。この前提で考えるならば、企業の株主価値(=時価総額)は「現在の株主資本(=純資産)+今後企業が稼ぐであろう利益の現在価値」とならなければならない。言い換えれば、企業の時価総額は純資産を上回っていて当然であり、PBR(株価純資産倍率)*は1倍以上となるのが当たり前である。

PBR1倍は「解散価値」とも言われる。これはPBRが1倍を切るならば、会社を解散して株主に資金を返した方がよいとの趣旨である。PBRが1倍に満たない企業は、「将来的に株主の資産を食いつぶす」と評価されているに等しい。そのような企業は「株主の資本を増やす」という企業本来の使命を果たせないわけであり、その意味で企業としての存在意義を欠いていると言わざるを得ないのである。

 ところが現在、東証上場企業の平均PBRは0.8倍前後となっている。つまり日本では株価が解散価値を上回る企業は例外であり、多くの企業が企業としての存在意義を疑われる株価水準にとどまっているのである。

 「解散価値割れ企業」は、今までも一部に存在していた。ただしそのほとんどは、赤字や不祥事など、何らかの瑕疵を持つ企業であった。しかし現在は、日本を代表する優良企業までもが解散価値割れする状況となっている。たとえば、NTTのPBRは0.63倍、トヨタは0.88倍、パナソニックは0.8倍である。これはかつてない深刻な事態だ。

実質的な企業価値はゼロ!

 解散価値割れよりもさらに深刻な“危機”に直面している企業もある。新日鉄系の電炉メーカーである大阪製鐵は過去10期以上黒字を維持しており、今期の業績も増収増益を見込んでいる。しかしながら同社のPBRは0.44倍という低水準に沈んでいる。大阪製鐵の8月末時点の時価総額は約520億円。有利子負債はゼロで、前期末現在で約540億円の現預金を持つ。つまり現預金残高が時価総額を上回っているのである。

 仮に大阪製鐵を500億円で買収したとしよう(現実のM&Aはそれほど簡単ではないが、単純化して考える)。買収後、500億円を配当で株主(つまり買収を実行した企業または人)に支払う。そうすると、ちゃんと利益を出している中堅企業が実質的に“タダ”で手に入ることになる。これを例えれば、「500円の商品を買えば、500円の現金が付いてくる」というようなものである。この場合、商品の実質的な価値はゼロだ。

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