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生きるためには「空気」だけでなく「水」も必要です

リーダーのための「言葉の整理学」(その3)

  • 藤野 英人

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2010年9月15日(水)

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(「『未来』に立って、今を見ていますか?」(その1)を読む)

(「自分、他者そして社会。投資するから『豊か』になる」(その2)を読む)

―― 「空気を読むチカラ」や「KY」という表現は、今では当たり前となっていますが、「空気の支配」は怖いですよね。表面上は一致しているように見えるけれども、議論はウヤムヤになっていて、正しい判断ができなくなっています。そうすると、当然、本来の力を発揮できるはずがありませんから、現状打破など望むべくもありません。

藤野 英人(以下、藤野) そうですね。「出る杭は打たれる」という言葉があるように、組織内でメンバー全員に同質性を強く要求して、突出した人間を認めないようとしない。その結果、誰もが自分の意見を変えてでも、「その場の空気に合う」行動や発言をせざるを得ない。これは、以前から指摘されている問題でもあります。

 私が不安に感じているのは、この風潮が「ゆとり世代」と呼ばれる現在の若者たちにも蔓延しているからです。だって「ゆとり教育」というのは、一人ひとりの個性を重視して尊重することを志向していたはずですよね。それが実際に蓋を開けてみると・・・。私は大学で講義しているのですが、学生に意見を求めてもお互いの空気を読み合ってなかなか主張しないという現実があります。

―― 「場の空気を読む」ことは集団の中で円滑な人間関係を築くために、ある意味必要なことではあります。しかし、それが行き過ぎると、何も言えなくなってしまう・・・。

藤野 日本人は元来、同質性が強い民族であるうえに、主張してバッシングを受けるリスクを恐れがちです。こうした環境では、なかなか変化が起きない。

 一方で、世界は猛スピードで変化しています。これまで欧米中心でしたが、中国やインドなどの新興国が台頭し、アフリカや中南米もこれから存在感を高めてくることでしょう。日本は今のままでいいのか。この問題は、『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら』で取り上げたかったテーマの1つでもあります。

藤野 英人(ふじの・ひでと)
投資信託運用のレオス・キャピタルワークス(東京都千代田区)の創業者・取締役最高投資責任者(CIO)。レオス・キャピタルワークスの「ひふみ投信」ファンドマネジャー。野村系、JPモルガン系、ゴールドマン・サックス系の資産運用会社を経て、2003年レオス・キャピタルワークスを創業。 中小型・成長株の運用経験が長く、ファンドマネジャーとして豊富なキャリアを持つ。東証アカデミーフェロー、明治大学非常勤講師。主な著書に『スリッパの法則』(PHP文庫)、『運用のプロが教える草食系投資』(共著/日本経済新聞出版社)、『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら』(阪急コミュニケーションズ)など。(写真:村田 和聡 以下同)

写真:藤野 英人氏

「タケコプター」と「どこでもドア」の違い

―― 藤野さんは「どこでもドアが実現することで、地球は国境や言語の違いもないひとつの世界になる」と書かれています。そこにヒントがありそうです。

藤野 そうです。『もしドラえもんの「ひみつ道具」が実現したら』では、最初に「タケコプター」を持ってきて、そして最後に「どこでもドア」で締めました。実は、ここにメッセージを込めています。

 「タケコプター」と「どこでもドア」、どちらも移動のための道具です。ただし、大きな違いが存在します。「タケコプター」は現代に限っていますが、「どこでもドア」であれば時空を超えて過去にも未来にも移動が可能になるのです。

 「タケコプター」で見える世界を2D(2次元)とすると、「どこでもドア」で見える世界は、いわば3D(3次元)に当たるでしょう。2Dから3Dに世界が広がれば、おのずと視点が変わり、行動も変わります。日本人は、いわば「タケコプター」で行ける世界までにしか足を踏み入れていないように感じます。

―― 3Dに踏み出そうとしても、周りに認めてもらえず、それが怖いからみんなと同じ場所に留まってしまうというわけですね。

藤野 「均一であれ」という圧力がかかった環境で、世界が驚くような新しいアイデアを生むのは、とっても難しいと思うんです。

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