(前回から読む)
「SAMURAI(サムライ)」マネージャーの佐藤悦子さんと、ジャーナリストの清野由美さんとによる連載「『オトコらしくない』から、うまくいく」が、このたび大幅な加筆修正を加え、日本経済新聞出版社から単行本として刊行となりました。単行本発売記念として、佐々木常夫さん、佐藤さん、清野さんとの鼎談をお届けしておりますが、今回はその2回目です。
さて、モテる人の条件にはいろいろありますが、相手の気持ちを慮ってくれる、誠実である、そして約束を守ってくれるという3つは、かなり重要なのではないでしょうか。一言で言えば思いやりがある人なのですが、相手の立場に立ってものを考えられる人というのは、男女かかわらず、魅力的です。
「オレが、アタシが」と自分の都合や立場だけを主張することを「オトコらしい」と言うのだとすれば、相手の立場に立った「オトコらしくない」働き方をする人のほうが、魅力的で、仕事もうまくいく――。今回の鼎談では、そのことについて、第一線で活躍するお三方が、それぞれのお仕事での実体験を交えて語ります。
(編集Yに代わって、編集I)
清野 自分の時間を大切にしない、という「オトコらしい」慣習は、相手の時間にも無頓着という態度につながりますよね。
佐藤 とても仕事ができる方なのですが、30分遅刻は当たり前、ひどいときは周囲が1時間待ち、という方が私の知っている中にもいらっしゃいました。でも、その方がディシジョンメーカーなので、みんな待つしかない。仕事の判断力は優れているのに、なぜ遅刻するのだろう、と不思議でした。
清野 私にもそういう経験があります。ある経営者の方を連続でインタビューした時なのですが、多忙だからという理由で、ご指定の時間が朝9時なんです。こちらはいつもより早起きをして、家事もろもろを前倒しして、朝は電車も遅れがちなので、時間の余裕も持って、その時間にうかがいましたが、毎回30分は待たされました。で、隣の部屋からは、その経営者の方が「○○ちゃん、今度ゴルフ行こうよ」なんて、電話で楽しそうに話している声が聞こえるんです。
佐々木 それは災難でしたね(笑)。特別な才能が求められるような仕事もありますから、一概には言えないと思いますが、サラリーマンではやっぱり時間を守れない人は、仕事は全体的にできませんね。仕事のできる人は、タイムマネージメントがしっかりしています。
佐藤 私が「時間はもう、絶対守ろう」と改めて決意したのは、2006年にユニクロとのプロジェクトが始まった時です。柳井(正)会長兼社長を初め、全社的に朝型であるのに加え、NYとのTV会議など海外とのコミュニケーションもありますので、朝の7時、8時から、というミーティングもよくあります。
佐々木 7時はすごいですね。
佐藤 それで7時ぴったりに会社にうかがいましたら、「もう始まっていますよ」という雰囲気で・・・。社内のメンバーは5分前には集まって、開始時刻にはすっと本題に入るのがユニクロの流儀で、「『5分前が定時と心得よ』ということなのだわ」と、痛感しました。
柳井社長はそういうところも素晴らしい方ですが、楽天の三木谷(浩史)社長も、私の知る限り、時間に遅れたことがない方です。万一遅れる場合は「何分遅れます」と、必ず具体的にご連絡をくださいます。そういう超多忙な方々の完璧な時間管理を見るにつけ、そんなに忙しくもない私たちができないなんてヘン、と、肝に銘じるようになりました。
佐々木 傑出していなくても、仕事のできる人はやっぱり時間を守ります。仕事ができるという中には、人から信頼されるという要素があり、それは約束を守ることですから。
清野 かといって、どうしようもない不可抗力で遅れる場合もありますよね。
佐々木 それは仕方がないですよね。
清野 いろいろな人がいる面前で、遅れてきた部下を罵倒する人にも会ったことがあります。あれはあれで、ものすごく見苦しくて嫌だと思いました。
佐々木 人を怒る時は、人のいないところでやらなきゃ、効き目が少ないですよ。その辺でも、変な錯覚を持っている人がいますよ。公衆の面前で罵倒すると、俺の権力をむき出しに見せてやった、というように気持ちいいんですよね。それで夜に酒のさかなで、「俺は今日、あいつにこう言ってやった」と自慢してね。それは大物じゃないんですね。
清野 大物ではない。本当におっしゃる通りです。あと、タイムマネージメントの欠如で言いますと、佐々木さんのご著書に出てきた、夕刻の6時になって仕事が終わった時に、「明日の朝までにこれをやっておいてくれ」と言ってくる上司。
佐々木 ああ、いますよね。
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