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対応が分かれる資産除去債務

本社の撤去費用など再考も

2010年9月16日(木)

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 将来、撤退・撤去する可能性のある本社、工場やテナントなどの退去・原状回復費用を負債計上する資産除去債務。IFRSへのコンバージェンス(共通化)の一環として2011年3月期から日本基準にも適用されることになったが、企業の現場ではその対応を巡って戸惑いの声が広がっている。新基準のどこに問題があり、企業はどう対応すればいいのか。監査法人アヴァンティア法人代表の小笠原直氏に聞いた。

(聞き手は日経ビジネス編集委員 田村賢司)

―― 資産除去債務が今期から日本基準でも適用になったが、その処理の仕方がかなり分かれている。

小笠原 直(おがさわら・なおし)
大手銀行、準大手監査法人代表社員を経て2008年10月、監査法人アヴァンティア設立に参画。法人代表となる

 小笠原 資産除去債務は、3月期決算会社の第1四半期から適用になったが、企業の対応を見ると3つに分かれている。

 1つは将来の撤退費用が金額的に重要であるとして特別損失、負債にそれぞれ計上した企業群。2つ目が「将来の撤退費用を合理的に見積もれなかった」といった注記をつけた上で、負債にも費用にも計上しなかった企業群だ。そして3つ目が、負債にも費用にも計上せず、注記もつけなかった企業群である。この場合は、撤退費用が金額的にも重要な規模ではないとして注記もしなかったようだ。

―― なぜ対応が分かれたのか。資産除去債務は見積もりが難しいということか。

 例えば、コーヒーチェーンのスターバックスコーヒージャパンは、2011年3月期に資産除去債務の適用に伴う特別損失35億円を計上する見通しと発表した。これによって通期の純利益は10億5000万円と前期比68.6%の大幅減益予想となるなど、大きな影響を受けた。

 先ほど話した1番目のケースだが、実際にはそうした場合を含めて資産除去債務は難しい問題をはらんでいる。指摘されたとおり見積もりが難しいということと、20年、30年先といった遠い先の撤退を経営者が意思決定するのが難しいということだ。

経営の意思決定がなければ債務の見積もりは難しい

 例えば、遠い将来の本社や工場の撤退・移転などは簡単に意思決定できるものではない。外食の店舗などは個々の店舗の撤退などの意思決定はなくても、いずれ撤退する可能性があるだろうから、無理にでも資産除去債務を計上する可能性はある。

 だが、特に本社などはそこが難しい。だから、経営の意思決定がなければ債務の見積もりは難しい。2番目、3番目のケースもそういう面があるのだろう。そして、技術的に遠い将来の撤退費用を見積もるのが難しいという面もある。

―― 経営の意思決定が、資産除去債務の計上にかなり影響したということか。

 元々、資産除去債務は、本社や工場の撤退費用を見積もり計上することが狙いではなかったはずだ。アスベスト(石綿)や土壌汚染物質など除去しなければならないものがあるということが分かった時に見積もるというのが趣旨。

 すると、明け渡したり、撤退する予定が明らかにない本社や工場まで経営の意思決定もないのに撤去費用を見積もるというのは難しいのではないか。耐用年数が到来する30年後に必ず当該建物を撤去すると断言することが、はたして合理的に見積もれると言えるのか。

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「対応が分かれる資産除去債務」の著者

田村 賢司

田村 賢司(たむら・けんじ)

日経ビジネス主任編集委員

日経レストラン、日経ビジネス、日経ベンチャー、日経ネットトレーディングなどの編集部を経て2002年から日経ビジネス編集委員。税・財政、年金、企業財務、企業会計、マクロ経済などが専門分野。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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