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「経営のプロ」に経済合理性はあるか?

「経営のプロ」の置かれた実情(2)

  • 岡島 悦子

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2010年9月16日(木)

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 日本の「経営のプロ」は母集団が少なすぎることからマッチングが難しく、結果として「雇われ経営者浪人」が発生しているといった実情について、前回(「『雇われ経営者浪人』が続出する日本」)、解説させていただいた。これと関連して、もうひとつ、私が実情としてどうしてもお伝えしておかなければならないと思っていることに、「経営のプロ」の報酬の問題がある。

リスク・リターンに合致しているか

 そもそも、外部招聘された「経営のプロ」は、いつ解任されるか分からない、といったリスクを常に抱えている。短期的な業績回復や大幅な戦略転換といった期待役割を達成できなかったための解任ならば納得もできる。だが、自分を招聘した経営トップやファンドなどの株主との成長戦略に対する意見の相違といった理由で、短期間に退任を余議なくされるケースも少なくない。

 それどころか、オーナー経営者との対立が表面化し、何の前触れもなく急遽解任に至るといったケースすら発生している。その意味で言えば、「経済合理性」の観点だけから考えると、日本における「経営のプロ」というキャリアは、あまり魅力のない選択肢なのかもしれない。

 しかも前回もご説明した通り、いったん「雇われ経営者浪人」になってしまえば、その期間は長期に及ぶことが多い。しかも、半年なのか1年なのか、どのくらいの期間になるかは、その時になってみなければ分からない。当然、失業保険など存在しない。にもかかわらず、「経営のプロ」に対する報酬は、こうしたリスク・リターンに合致しているとは思えない金額になることが多いのだ。

日本企業が嫌う成功報酬モデル

 一般的なケースで申し上げると、「経営のプロ」に対する報酬は、固定報酬の金額で5000万円程度まで、少ないケースだと2000万円程度、というのが相場である。「経営のプロ」が外部招聘される際は、通常、一定の期待役割が設定されている。その期待役割にコミットし、リーダーシップを発揮し、2~5年程度の短期間でその期待役割を達成し、「卒業する」というケースが多い中、さて、この金額は適正な金額と言えるかどうか。

 一方で、今年から報酬が1億円を超える上場会社の役員とその金額が公表された。欧米とは比較にはならないものの、日本でも役員報酬の金額は確実に増大傾向にあるだろう。

 実のところ、欧米でも固定報酬そのものは少ない場合もある。だが、ストックオプションとの組み合わせというのが、アメリカの場合には多いのだ。また、成功報酬モデルになっており、KPI(Key Performance Indicator=重要業績評価指標)を達成すればいくらプラスする、といったボーナス制になっていることも多い。

 外部招聘した経営者が、「経営のプロ」と言えども、その企業固有の環境や企業文化の中で、必ず成功するとは限らない。その意味でも、成功報酬モデルは、極めて優れたモデルであると思われる。ところが、こうした設計を日本の場合は嫌うのである。

 成功報酬モデルを導入したくない理由は、(1)他の役員や社員との報酬体系と極端に乖離してしまうので避けたい、(2)適切なKPIの設計が現時点では難しい、(3)報酬に条件を付けて交渉するような人は採用したくない、といったものである。

 まず、(1)の議論である。例えば、抜本的な集中と選択による大幅なコスト削減や、大胆な経営戦略の転換による新しい収益モデルの事業化など、社内事情を勘案しながらもリーダーシップを発揮し、成果を出す。結果として大幅な収益化ができた場合、それに見合う成功報酬を支払う、というのは極めてフェアーな議論ではないかと思う。

コメント2件コメント/レビュー

結局、日本で成果主義なんて成立してないと言うことか。すごく納得。(2010/09/16)

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記事のレビュー・コメント

いただいたコメント

結局、日本で成果主義なんて成立してないと言うことか。すごく納得。(2010/09/16)

日本の企業の一番いかがわしいのは「仮に雇うとしてもトカゲの尻尾要員」としか捕らえてない部分だと思う。つまり、本気でプロがほしくないんですよね。大きな会社であればあるほど。唯一の例外であり、成功例が日産のゴーン社長なんですが、「誰もが真似をしようとしなかった」時点でお察しって感じ。(2010/09/16)

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