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鮮度管理の徹底で躍進するネット通販の「紀伊国屋文左衛門本舗」

2010年9月27日(月)

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 サービス産業が抱える困難の一つに、「在庫することができない」ということがある。つまり、顧客がいる時にしかサービスを提供することができず、いつ来るか分からない顧客のために、サービスを事前に作り置きすることができないということである。

 このサービスの特徴をサービスの生産と消費の「同時性」と呼ぶ。この同時性は、企業にとって、いつ来るか分からない顧客のために従業員を待機させる必要があり、サービスの提供作業を平準化することが非常に難しいということを意味している。

 一方、この同時性は、顧客にとっても大きな問題である。サービスの生産、つまりサービスが提供されたと同時に顧客はそのサービスを消費したことになるのだ。消費する時にしかサービスが提供されないことから、サービスの内容を事前に正確に把握することもできないのである。そして、提供されたサービスを消費した以上、顧客は受けたサービスの満足の程度に依らず、そのサービスを提供した企業はその対価を顧客に請求する。つまり、顧客がサービスの内容に不満を持ったとしても、顧客は代金を支払わなければならないのである。

 製造業の場合、同じ商品であれば、搭載されている機能や品質は同じである。顧客が欲しいと思う製品の機能や品質はメーカーによって事前に明らかにされ、きちんと顧客がそれらを調べれば思ったものと異なる商品を購入することはまずない。

 もし顧客が結果的にサービスの内容や品質に満足しなければ、同じサービスを再び利用することはない。つまり失客してしまうのである。あまりにも思っていたサービスと異なれば、周辺の人にそれが口コミされ、企業にとってさらに集客できない状況を作ってしまう。つまりサービス産業にとっても、あまり意識されていないが、メーカーと同じように、提供されるサービスの内容や品質をきちんと管理することは非常に重要なのである。

ネット店開設も最初は全く売れず

 今回のコラムで紹介する企業は、和歌山県有田郡湯浅町において、ネット通販で地道な努力を積み重ね、10年かけて地方にありながら大きく成長した「とち亀物産」である。社員数は16人。現在の社長は4代目であるが、最初からネット通販を展開していたわけではない。

 とち亀物産の創業は明治後期で、最初は地元の商品を有田から大阪方面に運ぶ小さな廻船問屋であった。戦後になり、2代目はシラスの加工や蒲鉾の製造を主要な事業にした。1970年代になると、3代目の社長が地元の水産品などを中心に取り扱う食品卸業へ事業を展開していった。このよう、時代の流れに沿って、とち亀物産は事業内容を変え続け、最終的に企業を100年にわたって存続させ続けてきたのである。

 現在の4代目社長が1999年に就任すると、大規模物流が主流の時代において、地方にある食品卸業を小規模に商うだけでは企業経営に限界があると感じ、その頃から徐々に一般化し始めたネット通販に事業領域を展開し始め、「紀伊国屋文左衛門本舗」の屋号で2000年に楽天市場に、そして2004年にはヤフーショッピングに出店した。

 出店したのは、ネット通販の黎明期であり、まだネット上での事業方法が十分に確立していない時代でもあった。つまり、当時のネット通販は、やっていること自身が珍しく、消費者の立場からすれば、その希少価値から商品をネット通販で購入したこと自身が一つのステータスだったのである。

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「鮮度管理の徹底で躍進するネット通販の「紀伊国屋文左衛門本舗」」の著者

内藤 耕

内藤 耕(ないとう・こう)

サービス産業革新推進機構代表理事

世界銀行グループ、独立行政法人産業技術総合研究所サービス工学研究センターを経て現職。

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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