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勝負師は「応用の才気」で勝負する

秋山真之と『孫子』に学ぶ戦略と戦術〈1〉

2010年9月29日(水)

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 某ビジネス雑誌では、経営者の愛読書を毎回1冊ずつ取り上げているのですが、面白いことに、ある本だけは掲載をお断りしているそうです。あまりに挙げる人が多すぎるため、そればかり続いてしまうから、とのこと。

 その本の名は、司馬遼太郎の歴史小説『坂の上の雲』。そしてその主人公の一人に当たるのが、今回から取り上げる秋山真之になります。

 秋山真之は、一言でいえば近代日本最高の戦略家に他なりません。1904年(明治37年)に始まった日露戦争において、連合艦隊兼第一艦隊参謀となり、翌1905年の日本海海戦でロシアのバルチック艦隊を破る原動力となりました。

 当時のロシアは、イギリス、ドイツ、フランスなどと並ぶヨーロッパ列強の一つでした。一方の日本は、1868年の明治維新からまだ50年もたっていない新興国。そんな地力に差のある2カ国が戦い、日本海海戦ではバルチック艦隊がほぼ全滅するという圧倒的な勝敗の差がつくに至ります。これはひとえに、秋山真之のたてた戦術や戦略の力によるものなのです。

 また、彼は「海軍基本戦術」や「海軍応用戦術」「海国戦略」といった講義を海軍大学校で行っています。その講義録は現代にも残されていて、近代日本における戦術論の白眉ともいえる内容になっています。そして、これらの講義録に色濃い影響を及ぼしているのが、中国の古典『孫子』でもありました。

 今回からの連載では、秋山真之と『孫子』を主軸に据えつつ、戦略や戦術の諸相に迫っていくことを目指しますが、実は、前回までの主人公であった渋沢栄一に、この戦略や戦術に関連する卓見がありますので、まずそれをご紹介しましょう。

 栄一は、当時の戦争のありようについて、次のように表現しています。

《戦争は決して腕力だけでやれるものではない。知恵と思慮が必要で、頭でしなければならない。ことに最近の戦争は、数学でやっているといってもよい。
現に日本の参謀本部には、天下の人材が集まっているといわれている。戦争はもちろん好んですべきものではない。万やむを得ないときになってはじめてやるべきもので、しかも腕力比べよりは、知恵比べである》『渋沢栄一の「論語講義」』守屋淳編訳 平凡社新書

 つまり、戦争とは頭脳勝負、特に数学だ、というのです。では、一体どのような「数学」を駆使して戦争は遂行され得るのでしょう。この点で、秋山真之の言葉にその核心を抉る表現があります。

戦いには「兵理」がある

秋山真之は、戦争には「兵理」、つまり「戦いの原理原則」がある、と考えました。『海軍応用戦略』のなかで、次のように述べています。

 「兵理とは兵戦において対抗兵軍の勝敗を支配する自然の原理にして兵戦の大小と海陸とを問わずこれにしたがって戦うものは勝ち、これにさからって戦うものは敗るる。しかもこの大理は恒久不易にして人智の発達にともない兵力兵資の素質分量等にいかなる差異あるも終始一貫して消長変化せざる事、なお力学の原理のごとし、兵理を一言にして尽くせば優勝劣敗の理即ちこれなり」

 念のため、大意をつけておきますと、次ページのようになります。

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