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「はやぶさ」が教えてくれたモノづくりの未来

「魂」の宿った技術が人の心をつかむ

  • 常盤 文克

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2010年9月30日(木)

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 今年6月、小惑星探査機「はやぶさ」が、60億キロメートルの航行を経て7年ぶりに地球に帰還しました。はやぶさは、地球から約3億キロメートル離れた小惑星「イトカワ」に着陸し、地表の物質(土砂)を持ち帰るという世界初のミッションに挑戦しました。そして度重なるトラブルに見舞われながらも、長い旅を終えて帰ってきたのです。

 はやぶさは大気圏に突入する時に自らは燃え尽き、無事にカプセルを地球に送り届けました。この姿が昔の武士の生き様に通じるものがあったからか、日本人の心を打ち、感動と称賛の声がわき上がりました。

 はやぶさの成功は、単に技術が優れていただけではありません。ミッションを支えてきた人たちの努力と強い思いがあったからです。どんな技術でも、その裏側には人の心や魂が込められているのです。だからこそ、はやぶさが帰還する姿に人々は心を打たれたのでしょう。

苦難を乗り越えた姿に感情移入

 6月のコラムにも書きましたが、「モノ」には3つの位相があります。物質的な存在を示す「物」、人を指す「者」、そして人の心を意味する「魂」です。モノづくりとは単に技術だけではなく、人の心や思いが複雑に絡み合ったものなのです。

 はやぶさを巡る報道や人々の声からも、それが見て取れます。最初は小惑星イトカワの「小型探査機」という機械的な呼び名だったものが、いつのまにか「はやぶさ」という愛称で呼ばれるようになりました。

 さらには感情移入した人々が「はやぶさ君」「はやぶさちゃん」といった具合に、あたかも人であるかのように呼びかけました。モノに心が込められてきたのです。

 記事の見出しを見ても、「はやぶさ君、お帰りなさい」とか「長旅ご苦労さま」といった具合に、人に対するねぎらいの言葉のようになってきました。実はここに、これからのモノづくりにかかわる大きな教えがあると思うのです。

 それは、夢とか目標に向かってあきらめずに、どんな困難をも乗り越えて物事をやり遂げる姿です。長旅を終えて満身創痍で地球にたどり着いたはやぶさの姿に、人々は自分の人生を重ね合わせて見ていたのではないでしょうか。そこには、宇宙飛行士が帰還した時と同じような、いやそれ以上の喝采がありました。

 そう考えるとはやぶさは、まさにモノの3つの位相(物と者と魂)が1つになったものだと言えます。しかし、初めからそうだったのではありません。よく職人のモノづくりと言いますが、それは職人が仕事に没頭するうちに、モノとそれを作っている自分とが一体になっていくことです。

 モノが職人に呼びかけてくる、自分の心もモノの中に入り込んでいく──。私は、そうした3つの位相が1つになることが、真のモノづくりだと思います。

 仏像を刻む時に例えると、仏師は原木を彫り進むうちに、だんだん自分が彫っているようで、そうではない感覚に陥ると言います。原木の中に仏さんがいて、「こう彫れ、こう彫れ」と言って手を動かしてくれるのだと言うのです。こんな状態になった時に、本物の仏像が彫れるのでしょう。まさにモノと人と、そして魂が1つになって、仏像というモノが生まれるのです。

コメント4件コメント/レビュー

日本・中国・韓国の企業で働いてきた者の意見です。おっしゃるように日本企業の役割と中国・韓国企業の役割は違うと感じています。最近よくサムソン・現代などの韓国勢に押される日本企業の図式で語られますが、私の感じる立ち位置は全く異なります。彼らはまだまだ「安かろう悪かろう」の製品です。日本にいては彼らの製品品質の悪さがわからないと思いますが、韓国国内や中国で売られている製品の品質は日本製に遠く及びません。かたやベンツやBMWは後進国向けに廉価な車を作っていますか?これらはスマートやMINIといった別ブランドで安い車を作ってはいますが、それでも後進国向けではありません。日本もなにも後進国向けの安いだけの製品を作る必要はないと考えています。逆にMade in Japanブランドの棄損につながらないかと心配のほうが大きいです。(2010/09/30)

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日本・中国・韓国の企業で働いてきた者の意見です。おっしゃるように日本企業の役割と中国・韓国企業の役割は違うと感じています。最近よくサムソン・現代などの韓国勢に押される日本企業の図式で語られますが、私の感じる立ち位置は全く異なります。彼らはまだまだ「安かろう悪かろう」の製品です。日本にいては彼らの製品品質の悪さがわからないと思いますが、韓国国内や中国で売られている製品の品質は日本製に遠く及びません。かたやベンツやBMWは後進国向けに廉価な車を作っていますか?これらはスマートやMINIといった別ブランドで安い車を作ってはいますが、それでも後進国向けではありません。日本もなにも後進国向けの安いだけの製品を作る必要はないと考えています。逆にMade in Japanブランドの棄損につながらないかと心配のほうが大きいです。(2010/09/30)

技術力は現場力と相通じています。ここで言う現場とは広義の意味です。利益追求のためだけのマネジメントが最優先になり、事務方による権謀術数を巡らせた権力闘争が常態化すると、現場力は衰え、企業全体の衰退を招きます。過去に日経ビジネスでは、民間企業にはびこる官僚もどきを揶揄した「民僚」として取り上げていました。現場には真面目で優れた、いわゆる技術バカが多くいます。現場の彼らと両輪を組みながら優れたマネジメントを発揮した企業が発展していくという事例は数多くあります。(2010/09/30)

最近のはやぶさ関連や科学技術関連のニュース、記事等の氾濫を見ると、事業仕分け礼賛やはやぶさ帰還時のマスコミのスルーぶりを思い出す。現金なものだ。科学技術立国を放棄する方針を打ち立てたのなら、それを貫き通せばいいのに。(2010/09/30)

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