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知られざるマイナーリーグの人材育成システム

才能の埋没を許さないユニークな競争環境構築

2010年9月30日(木)

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 9月も今日で最後になりました。早いもので、明日から10月に突入します。

 米スポーツ界では、メジャーリーグ(MLB)が公式シーズン終盤を迎え、プレーオフ出場をかけた熾烈な戦いが繰り広げられています。プレーオフが毎年10月に行われることから、こちらではレギュラーシーズン終盤の戦いは「Hunt for October」(10月に向けた追い込み)などと言われています。ところで、いよいよこれから盛り上がり本番を迎えるMLBですが、その傘下のマイナーリーグは既にシーズンを終え、選手育成契約(PDC)更改の時期を迎えています。

 PDCについては、前回の「邪道?王道?名物独立リーグ球団の異色集客手法」の中でも解説しましたが、メジャー球団とその傘下のマイナー球団との間に結ばれるもので、メジャー球団がマイナー球団の「ユニフォーム組」の人件費や福利厚生、ボールやバットなどの備品のための費用を負担する代わりに、マイナー球団はメジャー球団から選手を“借りて”育成する責任を負うというものです。

 PDCは2~4年契約が標準的で、期間中の選手育成の事績が評価されれば契約は延長されますが、メジャー球団の期待に応えられなかった場合契約は更新されず、結果的に“親元”となるメジャー球団が代わることも少なくなりません。定期的にPDCの契約更新の機会を設けることで競争原理が働き、緊張感のある球団経営が担保されるのです。

 現在、マイナーリーグには全7階層に243のチームが存在します。一部のマイナー球団は“親元”のメジャー球団がオーナーになっているケースも見られますが(メジャー球団がオーナーになっている場合、PDCは結ばれない)、大部分はメジャー球団とは資本関係がないため、PDCという契約システムのもとで厳しい競争環境にさらされているわけです。

 このように、マイナーリーグではビジネスという軸とは別に、選手育成という観点からも球団経営がモニターされ、効率的な球団経営が促される仕組みが構築されています。今回のコラムでは、日本のスポーツ界には見られない、ユニークなマイナーリーグの選手育成システムをご紹介しようと思います。

メジャースポーツで最も熾烈なサバイバル環境

 マイナーリーグ・システムの最大の特徴の1つは、9つのポジション、40人の1軍枠を巡り、300名近い野球選手が熾烈な生存競争を繰り広げている点でしょう。

 先にも述べたように、マイナーリーグは最下層の「ルーキー・リーグ」からメジャー直前の「トリプルA」まで7階層に分かれており、各階層のチームにはそれぞれ登録選手枠の上限(ロースター・リミット)が設けられています。この7階層全てのレベルでチームを保有しなくても良いのですが、最大で250名のマイナーリーガーを保有することができることになっています(下図)。つまり、40人の一軍枠を巡って300名近い野球選手がしのぎを削ることになるのです(ちなみに、日本のプロ野球の場合、一軍と二軍を合わせた支配下登録選手の上限は70名)。

 まだプロの体も出来ていない高卒選手や、多少の経験を積んだ大学選手、既に何シーズンかプロ経験のあるマイナー選手では身体的にも野球のスキル的にも大きな違いが見られます。MLBがマイナーリーグを7階層にも細分化しているわけは、選手を各技量に合ったレベルに送り込むことで、無理なくスキルを伸ばしていくことができるようにするためです。

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「知られざるマイナーリーグの人材育成システム」の著者

鈴木 友也

鈴木 友也(すずき・ともや)

トランスインサイト代表

ニューヨークに拠点を置くスポーツマーケティング会社、「トランスインサイト」代表。一橋大学法学部卒、アンダーセン・コンサルティング(現アクセンチュア)出身。スポーツ経営学修士。中央大学非常勤講師

※このプロフィールは、著者が日経ビジネスオンラインに記事を最後に執筆した時点のものです。

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