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若者の芽を摘む「学歴ロンダリング」の発想

――何が日本の若者を俯かせてしまうのか? (続)

2010年10月5日(火)

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 前回のコラム(「何が日本の若者を俯かせてしまうのか?」)、予想もしなかったのですが、たいへん多くの方から反響を頂きました。予定では別の内容を書くはずだったのですが、アルゼンチンからの帰りの飛行機の中で、あまりにいろいろなことを感じたので、思わず書き下ろした、というのが本当のところでした。よろしければぜひ、前回に頂戴したコメントを見ていただければと思います。各々、正反対のご意見をたくさん頂いているのが分かると思います。「その通り!」という方から「こんなことがあるわけがない」という方、さらには現場の大学院指導教員の方から「どうしてこうなってしまうかの補足説明」まで、本当に様々のご意見を頂きました。このご意見のバラツキ自体が、何かを語ってくれていると思います。

 この連載はあくまで僕個人の視点からのコラムですので、不足もあれば至らない点もあると思いますが、このように複数の、相異なるご意見を頂いたこと自体が、たいへんありがたいと思っています。「こんなことあるわけがない」とお書きの方には「実際、現場はその通り」と書いておられる方のご意見をご参考いただきたいですし、また僕が見てきた限られた現場以外からの声には、率直に学ばせていただいています。ともあれ、前回書き足りないところもあり、コメントでご質問も頂きましたので、もう少し関連の問題を踏み込んで考えてみたいと思います。

「学歴ロンダリング」って何だ?

 一連の問題を考えるうえで、一つの大きなキーワードは「学歴ロンダリング」と思います。これって一体何なのでしょう? ロンダリングと言うと、「マネーロンダリング」がすぐ頭に浮かびます。日本語では「資金洗浄」などと言われるもので、入手のイワレが微妙なお金を海外の金融機関などを通過させることでマッサラなものにする手続きを指す言葉です。

 ロンダリング(laundering)とカナを振られていますが、同様の言葉であるlaundryは「コインランドリー」などというように「ランドリー」と違うカナ表記をされます。正確にはたぶん、後から訳したロンダリングのほうを、「洗濯」と違うカナで当てたのでしょう。が、何にしろ、マネーロンダリングはお金の洗濯屋、学歴ロンダリングは「学歴の洗浄」をしているというわけです。しかし改めて、出元の怪しいお金ならまだしも、どうして学歴を「洗浄」するなどと言うのか? 背景には日本国内に残存する学歴社会の構造が深くかかわっていると思われます。

 「学歴ロンダリング」という言葉は、ある人が、かつて18歳とか20歳の時点で学んだ「最初の母校の大学」よりも偏差値評価で高い大学最終学歴を書き換える操作という意味だと、前回の記事を書いた後で調べて知りました。というのも、この「日経ビジネスオンライン」の僕の経歴も大学院しか書いておらず「ロンダ臭い」とのコメントをもらいまして、「いやぁ、こういうことを考える人もいるんだ」と感心したからなのですが。

 僕の出身は東京大学理学部物理学科で、当時同級生で地下鉄サリン事件の実行犯になってしまった豊田君のことなど本にしているため、以前からの読者の方はご存じというのと、今さら45にもなって出身大学も学部もへったくれもないだろう、というのが正直なところなんですが、むしろ新しい読者がコラムを読んでくれているんだな、とありがたく受け取ったような次第です。

呆れた「学生の本音」

 僕は実は就職活動ということをした経験がありません。というのも、子供の頃から音楽をやっていたうえ、一般大学ですが学部大学院と在籍中にコンクールキャリアで仕事が回るようになったので(といっても30前後バブル崩壊で生活に困ったりもするのですが・苦笑)就職活動ということについては、語る資格がないような意識がありました。

 今、大学に籍を置いているのも15年ほど前に体を壊し、ヒマができちゃったので「現場で疑問に思ったことをまとめて博士号でも取ろうか」と学位取得したところ、全く予想外のことでしたがお呼びが掛かって、たまたまいるもので自分自身学者とか大学教授本業なんて意識はかけらほどもありません。職位が研究職ですから論文など年に限られた本数クオリティを評価された専門誌に投稿することを自分に課していますけれど、僕の本業は楽隊仕事、14~15歳から「生涯一音楽人」と思い定めて生活しています。

 かれこれ10年近く前になりますが、ある時、研究室間近の談話スペースで学生たちが雑談しているのを聞いて、正直、呆れたことがありました。

 修士から東京大学に入ったある学生が、何か求人票など見ながらなのでしょうか、真顔でこんなことを言っていたのです。

 「僕は学部はX大学Y学部だったから初任給は○○万円くらいだったけど、東大修士になるからP社とかQ社とかで、初任給××万円くらいは鉄板でしょ」

 「30歳で年収1000万はカタイな、ハハハ」

 ちなみに当時、僕は35歳くらいでしたが、東大助教授の給料は到底1000万円には届きません。こいつは一体、何を言っておるのだろう、と正直たいへんに驚きました。

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